漢方薬で副作用が出る場合と出ない場合、その違いと原因は?
漢方薬は「効かない」薬なのでしょうか?
東洋医学の考え方は「病を再発させないための体質改善」に重点を置いており、その人の体質にあった生薬を調合し処方しています。
以前のコラムで、漢方薬はゆっくりと体に作用するといったことをお話ししましたが、漢方薬に即効性が無いわけではありません。
例えば頭痛。まず、患者さんの症状などを伺った上で、頭痛の原因を調べ、その原因や体質に応じて的確な生薬を厳選し調合します。急性、慢性によっても異なってきます。
慢性の場合は、焦らず、長い期間をふまえて頭痛の原因を改善するための生薬の他、その方の生活習慣に応じた生薬も合わせて処方します。それは、再発を防ぎ、根本からの体質改善を視野に入れた処方を目指しているからです。
急性疾患に対しては、体質に合わせて効きの早い調合を行い、慢性疾患に対しては、人間の体の再生サイクルに合わせてじっくり効いていく薬を調合するという風に、その方の症状や状況に応じて処方しています。
慢性的な症状でお悩みの方に、即効性の高い生薬を合わせて服用させることは危険だという考えもあり、体の部位によって回復する期間は異なりますが、それぞれの回復サイクルに合わせて漢方を服用することで、症状が改善されると考えられています。
そのため、例え途中で漢方の服用を中断したとしても、すぐに病が再発するという危険性も防ぐことができるのです。
漢方薬の即効性
漢方の効き方は、生薬の調合する種類によって異なります。調合する種類が少ないほど「即効性」が期待できますし、調合する種類が多いと「即効性は低い」ということです。種類が少ないということは症状が少ないということなので、すぐに効いてくると考えることができます。
逆に種類が多いということは、改善すべき症状が多いということなので、生薬の作用がたくさんの部位に働きかけていくため効きは緩やかになります。
また、症状が急性なのか、慢性なのかで調剤方法を変えていくため、人間の体にとって薬の服用による負担は少なくすみます。慢性的に病を患っている患者さんへ即効性のある漢方薬を処方することはありません。
効き目の強い薬で一時的に病が治ったように感じても、根本的な原因が治っていないため再発する可能性は高くなります。加えて、効き目が強い薬ということは、症状がない臓器にまで負担を与えてしまい病気の併発につながる可能性まで出てきてしまいます。
一時しのぎで良いのか、将来も含めて症状を治したいのかをきちんと考える必要があるでしょう。
焦らず、ゆっくり、体からのサインを見つめていくこと
慢性的とは、昨日今日に現れた症状ではなく、長年積み重ねてきた病であることから、本来早期治療は難しいといわれています。
その方の体が、慢性疾患に合わせた体質に変化してしまっているからです。きちんと治したいという気持ちがあるのなら、何が原因で今の症状が出ているのかを明確にし、体質に合った漢方を処方してもらいましょう。
すぐに効果は期待できませんが、じっくりと自分の体の声を聞くことで「自然治癒力」も向上していくはずです。
慢性的な症状は焦らず治療していくことが大切です。「すぐに効かない」から駄目というわけではなく、慢性的な病は時間をかけて根本から治していくことが重要です。