シュタイナーの7年周期説

長谷川満

長谷川満

 僕は、20年ほど前から、ドイツの教育思想家であるルドルフ・シュタイナーに興味を持っていて、その著作をちょっとずつ読み進めています。

 彼は7年を一つの周期として、人生をとらえています。

 0~7歳は「善(安心や喜び、愛情)」を受け取る時代。
 7~14歳は「美(芸術や人間性や自然への美)」を感じ取る時代。
 14~21歳は「真(真実のある世界観)」を受け取る時代。

 21~28歳は「関係性」の時代。(善や愛を実現したい)
 28~35歳は「構築」の時代。(美的生活をつくりたい)
 35~42歳は「問い」の時代。(真に大切なことは?)

 42~49歳は「葛藤」の時代。(正しさを超えた先にある善への気づき)
 49~56歳は「創造性」の時代。(芸術的創作への意欲、美へのあこがれ)
 56~63歳は「本質」の時代。(真に自分らしく生きよう)

 シュタイナーは21年ごとに「善・美・真」が繰り返し、形を変えて成長していくようなモデルを提示しています。
 このコラムを見て下さってる年代は多分、28~49歳前後の方が多いように思いますので、そのあたりを少し解説してみたいと思います。

 28~35歳は「構築」の時代ですから、作り上げることに熱心です。特に理想的な家庭をつくりたい、理想的なマイホームを持ちたい、といった生活基盤や現実的なものの構築に対する衝動が強い傾向があります。
 またこの時代は現実と理想との狭間にあって、色々と悩む時期でもあります。
 そして、それらの悩みを通して成長した35歳前後のこの時期の人の考え方、処世術、人生観は非常にしかっりとした現実的なものです。しかし、どこか弱者切り捨て的で、強者の論理でもあります。

 35~42歳は「問い」の時代です。
 40歳を目前に控えながら、もしくは40歳を過ぎて、確立した生活、安定した地位にありつつも、どこか物足りないものを感じたり、このまま年をとってゆくのかと空しさを覚えたりしやすい年代です。
 時に安定した生活をひっくり返してしまうような事件が起こることもあります。昔から厄年(41歳前後)の頃には、リストラ、病気や事故、親の介護、離婚・・、子どもの不登校などが起こることがあります。こういったことをきっかけにして自分の今までの生き方を見直したりすることになります。
 これは何も悪いことではなく、40歳以降の後半の人生を心豊かに生きる上で必要なことであり、後で振り返ってみると「あのことがあったからこそ」と思えることも多いようです。

 42~49歳は、先の「問い」の続きである「葛藤」の時代。思春期に匹敵する怒濤の年代です。
 本当に色んなことがあります。先が見えない中「どうしたら・・」と途方にくれることもあります。たくさんのしがらみ、責任、義務・・。
 この悩みの多い年代は、悩み多き思春期になぞらえて「 思旬期 」と僕は呼んでいます。何故なら、この後50代からこそ、人生の「 旬 」を迎えるからです。
 人生の「 旬 」を迎えるためには、今までの生き方、人生観の変革が必要です。そういった意味で「捨てる」「放す」といった言葉がキーワードとなります。新しい生き方を手に入れるためには、文字通り古い生き方を「捨てる(放す)」必要があるからです。

 こういった人生を各年代ごとに区分し、その特徴をとらえ、人生全般を見ていくことをライフサイクル論と言います。

 何もこの通りに人生が展開するものではないし、人によってズレやあてはまらないことも多くあるとは思いますが、一つの指標としてみると、多くの示唆やヒントを得られるのではないかと思います。

 特に30代後半から40代にかけては、確かに色々なことが起こりやすい年代であり、それを契機にして、新しい自分や新しい人生を発見されたりする方も多くいられるように思います。人生の旬が50代以降であるとするなら、それ以前に起こる様々な出来事は、その旬を迎えるための「カラ破り」のためにあるとも、新しい自分に生まれ変わるための「生みの苦しみ」とも捉えられます。

 起こることにはすべて意味があって、その意味をしっかり受け止めていくなら、僕たちはいくつになっても成長していけるし、いくつになっても新しい自分に出会うことも出来るのだと思います。




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