子どものためにと思ってすることが全てマイナスにしかならない時がある

長谷川満

長谷川満

 子どものテストは一喜一憂してしまいますね。
 いや、喜ぶことは少なくて憂うことの方が多いかもしれません。
 それが受験生なんかだと不安からきつく叱って子どもが逆切れ、かえって子どものやる気を潰してしまうこともよくあることです。

 子どもの立場からすると叱られるのもイヤだけれど、落ち込まれるのはさらにイヤみたいです。「ああ、ホントに僕はダメなんだ・・」て感じてしまうようです。

 あるお母さんが子どもさんのテスト結果にひどく落ち込まれた時、その子どもさんがこう言ったそうです。「だから、お母さんにはテスト結果を見せたくなかったんだ・・。いつもそんなふうに落ち込んで・・。そんな姿を毎回毎回見せられる僕の気持ちがわかるか!」
 そう言い放ったあと親子の仲は険悪ムードに。
 「子どもの心を傷つけてしまった」と後悔されると同時に「じゃあ、この成績見て落ち込むなっていうの!」という怒りの気持ちもあり、「どうすればよかったのか」と悩まれたお母さんは僕のところに相談に来られました。

 「先生、私はどうしたらよかったのでしょう?私だって感情があります。落ち込むことだってあります。そういう姿を見せたり、愚痴を言ったりすることはいけないことなんでしょうか?」

 僕はこんなふうにお答えしました。
 「今回のことはお母さんも子どもさんもどちらも悪くありません。
  人間ですから子どものテストの結果で落ち込むこともあるでしょう。
  それを子どもに見せちゃいけないなんてことは僕はないと思います。
  ただし、それを見せられる子どもの気持ちは考える必要はあります。
  でも心に余裕がある時はそういうことも考えられますが、心に余裕のない時だってあるでしょう。そんな時は子どもの気持ちまで考えられないことだってあります。
  それと同じく子どもさんだって心が傷ついて、そんなふうにお母さんに言ったことだって責められるものではありません。

  大切なのは親子がそうして本音がぶつけ合えることではないでしょうか。
  子どもがお母さんのコトバや態度に傷ついているのに、もしそれを出せないとしたらそっちの方が問題です。そういう溜め込んだマイナスの感情は後々子どもの心を苦しめたり、親子の関係をとても冷たいものにしてしまいます。
  だからお互いそういう本音が出し合えるってことはいいことでもあるんですね。

  お母さん、
  落ち込まれるお気持ちはよ~くわかります。
  不安に思う気持ちから余計なことを子どもに言ってしまわれるのもわかります。
  なんとかしないと・・って思いますからね。

  でも、親は子どものために何かしてやらないとって思っても、することなすこと全てがマイナスにしかならない時っていうのがあります。
  親は子どものことが心配だから、色々口を出し手を出そうとしますが、それが子どもにとっては全部マイナスにしかならないという時があります。ただただ見守るしかない。それは親にとってとてもつらいことです。苦しんだり悩んだりしてる子どもを前にして何もしてやれないのですから。」

 そう言って、ブログ記事「子どもが悩んでいる時、親はどうすればいいのか」http://hasegawa-mitsuru.seesaa.net/article/310823671.htmlの話をしました

 そのお母さんは若い頃、働いていたときの自分の気持ちを思い出されてたいへん納得されていました。

 「そうですね、先生。何かしてやりたくても何もしてやれない時ってありますね。何もしてやれないとはっきりしたら、少し気持ちが楽になりました。」
 そんなふうに仰っておられました。


 受験生を持つ親の役目は子どもの希望する学校に合格させてやることではなしに、その子どもを応援すること以外には何もないのだと悟って、せめてマイナスのことはするまいと自戒して見守ることであるように思います。

                     (ブログ「長谷川満の親学講座」より)
 



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長谷川満
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長谷川満(家庭教師)

家庭教師システム学院

発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

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