漢方薬で副作用が出る場合と出ない場合、その違いと原因は?
間違えやすい、漢方と生薬の違い
漢方と生薬の違いをご存じでしょうか?
最近では生薬や飲み物などに「漢方」という名前がついていることが多く、混同するのは無理もありません。
生薬とは、一般的には薬草の根や葉など漢方薬を構成する原料のことです。中には動物や鉱物なども生薬に含まれます。
生薬をそのまま薬として使用できる物もありますが、そのほとんどは乾燥させて粉末化したり、患部に当てたり、煎じて飲んだりします。
生薬の多くは複数の薬効を持っており、漢方として組み合わせることによって、効果が強くなるものや、違った薬効をもたらすものがあります。
漢方は生薬の分量や比率をいかに効果的に、安全に作ることができるかを緻密に考えられた組み合わせのことです。
生薬の成分が含まれているから「漢方」という安易な名前の付け方は、間違ったものなのです。
植物性生薬と動物性生薬の特徴とは
生薬は、植物が原料となっている「植物性生薬」と、動物が原料となっている「動物性生薬」に分けることができます。
生薬の大部分は植物性で、生薬の原料となる植物は薬用植物と呼ばれています。
薬用植物はそのまま薬として使える物もありますが、ほとんどの場合、その根・葉・茎・種・果実などの薬効成分が含まれている部分を乾燥させて粉末化したり、煎じて飲んだりします。
植物性生薬の効能は、炎症を抑えたり、症状を緩和させる物が多いのが特徴です。
一方、動物性生薬はホルモンの活性化や不足している栄養分を補う効能があります。
「生薬だから副作用はない」と言う方もいらっしゃいますが、これは間違った認識です。
どんな薬でも取りすぎると体に毒です。
漢方に薬剤師に相談して、自分の症状・体質に合った生薬を探しましょう。
意外な物も生薬として使われている
植物性生薬・動物性生薬には具体的にどんな物があるのでしょうか。
どちらもたくさんの種類がありますが、その中から一部を紹介します。
まず、植物性生薬です。植物性生薬の中には、私たちの身近にある植物も多く存在します。
例えば、杏仁(漢方ではキョウニンと読みます)や忍冬(ニンドウ)=金銀花、生姜(ショウキョ)に葛根(カッコン)など、花や果実を楽しむだけではなく、その種や根にさまざまな薬効があります。
有名なもので言うと「人参(ニンジン)」が頭に浮かびますが、実は生薬の人参(ウコギ科)は野菜の人参(セリ科)とは別物なのです。
朝鮮人参や高麗人参と呼ばれる人参は、胃腸や呼吸系の活性化や免疫機能を高めたりと幅広い薬効があり、ギリシャでは万能薬と呼ばれるほどです。
動物性生薬と聞いて思い浮かぶのは、よく聞く「鼈(スッポン)」や「海馬(カイバ)」と呼ばれるタツノオトシゴ、比較的高価な「鹿茸(ロクジョウ)」などでしょうか。
最近プラセンタとして話題になった女性の胎盤も、婦人病や不妊症の生薬として使われていました。