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第1回無為塾(講演会&詩集読書会) 終了しました!

長谷川満

長谷川満

テーマ:無為塾

6月28日(土)午後1時30分から姫路文学館 望景亭で第1回無為塾を開催しました。





こんな素敵な場所です。





お庭もとても綺麗で癒されます。






1、無為について


無為とは「作為を捨てて自然にお任せしていこう」という心のありようを言います。
これを子育てに当てはめますと「子どもを管理、コントロールするのをやめて子どもに任せていこう」ということです。
そういうふうな心持ちでいますと心に4つの余裕が生まれます。

4つの心の余裕


1つ目は「待つ」余裕が生まれます。
子育てには本当に「待つ」余裕が大切ですね。

2つ目は「許す」余裕が生まれます。
許す余裕ができますと夫婦喧嘩もしなくて済みますし、親子喧嘩もしなくて済みます。
家庭が平和なのが一番幸せです。

3つ目は「楽しむ」余裕が生まれます。
心に余裕ができて初めて子育ても楽しむことが出来ます。
また楽しんでする子育ては子どもの自己肯定感も高めますし、楽しんでいること自体がさらに心の余裕を生みます。

4つ目は「感謝する」余裕が生まれます。
サッカー日本代表チームで最年長の長友佑都選手が昔イタリアのチームで大活躍していた頃、こんなことを言っていました。
「サッカーで大切なのは動きの中でフィールド全体が見えていることです。フィールド全体が見えるためには心に余裕がないとダメなんです。その心の余裕はどこから来るかというと日頃の感謝から来るんです。色々なことに気がついて感謝できるということは心にそれだけ余裕があるということ。だから普段から何事にも感謝するように心がけています。」

そういう「待つ」「許す」「楽しむ」「感謝する」心の余裕が幸福に繋がります。




2、愛の子育てとエゴの子育て


さて今回の講演テーマは「愛の子育てとエゴの子育て」です



愛の反対はエゴ


最近、愛の反対は無関心であるとよく言われます。
「愛する」の反対は「憎しみ」であるように思いがちですが、この2つは容易に入れ替わります。
ストーカーなんかはその良い例です。
愛も憎しみも相手に執着しているという意味ではよく似ています。
その点、「無関心」は相手に対して無執着ですからそういう点から見れば愛の反対とも言えます。

どの観点から見るかで反対の意味って変わってくるんですね。
今日は新しい観点を提案したいと思っています。

愛の反対はエゴです。

愛とは愛する人に喜んでほしい、愛する人が幸せであってほしい、そう願う心です。
つまり「利他」です。
その反対にエゴは自分の利益、喜び優先です。
つまり「利己」です。



そういう「利他」「利己」の観点から見ると愛の反対はエゴになります。


愛の子育ては無為の子育て


愛するとはそのままを愛することであり、一言で言いますと「変えようとしない」ということです。
あなたのままで100点満点ということです。
つまり愛するとは無為の実践です。
ですから愛の子育てとは無為の子育てであり、それを言葉で表現するなら
愛の子育てとは「いい親になろうとせず、いい子に育てようとせず、ありのままの自分でありのままの子どもを愛していく。それが一番楽で、一番幸せで、一番子どもが伸びる子育てです。」

では、その反対のエゴの子育てを言葉で表現するとどうなるでしょう。
エゴの子育てとは「いい親であろうと子どもに厳しく接し、いい子に育てようと子どもを管理、コントロールしようとし、努力、努力と子どもに求め、自分もしんどい、子どももしんどい。親が努力している割には子どもがちっとも伸びない。」というのがエゴの子育てです。

努力も善し悪し

エゴの子育てのキーワードは「努力」です。
日本人は子育てにおいて努力、努力て言い過ぎなんです。
仕事なら努力も大切です。
でも子育てにおいて親が努力して我が子を良い子に、優秀な子にしようとしたり、子どもに努力を強いることは逆効果になることが多いように思います。

世の中には真反対だけど両方正しいということがあります。



努力することも大切だし、今に感謝することも大切です。
どちらも正しい。
仕事なら努力は大事です。
でも恋愛や友人関係とかそういうものは感謝が大切です。
子育ても親子関係ですから努力よりも感謝が大切です。

子育ては仕事ではない


以前、家庭教師のご依頼でこんなお父さんがおられました。
「私は子どもの教育を短期的・中期的・長期的な展望のもとに考えています。ついては今の時期はうちの子をこのように持っていってもらいたい。」
その言葉に強い違和感を感じた僕は、つい反論してしまいました。
「お父さん、子育ては仕事ではありません。子どもは親の思い通りには育たないものですし、またそれはそれでいいんじゃないでしょうか。親の思い通りに育てようとすればするほど、お互いに疲れるばかりです。」

 子どもは親の力だけで大きくなるのではありません。
 何よりも子どもに宿る「いのち」が子どもを育てます。
 子どもが健康にすくすく育っているということは、とてもありがたいことでそれは神様やお天道様に感謝するようなことなんだと思います。
 今、仕事を始めあらゆることに効率が求められます。
 そういう思考が知らず知らずに子育てにも忍び込み、仕事のように効率よく努力して「良い子に、優秀な子に、強い子に」育てようとする風潮がありはしないでしょうか。
 そうなってしまうと子育ては豊かで楽しいものなのではなくなってしまいます。
 それはあまりにも残念なことのように思います。




3、子どもがやる気を出す時


 皆さん、子どもってどんな時にやる気になって頑張ると思いますか。
 僕は小学校の時に80点取った時にお母さんが「すごいね。よく頑張ったね。」と喜んでくれたのが嬉しくて勉強しました。
 小学校のテストで80点なんて全然大したことないのに喜んでくれたんですね。
 
 昔の女優さんで宮城まり子さんて方が「ねむの木学園」ていう障がい者施設を運営されていたんですね。
 その施設の子どもたちが絵を描いて宮城まり子さんに見せにくるんですね。
 「まあ、素敵な絵ね。この絵、だいすき。ありがとう。」
 そうおっしゃるんですね。
 喜び、感謝されるんです。
 そうすると子どもたちは喜んで次から次に絵を描いて見せに来るんですね。
 そうして段々子どもたちの絵が上手くなって、ついには本当に芸術的に素晴らしい絵になって、その施設の中に美術館が出来ました。
 
 努力というのは実は「喜んでもらえた喜び」「感謝された喜び」に支えられてあるんですね。
 
 努力と感謝というのは真反対だけど実は支え合っている。
 これを「相補性」と言います。



 リラックスしているからこそ集中できる。
 遊ぶ時間があってリフレッシュできるから仕事も頑張れる。



 これを図示したものが太極図です。




4、心は愛とエゴのバランスで出来ている(心の二元論)


 上の太極図は陰陽が動きながら互いが互いを支え合っている様子を表しています。
 この世界の根源、この宇宙が生まれる原初のエネルギーを表しているとも言われます。
 
 このように2つの正反対のものから世界が成り立っているという考えを二元論と言います。
 例えば陰と陽、光と闇から出来ているという考えですね。

 中国の占いは陰陽五行説と言いまして、この陰陽二元論に立っているんですね。
 コンピューターの仕組みも1と0の2つの組み合わせだけで全ての複雑な処理を行なっています。
 コンピューターはONとOFFの2進法で出来ています。
 この世の全ての物質の素である原子はプラスの電気を持った原子核とマイナスの電気を持った電子で出来ています。
 このプラスとマイナスが引き合っているおかげで原子は作られているわけです。
 そういう意味ではこの世界はプラスの電気とマイナスの電気で成り立っていると言えなくもありません。
 実は人間の心もこの二元論で考えると非常にわかりやすいんですね。
 それが今からお話しします愛の心とエゴの心です。



 

愛の心とエゴの心

 
 


 愛の心は2つのものを1つに結びつける力。
 引きつけ合う力、引力みたいなものです。
 それに対してエゴの心は一つのものを2つに分ける力。
 引き離す力、反発力みたいなものです。
 心はこの2つの原理で出来ていると見ることができます。
 
 愛や慈悲の心、同情や共感、安心や信じる心、感謝や喜び、そういう柔らかくて温かい心、自他一体の心、それらを総称して「愛の心」と呼んでいます。
 
 善悪を判断する心、損得を考える心、疑う心、心配する心、そういう自分の利益、安全を第一に考える力、それらを総称して「エゴの心」と呼んでいます。

 つまり人の心は温かい愛の心(情)と自己中心的な考え(思考力)のバランスで出来ていると考えているわけです。

 もちろん「愛の心=情」は大事ですが、「エゴの心=思考」も大事なんですね。
 科学や経済の発展、人間社会の発展はエゴの心を基にしています。
 考える力がエゴの力ですから、それを否定するのはナンセンスです。
 ただし、その考える力が予期不安や後悔、罪悪感、恥の概念を生み出し人間の悩みの根源ともなっているのです。

 これを象徴的に表しているのが旧約聖書の「楽園追放」です。
 アダムとイブは禁断の知恵の実を食べて知恵を得るのですが、その代償として罪悪感と恥も知る身となります。無垢な心を失った二人はエデンの園から追放されます。
 
 エゴ(自我)の心は思春期の頃から強くなります。
 自分を客観的に見始め、劣等感を持ったり自己嫌悪したりするようになります。
 もちろんその頃から抽象的に物事を捉え思考する力が伸びて来ます。
 そのおかげで自分の考えを持つことが出来、親や先生の考えを批判できるだけの論理力も身についてきます。

 つまり人間は大人になるためにはエゴの力を身につける必要があるのですが、それには劣等感や自己嫌悪を始めさまざまなマイナスの副産物を引き受けなければならないのです。そのマイナスの副産物をできるだけ少なくするために、親は愛の心で思春期の子どもの心を温かく包んであげる必要があるのです。


5、無為の子育て


 これは何も思春期の子どもに限った訳ではなく、子どもを健全に育てるためには親は「愛の心」で子どもに接することが大切です。
 ではもう少し具体的に見てみましょう。
 下の資料をご覧ください。



 1、ありのままを受け入れる
 まずはありのままの自分を許し、受け入れることが大事です。
 自分を責めてはいけません。それは気分が悪くなるだけで何のメリットもありません。
 僕は自分を責めません。反省はしますし、気づくこともありますが、失敗して落ち込むこともいらんことを言って後悔することもありません。
 全部自然の流れの中で起こったことと捉え、プラスに捉えるように心がけています。
 ありのままの自分を許したように、ありのままの子どもも受け入れましょう。
 それが子どもの自己肯定感を高めます。

 2、子どもの気持ちを聴いて聴(ゆる)す
 子育てで大切ことの一つに子どもの話を聴く、ということがあります。
 ただ話を聞くだけでなく、子どもがそのありのままの気持ちを親に表現できているということが大事なのです。
 そのためには子どもの話を子どもの立場になって理解し共感し、尊重する姿勢が必要です。
 聴くとは聴(ゆる)すとも読むそうです。
 これは話を聴いて、理解し、共感し、許すことを意味しているそうです。
 そういう聴き方ができていれば子どもは子ども自身の力で成長していきます。

 (中略)

 5、自分のエゴに気づく
 親は「あなたのために言ってるの!」と自分の考えや価値観を押し付けがちですが、これは親である限り逃れられません。
 僕自身もこの点については皆さんと同じです。
 子どもに自分が考える正解を押し付けたくなります。
 ただ、いつも子どもに言う前に、これは親である自分のエゴからくる押し付けかどうかを考えます。
 そうすると大体がそうなので、子どもに言うてやらねばと思うことの9割は思いとどまって言わずに済んでいます。
 ただ1割だけはどうも辛抱できずに言ってしまいますが、それも大体は親のエゴであることが多いです。
 ですから皆さんも子どもにこれだけは言ってやらねばと思うことがありましたら今一度これは自分の不安や親の勝手な期待から来ているのではないかと再考されることをお勧めします。


 

6、えべっちゃん額


 そのあと20分ほど休憩をした後、詩集「無為 そのままでよかったんだ」の中の好きな詩を発表し合い感想をシェアし合いました。

 今回、参加してくださった方にはお好きな「えべっちゃん額」を1つ選んでもらってプレゼントしました。

 


 









 読書会で使用した詩集「無為 そのままでよかったんだ」(税込1980円)、子育てエッセイ「あなたも子どももそのままでいい」(税込500円)も販売しました。詩集を2冊以上購入された方には特典として色紙サイズの「えべっちゃん額」をプレゼントしました。





次回第2回無為塾は10月に東播磨生活創造センター「かこむ」で入場無料でする予定です。

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長谷川満
専門家

長谷川満(講演会講師)

家庭教師システム学院

発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

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