「どちらにお勤めですか?」~ビジネス英語スキル
以前の職で、英語圏の様々な国のスタッフを統括する仕事をしていた関係で、私は元部下の人たちから今でもしょっちゅうjob referenceを書くことを頼まれます。日本人からは頼まれたことがなかったのですが、最近になって続けて二人から依頼を受けました。一人は現在カナダ在住の元私の部下(Xさんとします)で、もう一人は受講生の一人(Zさん)です。Xさんはreferenceとはどんなものかは知っていましたが、日本での勤務経験には必要ありませんでした。そのため、カナダで仕事につくために必要な推薦状を英語で書いてくれるよう頼める人が私以外にいませんでした。Zさんは近々海外の会社の日本支社に転職するのですが、その人事部にreferenceを2通用意するように言われたので、私が相談を受けました。
まず、日本での場合を考えてみたいと思います。日本では、reference は推薦状と呼ばれる事が多いと思いますが、転職の際にはあまり必要ないようです。大学入学や奨学金申請、就職に際して学校長の名前で在籍校から出されるものが一般的で、その他表彰などの際に所属機関から提出されるもの、などです。そういった場合、依頼をすればしかるべき機関より封をした推薦状がもらえ、本人は見る事ができないのが最も正式な形でしょう。
欧米でreferenceと言う場合も根本的には趣旨はあまり違わないと思います。違うのは、転職の際に使われる事が多く、そのほとんどが前職で本人の仕事や人柄についてよく知っている人(上司など)に書いてもらうのが一般的だという点でしょう。また、大学院進学にも必須です。その場合は、所属あるいは卒業大学の教授によるものを一通は含むことが要求されます。たいてい、異なった人物による2通以上のreferenceを要求されるものです。日本語のものと同様に、英語で書くときの決まりごとがありますので、英語で推薦状を書いた事がない人に頼むのはなかなか大変なことです。かと言って日本で仕事をしていれば、書ける人が3人も見当たらない、と言うのが普通でしょう。
あるサイトでreferenceに関するブログを見つけました。おそらく30代研究職と思われるこの男性は、留学先の大学に3通のreferenceを提出するように言われ、卒業した大学のゼミの教授、直属の上司、研究室長の3人に依頼します。3人とも「下書きしてくれたら目を通してサインをします」という返事だったので、文体を変えて自分をほめちぎる推薦状を3通、英語で自ら作成したそうです。確かに、多忙な中、何年も前の恩師や上司に、ご無沙汰を詫びながら推薦状を英語で書いてくれるように依頼するのはとても気が引けることでしょう。
しかし、やはり自分で作成してしまうのは注意が必要です。最近では審査の際に、TOEICやTOEFLのテストスコアで見る事のできない本人の人物像について、referenceに何と書いてあるかを重視することもあるからです。本人の身元保証的な要素も入ってきますので、就職や転職の場合には、推薦状を書いた人物に身元の照会がくることも時にはあります。
と言うわけで、次回はreferenceの種類とその内容の違いについて説明したいと思います。
http://mbp-japan.com/hyogo/kobebs/column/38315/
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