世界の3人に1人は肥満?
高齢者のメタボに残存歯数と食べる速さが関連?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘高齢者のメタボに残存歯数と食べる速さが関連?’という報告です。
日本人の高齢者では、残存歯の本数と食べる速さ、歯間ブラシやデンタルフロスなどの歯間清掃用具を使う頻度がメタボリック症候群と関連する可能性のあることが、愛知学院大学歯学部の研究グループの検討で分かった。同研究者らは「高齢になっても歯の本数を保ち、ゆっくりと食べることがメタボリック症候群の予防に重要だと思われる」と話している。これまで多くの研究で、歯周病や残存歯の本数などで評価する口腔内の健康状態はメタボリック症候群と関連することが報告されている。研究グループは今回、高齢者を対象に、歯周病や残存歯の本数、生活習慣因子(喫煙や飲酒の習慣、運動習慣、食べる速さ、口腔衛生習慣)とメタボリック症候群との関連を調べる観察研究を実施した。
研究グループは、三重県における75歳および80歳の高齢者2,379人から得た一般健診と歯科健診のデータを用いて解析した。メタボリック症候群の判定には体格指数(BMI)を代用し、中心性肥満(BMI 25以上)、中性脂肪高値、HDL-コレステロール低値、血圧高値、高血糖のうち3つ以上に該当する場合をメタボリック症候群と判定した。対象者を残存歯の本数で3つの群(20~28本、10~19本、0~9本)に分けて解析した結果、メタボリック症候群のリスクは残存歯が最も多い群に比べて、10~19本の群では1.23倍、0~9本の群では1.54倍と、残存歯の本数が少ない群ほどリスクは高いことが分かった。
また、生活習慣因子のうち、食べる速さが速いほどメタボリック症候群のリスクが高く(遅い群に比べて速い群で2.06倍)、歯間ブラシなどの歯間清掃用具を毎日使う人は、全く使わない人に比べてメタボリック症候群のリスクが0.71倍と低いことも明らかになった。さらに、残存歯の本数と食べる速さを組み合わせた解析を行った結果、残存歯が20~28本でゆっくり食べる群に比べて、残存歯が0~9本で食べる速さが速い群ではメタボリック症候群のリスクが2.48倍と最も高かった。これらの結果から、研究グループは「高齢者では、残存歯の本数と食べる速さ、歯間衛生用具を使う頻度がメタボリック症候群と関連する可能性が示された。特に残存歯が少なく食べる速さが速い人はメタボリック症候群に注意する必要がある」と結論。一方で、これらの関連については、今後さらなる研究でその背景にある機序などを確かめる必要があるとしている。
以前から残存歯数が健康状態維持にかなり影響しているということは知られていましたが、食べる速さとともにメタボにも関連しているというのは少し驚きでした。残存歯数の維持は一長一短には行きませんから若い時から口腔ケアには気をつける必要がありそうです。