長く続く耳鳴りとくび肩のこり|鍼灸院での施術と経過の一例

中田和宏

中田和宏

テーマ:施術例

「年齢によるもの」と説明された耳鳴りとの付き合い方

長年続く耳鳴りについて医療機関を受診し、「年齢によるもの」と説明されたものの、その後も症状が続いているというご相談をいただくことがあります。

耳鳴りは原因や経過が一人ひとり異なります。また、長期間にわたって症状を意識しながら日常生活を送ることは、少なからず負担になることがあります。

今回は、長く続く耳鳴りと頚肩部のこりについて相談に来られた70歳代の高齢女性への施術を通して、当院がどのような点を確認しながら鍼灸施術を行ったのかをご紹介します。

なお、ここで紹介する内容は個別の施術記録をもとにした一例であり、同様の症状に対する鍼灸施術の効果を示したり、結果を保証したりするものではありません。

16年前から続く耳鳴りと頚肩部のこり

この方は現在も工場でパート勤務を続けておられますが、28歳から65歳までは飲食店を経営し、その後もずっと仕事を続けてこられました。

主なご相談は、16年前から続いている左耳の耳鳴りと頚肩部のこりです。耳鳴りについては過去に2か所の医療機関を受診し、年齢によるものと説明されたということでした。また、睡眠についても気になることがあり、午前0時頃に床に入ってもなかなか寝つけない日があるとのことでした。

そこで、耳鳴りの大きさだけを確認するのではなく、頚肩部の状態や睡眠、疲労などについても話をうかがいながら、その日の体調を確認しながら施術を進めることにしました。

初診では耳だけでなく全身の状態を確認

当院では、耳鳴りの相談であっても耳周辺だけを確認するのではなく、頚肩部の緊張、睡眠、冷えなどについても確認しています。また、東洋医学的な観点から脈や腹部などの状態を確認することもあります。

東洋医学には「腎虚」「肝実」「瘀血」など、身体の状態を捉えるための独自の考え方があります。これらは東洋医学上の概念であり、現代医学における病名や診断を意味するものではありませんが、今回もこうした考え方を参考にしながら身体の状態を確認し、そのうえで、耳周囲や頚肩部への置鍼を中心として、その日の状態に応じて身体の各部位への施術を組み合わせることにしました。

なお置鍼とは、鍼を刺した状態で一定時間そのまま置いておく施術方法のことで、施術は週1~2回程度を目安として開始しました。

また、初診時には身体の状態だけでなく、これまでどのように耳鳴りと付き合ってきたのか、仕事や日常生活の中でどのようなことを負担に感じているのかについても詳しく話をうかがいました。

経過を確認しながら施術内容を調整

施術を開始した2月は、耳鳴りについて大きな変化は確認されませんでした。

2月27日には左臀部と右背部にも痛みがあったため、その日の状態を確認したうえで、該当部位に低周波鍼通電療法を行っています。(低周波鍼通電療法は、刺した鍼に低周波の電気刺激を加える施術方法です)

また、湧泉、復溜、三陰交、漏谷などの経穴への灸施術も取り入れました。

このように、毎回同じ内容を行うのではなく、その日の耳鳴りの感じ方、頚肩部の状態、睡眠や疲労などについて話をうかがいながら施術内容を検討します。

3月以降も日によって状態は異なりましたので、耳鳴りだけを施術内容を判断する基準にするのではなく、頚肩部の状態なども確認しながら、耳周囲や頚肩部への置鍼を中心とした施術を継続しました。

症状には良い日と悪い日がある

慢性的な症状では、毎日まったく同じ状態が続くとは限りません。今回のケースも、来院時に話をうかがうと、耳鳴りの感じ方には日によって違いがありました。

4月以降は、耳周囲だけでなく、頚部や後頭部の状態についても確認し、必要に応じて完骨や風池などの経穴を使用した低周波鍼通電療法を取り入れました。

また、睡眠についても日によってバラつきがあります。4月17日の来院時には、ご家族の将来について心配されているご様子でしたが、翌週の4月21日には、「前の週に眠れない日があった」というお話をされていました。

こうした経過からも、耳鳴りの感じ方にはさまざまな要因が関係する可能性があるため、当院では耳の状態だけから判断せず、睡眠や疲労、日常生活の状況についても話をうかがうことを大切にしています。

体調や生活上の出来事も確認する

5月1日には、自転車で転倒するという出来事がありましたので、その後の来院時にも、転倒後の身体の状態を含めて確認しながら施術を行いました。

身体の状態は、仕事や睡眠、疲労、日常生活での出来事などによって変化することがあります。そのため、一時点だけで状態を判断するのではなく、その後の経過についても確認するようにしています。

5月から6月にかけても、基本的な施術方針を大きく変えることなく、その日の身体の状態に応じて施術を継続しました。

6月16日、利用されていた金沢市の福祉助成券が終了したことを機に、今回の一連の施術を終了しました。

約4か月にわたる期間でしたが、当院では耳鳴りだけに注目するのではなく、頚肩部の状態や睡眠、疲労、生活状況などについても確認しながら施術を行っています。

長く続く耳鳴りについて大切にしたいこと

耳鳴りにはさまざまな原因があり、鍼灸院だけで判断できるものではありません。

特に、
・突然耳鳴りが始まった
・急に聞こえにくくなった
・片側の耳に突然症状が現れた
・強いめまいを伴っている
・しびれや麻痺などの神経症状を伴っている

といった場合には、まず耳鼻咽喉科などの医療機関を受診することが重要です。当院でも、必要な場合には医療機関での検査や診療を受けていただくことをおすすめしています。

また、耳鳴りの原因や経過には個人差があり、鍼灸施術によって特定の変化が生じることを保証することはできません。

それでも、医療機関を受診したうえで症状が続いており、頚肩部のこりなど身体について気になることがある場合には、現在の状態について鍼灸院へ相談するという選択肢もあります。

耳鳴りだけにとらわれず、その日の身体を見る

長く続いている症状の場合、一つの症状だけを見るのではなく、睡眠、疲労、仕事、身体の緊張などを含めて現在の状態を確認することが大切だと当院では考えています。

今回も耳鳴りそのものだけでなく、頚肩部の状態や睡眠、その時々の生活状況について話をうかがいながら施術を行いました。

症状や身体の状態は一人ひとり異るため、当院では決まった施術を一律に行うのではなく、来院時の状態を確認しながら施術内容を検討することを大切にしています。

まとめ

今回は、16年前から続く耳鳴りと頚肩部のこりについて相談された方への施術をもとに、当院が施術時にどのような点を確認しているのかをご紹介しました。

耳鳴りについては、まず原因を確認するためにも医療機関で適切な診察を受けることが重要です。そのうえで頚肩部のこりなど身体について気になることがある場合には、その日の体調や生活状況を含めて確認しながら鍼灸施術について相談していただけます。

このようなことでお困りの場合はご相談ください
・長期間続く耳鳴りについて身体の状態も含めて相談したい
・耳鳴りとともに頚肩部のこりが気になっている
・医療機関を受診したうえで鍼灸についても相談してみたい

※鍼灸施術の感じ方や経過には個人差があります。本記事は特定の施術による効果を保証するものではありません。また、症状によっては医療機関での診察・治療が必要となる場合があります。

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中田和宏
専門家

中田和宏(鍼灸師)

トキの森鍼灸院

初診時のカウンセリングでどんな状態か明確にし、できることを説明します。施術計画を立てて最適な施術を提供します鍼灸治療にたずさわって約40年のベテラン鍼灸師が優しく対応しますお困りならまずご相談を!

中田和宏プロは北陸放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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