花粉の季節、空気清浄機の加湿機能で繁殖するレジオネラ菌。
夏はシャワーだけだから大丈夫?
夏はシャワーだけだから大丈夫?
使わない時期こそ知っておきたい追い焚き配管とレジオネラ菌の話
暑い日が続くと、
「夏は湯船に入らず、ほとんどシャワーだけです」
というご家庭も多いのではないでしょうか。
そうなると、風呂釜や追い焚き配管についても、
「しばらく使っていないから、汚れていないだろう」
と思われるかもしれません。
ところが、ここで一つ知っておいていただきたいことがあります。
使っていないことと、配管の中が清潔であることは同じではない
特に夏は、追い焚き配管を長期間使わないご家庭も増えます。
今回は風呂釜洗浄の現場に携わる立場から、夏場に知っておきたい「追い焚き配管」と「レジオネラ菌」についてお話しします。
そもそも、追い焚き配管の中はどうなっている?
一般的な追い焚き機能付きのお風呂では、浴槽のお湯を配管から給湯器へ送り、温めて再び浴槽へ戻します。
つまり、追い焚きをするたびに浴槽のお湯が配管の中を通ります。
そのお湯には、目には見えにくくても、
* 人の皮脂
* 汗
* 垢
* 石鹸や入浴剤などの成分
が含まれています。
こうしたものが配管内部に残り、時間とともに汚れが蓄積していくことがあります。
私たちが実際に風呂釜洗浄をすると、
「普段のお湯は透明なのに、配管を洗浄するとこんなに汚れが出てくるんですね」
と驚かれることがあります。
お風呂のお湯が透明だからといって、配管内部まで目で確認することはできません。
ここが、浴槽のお掃除と追い焚き配管のお掃除の大きな違いです。
「使っていないから大丈夫」とは限りません
夏場に私が特に気になるのが、
**湯船を使わず、長期間シャワーだけで過ごしているご家庭です。**
追い焚きを使わなければ、当然、追い焚き配管をお湯が循環する機会も減ります。
ここで重要なのは、
「使わない=きれいになる」わけではない
ということです。
すでに配管内部に皮脂などの有機物や汚れが付着していれば、それが使わない間に自然になくなるわけではありません。
そして、水回りの衛生を考えるうえで知っておきたいのが「バイオフィルム」です。
バイオフィルムとは、簡単にいえば細菌などによって形成される「ぬめり」のようなものです。
厚生労働省も、循環式浴槽では汚れやバイオフィルムが生じないよう、定期的な洗浄などを行うことが重要だとしています。
その理由の一つが、レジオネラ属菌です。
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レジオネラ菌とは?
レジオネラ属菌は、もともと土壌や河川など自然界にも存在する細菌です。
つまり、
「レジオネラ菌が存在すること自体が特殊」なのではありません。
問題になるのは、人工的な水環境の中で、菌が増殖しやすい条件がそろってしまうことです。
特に注意されているのが、配管などに形成されるバイオフィルムです。
厚生労働省は、レジオネラ属菌がこうした生物膜などに生息するアメーバの中で増殖することがあると説明しています。
そして、レジオネラ属菌を含んだ細かな水滴、いわゆる「エアロゾル」を吸い込むことで、レジオネラ症を発症することがあります。
重症型であるレジオネラ肺炎では、高熱や咳、呼吸困難などがみられ、重症化することもあります。
だからこそ、温泉や公衆浴場などでは厳しい衛生管理が行われています。
では、家庭の風呂釜も危険なの?
ここは誤解のないようにお伝えしておきたいところです。
「追い焚き配管にはレジオネラ菌がたくさんいる」
「夏になったら家庭のお風呂が危険になる」
という意味ではありません。
私たちも、風呂釜を洗浄しただけで、
「この配管にはレジオネラ菌がいました」
とは判断できません。
レジオネラ属菌が存在するかどうかを確認するには、適切な検査が必要だからです。
ですから、洗浄して出てきた汚れを見て、
「これはレジオネラ菌です」
と説明することもありません。
ただし、厚生労働省がレジオネラ症対策として重視しているのが、
汚れやバイオフィルムを生じさせないことです。
そのため家庭の追い焚き機能付き風呂についても、取扱説明書に従った適切な維持管理が大切です。
必要以上に怖がる必要はありません。
しかし、
「見えない場所だから何もしなくていい」
とも言えないのです。
ご家庭でまずやっていただきたいこと
レジオネラ菌対策というと、すぐに「専門業者に洗浄を頼まなければ」と思われるかもしれません。
しかし、まず大切なのは日常の管理です。
浴槽のお湯を必要以上に長期間残さない。
浴槽や循環口のフィルターを定期的に掃除する。
そして、給湯器メーカーが指定している方法に従って、追い焚き配管のお手入れをする。
市販の配管洗浄剤を使用する場合も、給湯器によって使用できるものや方法が異なることがありますので、取扱説明書を確認してください。
まずは自分でできる管理をきちんと行う。
これが基本だと私は考えています。
それでも配管の中が気になるときは
一方で、
「何年も追い焚き配管を掃除した記憶がない」
「中古住宅に入居したので、以前どのように使われていたのか分からない」
「赤ちゃんが生まれるので、一度きれいな状態にしておきたい」
「市販の洗浄剤を使ったけれど、汚れが何度も出てくる」
といったご相談をいただくことがあります。
こうした場合には、専門業者による風呂釜洗浄も一つの選択肢です。
私たちが行う風呂釜洗浄も、「レジオネラ菌がいる」と決めつけて行うものではありません。
目的は、普段手の届かない追い焚き配管内部に蓄積した汚れを洗浄し、衛生的に使える状態を保つお手伝いをすることです。
夏に湯船を使わないご家庭へ
暑い夏。
毎日シャワーだけで済ませていると、追い焚き配管の存在そのものを忘れてしまいがちです。
でも秋になり、少し肌寒くなった日に、
「久しぶりにお風呂を沸かそう」
となります。
そのとき初めて、数カ月使っていなかった追い焚き配管にお湯が流れることになります。
だから私は、夏に湯船を使わないこと自体を問題だとは思いません。
ただ、
使っていなかったから、配管の中もきれいなはず。
そう思い込まないでいただきたいのです。
レジオネラ菌についても、必要以上に恐れる必要はありません。
大切なのは、菌が増殖しやすい環境をつくらないよう、普段から浴槽や循環口、追い焚き配管を適切に管理することです。
そして自分では確認できない配管内部が気になったときには、専門洗浄という方法もあります。
夏に湯船を使わないことと、追い焚き配管の中が清潔であることは、同じではありません。
秋になって久しぶりに湯船につかる前に、一度、ご自宅のお風呂のことを思い出してみてください。



