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腸内細菌が動脈硬化にも影響?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘腸内細菌が動脈硬化にも影響?’という報告です。
近年、腸内細菌が炎症性腸疾患だけでなく糖尿病や脂質異常症といった代謝性疾患や悪性腫瘍、精神疾患などの発症に深く関係していることが分かってきているが、動脈硬化性疾患との関係も注目されている。神戸大学大学院の平田健一教授は第115回日本内科学会で、自身の研究成果も交えて腸内細菌と動脈硬化性疾患との関係を講演、「将来は患者の便のパターンによってプロバイオティクスなどによる腸内細菌で介入する個別化医療の時代が来る」という考えを示した。
平田教授らは、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの心血管危険因子を持つ患者(コントロール群)30例、健常者40例、冠動脈疾患患者30例から糞便提供を受け、腸内細菌パターンを調査した。その結果、コントロール群に比べ冠動脈疾患群はLactobacillales目の細菌が増加し、一方でBacteroides門が減少していた。
冠動脈疾患群の中でもLactobacillales目が極端に多い症例だけに限ると全て多枝病変症例であった。また、他の研究グループではあるが、糖尿病症例、脳梗塞症例でもLactobacillales目が増加しているという報告もある。冠動脈疾患群で少なかったBacteroides門を詳細に調べると、Bacteroides門のある2種類の菌が特徴的に少ないことが分かった。このように、冠動脈疾患患者での腸内細菌パターンが明らかになってきている。
近年、遺伝子検索が比較的容易にできる様になり腸内細菌に関する新たな発見が様々報告される様になって来ました。難治性の炎症性腸疾患に健常人の便を移植するという方法により改善が見られたりと様々な分野での進展が見られる様になりました。将来は個々人の腸内細菌を検査することにより上述の様な個別治療が出来る様になるのかも?知れません。