30歳男性の1/3が糖尿病発症の可能性?
高齢者糖尿病治療のポイントとは?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は’高齢者糖尿病治療のポイントとは?’というお話です。
2018年5月に開催された日本糖尿病学会にて「高齢者糖尿病の病態と診療のポイント」をテーマに、井藤 英喜先生(東京都健康長寿医療センター 理事長)が教育講演を行った。本稿では教育講演の概要をお届けする。
高齢者糖尿病は2型がそのほとんどを占め、発症原因として生活習慣の集積に加え、臓器の加齢変化が指摘されている。また、患者は糖尿病に加え、高血圧、虚血性心疾患、脳血管障害、腎機能障害、がんなど多彩な疾患を合併していることが多く、多剤を併用しているケースが多い。多剤併用や糖尿病薬で起こる低血糖は、うつ、認知機能低下、QOLの低下、転倒・骨折など、さまざまな弊害をもたらす。とくに低血糖に関し、「高齢者では、無自覚、あるいは症状があっても非典型的な場合もあり、周囲からの注意も必要だ」と同氏は警鐘を鳴らす。また、糖尿病自体が、要介護の原因となる認知症や転倒・骨折などの老年症候群の危険因子であることが明らかにされており、「高齢者糖尿病の診療では、いかに老年症候群の発症・進展を予防するかも含め、考える必要がある」と同氏は指摘する。
高齢者糖尿病の治療では、大きな目標として成人糖尿病と同じく「血管合併症の予防」があるが、同時に、高齢者では「健康寿命の延伸」「老年症候群の予防」「重症低血糖の予防」が重要であり、そのためには「患者背景に即した安全・妥当な治療」の実施が求められる。
食事療法は、75歳以上の後期高齢者ではタンパク質摂取量が少ないほど死亡率が上昇するためタンパク質を含む食品、肉や魚、さらに大豆、ミルク・乳製品、豆類などの摂取が推奨される。運動療法は、定期的な身体活動が代謝異常の是正だけでなく、生命予後、ADLの維持、認知機能低下の抑制に有用であるとされる。歩行、水泳などに代表される有酸素運動、スクワット、ダンベルに代表されるレジスタンス運動のほかに、高齢者糖尿病では、片脚立ちなどのバランス運動が転倒予防に有効であり、これらを絡めて行う必要がある。
最後に「高齢者糖尿病患者の診療は、患者のQOLの維持・向上、現在の生活の継続を支援するという視点から考えた治療を行い、患者の生活背景を考慮に入れ、起こりうる有害事象を避けながら治療を継続していくことが重要だ」と同氏は語り、講演を終えた。
近年の高齢化に伴い、糖尿病患者さんも高齢化してきており、その治療に関しても従来の手法だけでは通用しなくなって来ています。若年者と違い上述の様に高齢者の病態に応じた治療法の必要性が言われる様になりました。紙面の都合上詳細は割愛しましたが、高齢者糖尿病ではなるべく低血糖を起こさない薬剤の選択が最も重要と考えられており、当クリニックでもその様な治療を心がけています。