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高齢者の長時間の昼寝は認知症のリスク?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘高齢者の長時間の昼寝は認知症リスク?’という報告です。
高齢者では昼寝の習慣は一般的だが、昼寝は夜間睡眠に悪影響を及ぼすことや健康アウトカムが反比例する可能性が指摘されている。米・University of Californiaの研究者らは、これまでに高齢者における昼寝習慣が心血管疾患、炎症反応、肥満、糖尿病、さらには死亡率と関係することを報告してきた。今回、新たに高齢男性の昼寝時間と認知症リスクとの関連が大規模前向き研究MrOS(Osteoporotic Fractures in Men Study)により明らかにされたと発表した。
同研究者らは、65歳以上の地域在住高齢男性2,751例を対象に、昼寝時間と12年間の認知症発症リスクとの関連について検討した。1日当たりの累積昼寝時間の内訳は、30分未満が1,061例、30~59分が795例、60~119分が642例、120分以上が253例であった。120分以上の長時間昼寝群は、他の群と比べて平均年齢やBMI、うつ病スコアが高く、冠動脈疾患や高血圧、糖尿病などの併存疾患を有する割合が高かった。
昼寝時間30分未満群を対照として、各昼寝時間群における12年後の認知症発症リスクについて検討した。その結果、30〜59分群が1.17倍、60〜119分群が1.30倍、120分以上群が1.80倍と、昼寝時間の長さに比例して認知症発症リスクは上昇しており、中でも120分以上群では80%有意に高かった。同様に、夜間睡眠の質で層別化したところ、昼寝時間と夜間睡眠時間との間に有意な交互作用が認められ、高い睡眠効率(70%以上)や正常な睡眠(5~8時間)が得られ、昼寝時間が長い高齢者ほど認知症リスクが上昇する傾向が確認された。
同氏は研究の限界として、今回の結果は女性や若年者には当てはまらない可能性があることなどを挙げた上で、「高齢男性では昼寝時間の長さに比例して認知症リスクが上昇していた」と総括。今後については、「昼寝が神経変性疾患の有望な前臨床マーカーになる可能性がある」と述べ、昼寝が認知症リスクを上昇させるメカニズムの解明を含めたさらなる研究の必要性を強調した。
最近は昼寝の有用性も取りざたされる様になりましたが、その際も30分以内が推奨されています。ましてや昼間時間帯にあまり行動を伴わないご高齢の方が30分以上の昼寝をすれば夜の睡眠の質が悪くなることはもちろんだとは思いますが、認知症のリスクも高くなるというのはちょっと驚きでした。