「競馬予想は『科学』だ。AIを最強の相棒にして、あなたの『直感』を研ぎ澄ます方法」
「あの人が辞めたら、うちのラインはどうなるのか」
製造業の現場を訪ねると、私はこの言葉を何度も聞いてきました。
30年、40年と一つの設備を守り続けたベテラン。その人の頭の中には、マニュアルには決して書かれていない膨大な知恵があります。
手の感覚でわかる。音でわかる。「なんか、いつもと違う」──その違和感の正体を、本人でさえ言葉にできない。
そして定年とともに、その知恵は煙のように消えていきます。
私は45年間、製造業の設計・生産技術・品質管理、そして海外工場の管理まで、現場の最前線を歩いてきました。退職するベテランの背中を見送るたびに、ずっと同じ問いが胸にありました。
「この人の30年を、どうすれば会社に残せるのか」
その答えとして形にしたのが、「濱田式AI品質スタンダード」です。
マニュアルに書けるのは「何をするか」だけ!
品質管理の書類は、どの会社にも整っています。ISOの手順書も、チェックリストもある。けれど現場を見ると、書類どおりにやっているのに、ベテランは違和感を覚えて手を止める。その"止めた理由"が、若手にはわからない。
書いてあるのは「何をするか(Know-How)」。でも本当に大事なのは「なぜそうするのか(Know-Why)」です。この「なぜ」こそ、誰も書けないまま消えていきます。
同じ不良が何度も繰り返されるのも、根っこは同じです。原因を追及しても、対策欄には「作業者の注意不足」「教育を徹底する」と書かれて終わる。翌月、また同じ不良が出る。まるでモグラ叩きです。
この二つの壁を、AIの力で越えられないか。そう考えて生まれたのが、濱田式の中核をなす二つの"AIの型"──KATANA(刀) と TAKUMI(匠) でした。
◆刀鍛冶に学んだ、2つのAI
あるとき、刀鍛冶のドキュメンタリーを見ていて、私の中で何かがつながりました。
名刀は、砂鉄から不純物を叩き出し、純粋な鋼を取り出す「鍛錬」から生まれます。何度も折り返し、叩くことで、強くしなやかな刃になる。
これは、品質管理とまったく同じ構造だ──そう直感したのです。
KATANA(刀)は、過去の失敗記録を鍛えるAIです。
不具合報告書にこびりついた「注意不足」「精神論」という"不純物"を、AIが感情を持たない厳しいコーチとなって叩き出していく。残るのは、「なぜ壊れたのか」という物理的なメカニズム──純粋な鋼です。こうして、埃をかぶっていた過去の失敗が、二度と同じ過ちを繰り返さないための"武器"に生まれ変わります。
TAKUMI(匠)は、ベテランの頭の中を引き出すAIです。
面白いのは、AIが"逆に質問する"という点です。「なぜ、その瞬間に手を止めたのですか」「もし違う判断をしていたら、どうなっていましたか」。人間のインタビュアーなら遠慮してしまう問いを、AIは何百回でも角度を変えて投げかける。すると、本人さえ言葉にできなかった"勘"が、少しずつ言葉の形を取り始めるのです。
この二つが引き出した知恵は、一つの「ナレッジDB(知識の宝庫)」に蓄えられます。ベテランが辞めた翌日も、その判断基準は組織の中で生き続け、若手が問いかければ答えが返ってくる。私はこの仕組みを「匠ナレッジコア」と呼んでいます。
◆大手電機メーカーとの取り組みが始まりました
このたび、ある大手電機メーカーとご一緒に、この仕組みを実際の現場へ導入する取り組みを開始しました。
計測機器や校正を長年担ってきたベテランの知恵を、TAKUMIで"言葉"にしてDB化する。すでに社内にある膨大なクレーム記録を、KATANAで"研ぎ澄まし"、物理の真因を抽出する。そして最終的に、それらを土台にした「不具合調査アシストAI」を育てていく──。
現場の担当者が困りごとを一行入力すれば、過去の似た事例と、ベテランの判断基準が、根拠付きで返ってくる。そんな"考えるAI"を、その会社自身の環境の中に築いていきます。しかも、社外にデータを一切出さずに、です。
品質保証を何より重んじる大手メーカーが、この考え方に共感してくださったこと。それは、45年間現場を歩いてきた私にとって、何よりの手応えでした。
◆普通のAIと、何が違うのか
「それ、話題の生成AIと同じでは?」と思われるかもしれません。ここが、いちばん肝心なところです。
普通のAIは、症状を聞けば、もっともらしい一般論を返します。ときには、実在しない事例をそれらしく"作って"しまうことさえある。品質の現場で、これは決して許されません。
濱田式のAIは違います。答えるのは、その会社自身のベテランの知恵と、実在する過去事例だけ。 該当がなければ「見つかりませんでした」と正直に言う。そして何より、答えを丸投げせず、「今回のどこが過去と同じですか」と問い返して、担当者自身の"観察する目"を育てていきます。
普通のAIは症状を聞く。濱田式は、判断の理由と観察を聞く──この違いです。
◆目指すのは、"知恵が消えない"現場
私が思い描くのは、こんな未来です。
ベテランが定年を迎えても、ラインは止まらない。その人の30年が、AIに刻み込まれ、若手の中で生き続ける。ある日、新人が「先輩に似た判断ができました」と言う。それを聞いたベテランが、静かに目を潤ませる──。
AIは、魔法ではありません。磨き上げた"論理"と、人の"知恵"を刻み込んでこそ、最強の武器になる。
日本の現場に眠る膨大な知恵を、次の世代へ、そして世界へ。それが、濱田式AI品質スタンダードに込めた、私の願いです。
濱田(高崎ものづくり技術研究所)
製造業の設計・製造・品質管理・海外工場管理に45年間従事。「ベテランの30年をAIに刻み込む」をミッションに、濱田式AI品質スタンダードの構築と普及に取り組む。セミナー・企業向け導入のご相談を承っています。
★「これくらいのことは、普通のAIでも答えが出せるのではないですか?」
濱田式ai品質スタンダード 普通のaiとの違い とは
https://monozukuri-japan.seesaa.net/article/521050426.html


