2026年:中国の最低賃金と都市部所得の実態は?深セン市の平均月収は14,755元(約30.6万円)
7年ぶりの帰国を果たした一人の中国出身男性の視点を通し、激変した中国の「今」を追うドキュメンタリー風の記録です。
★https://youtu.be/ZP9s2pO3khs?si=donWxhKHThivHP9S
序章:7年の空白と重い荷物
羽田空港のロビーには、溢れんばかりの荷物を抱えた一人の男性の姿がありました。
将来は日本で暮らすことを心に決めつつも、せめて実家の家族には日本の玩具や日用品を届けたい、そんな思いが10分の一にも満たないはずの荷物を巨大な山に変えていました。
彼にとって、この旅は単なる里帰りではなく、7年という歳月が作り出した空白を確認するための旅でもありました。
到着:自動化された「スパイ法」下の入国
広州の空港に降り立った彼を待っていたのは、かつての記憶とは全く異なる光景でした。
近年厳格化された改正「反スパイ法」などの影響を恐れ、「捕まったら終わりだ」と冗談交じりに語りながらも、カメラは回し続けられます。
しかし、彼を驚かせたのは当局の監視ではなく、徹底したテクノロジーの導入でした。かつては面倒だった入国審査は、パスポートを開く必要すらない全自動の機械によって瞬時に完了し、スタッフの態度にすら以前のような威圧感は見当たりませんでした。
故郷の変貌:スターバックスがある「田舎」
故郷である湖南省の長沙市に到着すると、そこには「自分が知っている国」の姿はありませんでした。
7年前、国内線の飛行機では座席を奪い合うような「民度の低さ」に身構えていましたが、実際には驚くほど静かで整然とした旅路となりました。
街にはQRコード決済が完全に浸透し、かつては想像もできなかった場所にスターバックスやバーガーキングが建ち並んでいます。特に彼を驚愕させたのは、近所のショッピングモールです。
娯楽の進化: 1,000円ほどで2時間遊び放題になる巨大なゲームセンター。
無人化の波: 夜10時を過ぎると店員が一人もいなくなる24時間営業のコンビニでは、入り口のQRコードを読み取って入店し、無人のセルフレジで決済を終えると自動でドアが開くシステムが完結していました。
家族との再会:変わらぬ味と、変わりすぎた環境
実家に戻れば、家族は彼の体型を見て「化け物だ」と冗談を言いながら、かつての好物であるエビ餃子やツバメの巣のデザートで温かく迎えてくれます。
しかし、食事をしながら語られる友人の話は、厳しい現実を映し出していました。広州で月収9,000元(約18万円)ほど稼いでいた会計士の友人は、再就職先では5,000〜6,000元程度まで条件が下がるなど、経済の停滞と競争の激化(内巻)が若者たちを追い詰めていました。
結末:未知の国への戸惑い
ショッピングモールを歩き、かつての故郷が「都会」へと姿を変え、アニメやIPコンテンツとのコラボレーションが溢れる様子を目にした彼は、ついにこう漏らしました。
「もう中国は満足した、日本に帰らせてくれ」。
それは、便利になり、進化し続ける母国に対する畏怖であると同時に、あまりにも速すぎる変化の中で、自分が愛した「かつての中国」がどこにも残っていないという寂しさの裏返しでもありました。
テクノロジーが社会の隅々まで行き渡り、もはや外観だけでは日本や欧米との区別がつかなくなった中国。
しかし、その輝かしい進化の裏側では、目に見えないところで何かが失われ、あるいは全く別の何かが生まれようとしている——そんな「未知の国」への戸惑いが、彼の7年ぶりの帰国を締めくくりました。


