第46回ペアレントセミナー「子どもの問題にどう向き合えばいいか〜発達障害、不登校、・・〜」

長谷川満

長谷川満

テーマ:ペアレントセミナー

 昨日は第46回ペアレントセミナー「子どもの問題にどう向き合うか ~発達障害、不登校、いじめ、反抗期、進学問題~」がありました。

 今回はお祭り等、地域の行事が重なったせいで参加された方は7名でした。




 
 まずは発達障害の子どもへの接し方について資料をもとにお話ししました。





 その子のありのままを受け入れること。
 これが一番大事です。そしてこれが一番難しいです。
 それは一言で言うと「できないことがあってもいいやん。あなたはあなたのままでいいんやで。今のあなたのままで素晴らしいんやで。」ということです。
 そういう態度で接することによって自己肯定感を育てることが大事です。
 
 否定語(「ダメ!」など)を使わないということは、言い換えると叱らないということです。
 発達障害の子は叱られること、否定されることを極端に嫌います。
 それだけ不安が強いし、自己肯定感も低いんです。
 だから、注意しなければならないことがあった場合は、「ダメよ!」とか「なんてことするの!」という言葉ではなくて、「待って!」とか「何がしたいの?」とか「だったらこうしようか」とかそういう言葉をかけて代わりの行為を教えてあげるなどの対応が必要です。





 発達障害の子は「わがまま」と捉えられがちですが、実は「不安感が人一倍強い」だけなんです。
 こだわりが強いのも、急な変更を嫌うのも、嫌いなこと苦手なことを断固やらないのも、偏食がきついのも、全部不安感から来ているんですね。
 だから安心させてあげることが何よりも大切です。
 安心させてあげるにはどうすればいいか。
 それがこの資料に書かれてある7つの項目です。

 あと、発達障害の子は口頭での指示や説明(聴覚からの情報)はわかりにくくても、視覚情報(パソコンやゲーム)での理解、把握は得意な子がいますので、プログラマーやSEなんかの職業に就いて成功している人もいます。
 そういった意味からも、僕はそういうところに興味や才能を持っているのであればゲームやパソコンも厳しく制限するよりも本人が満足いくぐらい(3時間)自由にらせてあげたらいいと思っています。
 好きなだけ、大好きなゲームやパソコンができたら子どもの心も満ち足りて、かえって親の言うことも素直に聞けるようになりますし、知識の習得においても視覚情報からの方がずっと本人にとっても理解しやすく負担が少ないのでいいと思います。
 ゲームやパソコンのことで無用な反抗や争いも減るので精神衛生上もいいです。

 学習に関しても不安感を持たせないように、できるだけ簡単な問題から教えるようにして成功体験を積ませることが大切です。




 
 例えば、このように式も答えも全部見せてから問題をやらせる。
 わからなかったら見ていいからね。とその式も答えもその子が見やすいところにおいておく。
 つまり、絶対解けるようにしてからやらせるということです。
 これを続けていくうちに子どもの方も理解が進み自信もついてきますから、「先生、いっぺん自分の力でやってみる」と言い出します。もうその時は自力でやらせても解けるんです。そして「自分の力だけで解けたなあ。すごいなあ」といっぱい褒める。そのように教えてもらえると子どもも楽しいし、自信もついて、学習に前向きになってきます。できる喜びや成功体験、褒められる嬉しさ、そういったものが学習意欲を引き出します。

 
 次に不登校の子どもへの接し方についてお話ししました。
 




 度重なるストレス。
 環境の変化。
 パワハラやいじめ。
 うまくできない自分を責める。
 
 こういったことが続くとどうなるでしょうか。
 うつ病になります。
 今や一生のうちうつ病に罹る人は15人に1人だと言われております。
 大人だとうつ病になるのですが、子どもだとどうなると思われますか。

 子どもは不登校になるのです。
 
 うつ病は、それまで無理して、頑張って職場に行って仕事していたのだけれど、ある日ガス欠になったように全くやる気が出ない。動こうとしても動けない。会社に行こうとしても行けない。これは異常事態だぞと医者に行ったら『うつ病です。診断書を書きますから会社はしばらく休んでください。』という感じで発覚します。

 不登校もほぼ同じです。
 それまで無理して、頑張って学校に行っていたのだけれど、ある日ガス欠になったように起きれなくなる。全く学校に行こうという気が出ない。だから積極的に学校に行かない登校拒否ではなく、学校に行くことができない不登校と呼ばれているのです。

 ところが大人がうつ病になると 1、ゆっくり休める。 2、頑張れと励まされない。 3、嫌なことを訊かれない。 4、元の環境に戻されない。という適切な配慮がなされますが、子どもが不登校になると、1、ゆっくり休めない。 2、頑張れと励まされる。 3、嫌なことを訊かれる。 4、元の環境に戻そうとされる。と全く適切な配慮と真逆な対応をされて悪化、長期化、そして再発するというのが今の不登校の子が置かれている現状です。





 仕事でうつ病になった人に職場や仕事の話、嫌なことを思い出すような話は厳禁ですが、不登校になった子にはクラスや部活のこと、勉強のことやこれからのこと、嫌なことを思い出すようなことを親はいっぱい聞いてしまいます。中には問い詰めたり、責めたりしてしまう親御さんもあるでしょう。
 もし、うつ病の人に同じことをしたなら、ほぼ確実に悪化することでしょう。

 だから不登校の子にはまず何よりも安心してゆっくり休むということが必要です。
 「無理して学校に行かなくていいからね。自分から学校に行きたいという気持ちになるまで家でゆっくり休んでいたらいいからね。」と心から言って安心させてあげてほしいんです。
 そして、頑張れと励まさず、本人が聞いて欲しくないことは聞かず、いつもと変わらずに接してあげてください。
 そすれば子どもは子ども自身の力で必ず不登校を乗り越えます。
 
 たとえ中学校の間、不登校であったとしても高校からは楽しく元気に通っている子はたくさんいます。僕が家庭教師で担当した子のほとんどは高校からは頑張って行ってますし、大学に進学する子もとても多いです。
 だから、いま不登校であったとしても大丈夫なんです。
 子どもは子どもの力で克服していくのです。
 そして、それを親の力でしようとしても逆効果なだけです。
 親にできることは子どもを信じていつまでも待ってあげることぐらいです。
 それが親にとって一番難しいことです。
 それが不登校の子どもを持った親の課題だとも言えます。
 そんな風に考えますと子どもの不登校は親が成長するためにあると言えるのかもしれません。

 そうお話しした後「不登校を克服するための10か条」を紹介しました。






 発達障害のお子さんや不登校のお子さんをお持ちの親御さんは日々、「これからどうなるのだろう」と不安な思いで居られることでしょう。だけど不安という意味ではお子さんこそ不安の中で、自信をなくし、自己肯定感もなくし、辛い思いをしているのではないでしょうか。
 そんな不安な思いと日々戦っておられる皆さんにこの歌を応援歌として贈りたいと思います。
 聞いてください。
 「素敵なことがあなたを待っている」

 
 

 その後、いじめ、反抗期、進学問題についてお話ししました。

 最後にお一人お一人にそれぞれ違った詩をプレゼントしました。




 
 
 皆さん大変熱心に聞いてくださいました。
 ありがとうございます。
 またお会いできる日を楽しみにしています。
 




      < リンク >

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長谷川満
専門家

長谷川満(家庭教師)

家庭教師システム学院

発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

長谷川満プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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