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海外工場 委託生産契約の注意点(EMS/OEM/技術提携)と取引基本契約書ひな形/協力工場品質管理ツール

2024年5月4日

テーマ:製造業の支援サービス

コラムカテゴリ:ビジネス

海外展開を行うに際して、EMSやOEMなどで製造委託することがあります。
そうした契約の際の一般的注意事項、取引基本契約書ひな形についてまとめてみます。

何ごとにおいても、共同で事業を始めるときには明確な契約を結ぶ必要があります。
特に中国の企業に製造委託する際は、日本の企業に委託する場合と異なり、様々な
点で注意が必要になってきます。何よりも最も重要なことは、自社の目的に合った
契約相手を見つけ出し、信頼関係を構築することです。そのためには相手をよく
知る必要があります。特にトップ同士の相互理解が最も重要であることはは言う
までもありません。

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契約書作成に当たっては、標準的な契約書式集を参考に、自社が何の仕事をどの
ように委託したいかを考えながら項目・内容にもれがないよう、自らが考え、作
成することをおすすめします。その上で、弁護士などの専門家に最終的なチェック
を依頼するとよいでしょう。

素案を自ら作成すべき理由として、委託先企業と、折衝しながら進めていく過程で、
相手企業の経営者の考え方・人となりを理解し、相手の立場からも評価・検討し、論
理的・合理的な、説得力ある契約内容とすることが可能になるからです。常に相手の
立場に立って、一方的なものでなく、相互対等で関係する人々が共存共栄できる契約
条件を考えなければならないのです。

契約内容を検討する際には、契約書が十分機能し、契約内容が成功裡のうちに達成
され、相互の繁栄となることを念じながら行いましょう。そのためにも、あらゆるこ
とを想定しながら、極力詳細かつ明解に作成し、その契約書が相互理解とトラブル発
生を事前に阻止する内容にしなければなりません。

しかしながら、万が一トラブルが発生しないとも限りません。
トラブルが発生すると、日本企業とは異なり、商習慣の違い、言葉の問題などによっ
て誤解が生じたり、憎悪の感情が先に立ち、解決が困難になる場合も多く発生してい
ます。裁判や調停の場に持ち込まれることも想定し、契約の内容には、契約不履行、
契約違反の場合の処置、賠償請求なども明確に明文化しておくことが、外国企業と
の契約では重要になってきます。

 製造委託契約書の具体的な作成事例やチェックポイントを項目別に示してみまし
た。契約内容については、より汎用性を持たせるために、支給品・貸与品や技術支
援といった広義の製造委託契約を想定しています。必要に応じ、別途、技術指導・
支援契約といった詳細契約を結ぶとよいでしょう。

1.頭書
 製造委託者(以下甲)と製造業者(以下乙)の国名、会社名、所在地について
明示する。

2.前文
双方は、両者間の取引が相互の信頼にその基礎を置くことを確認し、協力して誠実
に契約を履行し、もって公正な取引関係を続ける事、顧客に対してはお客様第一の
精神で対応する事を目的として本契約を締結する。

3.定義
 必要に応じ、個別契約、契約品、納期、特許、ノウハウ、発効日等についての
定義づけをおこなう。

(以下項目のみ)
4.支給品、貸与品
5.製造・組立
6.納期・納入
7.受入検査と検収
8.不合格品の処置
9.技術指導・支援
10.安全・災害管理
11.秘密保持義務
12.保証、瑕疵担保責任
13.損害賠償
14.不可抗力による損害
15.代金支払
16.工業所有権の侵害・取得
17.第三者への製造販売の禁止
18.甲の契約解除権
19.契約解除後の措置
20.政府の許認可
21.準拠法
22.紛争解決
23.契約有効期間
24.言語および発効
25.署名捺印

海外企業との取引は、日本国内と異なり、阿吽の呼吸は通じません。
トラブルが生じたときを想定して、自社が損害を被らないように、あらゆる防御策
を契約書の中に盛り込んでおく必要があります。
例えば、
「~の代金を支払うこと。」だけでは足りません。
「~の代金を支払うこと。もし遅延した場合は、延滞金を請求できる。」と記述が
必要です。

また、
「必要に応じて、~データーの提出を要求できる」
「必要に応じて、~立ち入り検査を要求できる」
などを明確に規定する必要があります。
相手企業との取引がうまくいかず、契約を解除しなければならない時など、自社が
被る損害、顧客に与える損害等も考慮した上、記載することをお勧めします。

実際に中国の企業との間のトラブルを解決した経験から、契約書の重要性をこれで
もか、というほど思い知らされました。そして金銭的な後始末に約1年の期間を費
やしました。
中小企業にとって、契約トラブルは、場合によっては、事業全体の存続さえ危ぶまれ
ます。取引開始前の関係が良好な時期に、しっかりと内容を吟味し、契約取り交わし
を済ませておくことが重要です。

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この記事を書いたプロ

濱田金男

ものづくり現場の品質管理、人材育成のプロ

濱田金男(合同会社高崎ものづくり技術研究所)

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