大人の「生きづらさ」に寄り添って希望を見出す手助けを（2/3）

大人の「生きづらさ」をやさしく受け止め、一緒に前進する

　近年話題になることが多くなった大人の発達障害に関する相談も増えているといいます。
「働き盛りのサラリーマンで、社会への適応の仕方の悩みをお持ちの方が多くいらっしゃいます。日常生活でのうっかりミスやトラブルは訓練で改善することが期待できますよ」

　大人の発達障害向けのトレーニングとは「認知トレーニング」や「ワーキングメモリー・トレーニング」、「メモのスキルトレーニング」など日常に役立つ実践的な内容です。聞きながら書く、メモを取るなど、岸井さんと共に反復練習をするうちに、ミスを減らしたり会話を読み取る力がついてきます。時間はかかりますが一定の効果が出るため、参加者に好評だそうです。

　一方で悩みを抱えるのは当事者だけではありません。「実は最初に相談に来られるのはご本人ではなく、奥さんが相談にいらっしゃるケースが多いのです」と岸井さん。発達障害の家族を支える配偶者もまた“カサンドラ症候群”という悩みを抱えていることが多いそうです。「大人も大変な時代です。一緒に取り組んでいきましょう」と優しく話してくれました。

　虐待を受けるなど混乱した子供時代の生きづらさを抱えたアダルトチルドレンの方の苦しみ、ひきこもっているご本人やご家族の思いにも誠実に寄り添い続けます。ご本人の思いを納得がいくまで聞き続けることで、次第に生きる力が湧き出てくる、そんな姿に出会うと岸井さんは心から嬉しくなるそうです。
　そのような体験の中である方からの言葉が忘れられないといいます。「若い頃からいろんな病院に行きカウンセリングも受けてきた。どうしても改善しなかったが、先生のところで話を聞いてもらうことで毎日が安定して過ごせるようになりました」

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