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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

妊娠中のカフェイン摂取も子供に好影響?

2018年5月4日

テーマ:コーヒーの効用

コラムカテゴリ:医療・病院

妊娠中のカフェイン摂取も子供に好影響?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘妊娠中のカフェイン摂取も子どもに好影響?’という報告です。

 愛媛大学は妊娠中のカフェイン摂取が、生まれた子どもの仲間関係問題に予防的である可能性を示す研究成果を発表した。カフェインは、世界で最も摂取されている精神刺激薬。成人においてカフェイン摂取は健康に良いと考えられているが、妊娠中のカフェイン摂取の安全性は定かではない。これまで、妊娠中のカフェイン摂取と生まれた子どもの行動的問題との関連を調べた疫学研究は少なく、また、その結果は一致していない。

 今回、研究グループは研究に参加した1,199組の母子を対象として、妊娠中に食事歴法質問調査票を用いて妊婦の栄養データを取得。5歳時追跡調査で保護者に、子どもの強さと困難さアンケート(SDQ)の親評定フォームに回答してもらった。2008年の久留米大学の報告に基づき、境界水準あるいは臨床水準にある場合、情緒問題、行為問題、多動問題、および仲間関係問題が認められると定義。正常水準の子どもを基準とし、境界水準或いは臨床水準の子どもの危険率を算出した。妊娠中のカフェイン摂取に寄与する食品は、「日本茶・中国茶」が74.8%、「コーヒー」が13.0%、「紅茶」が4.4%、「菓子類」が4.0%、「ソフトドリンク」が3.7%だった。情緒問題、行為問題、多動問題、仲間関係問題は、それぞれ、子どもの12.9%、19.4%、13.1%、8.6%に認められたという。

 また、1,199名における妊娠中のカフェイン摂取量/日を4等分すると、最も摂取の少ない群と比較して、3番目に摂取の多い群および最も摂取の多い群で、仲間関係問題のリスクが有意に低下したという。その補正危険率はそれぞれ0.52と0.51だった。また、その負の傾向性は統計学的に有意だったという。一方、情緒問題、行為問題、多動問題では、いずれも有意な関連はなかったという。研究グループは、「妊娠中のカフェイン摂取は生まれた子の仲間関係問題に予防的なのかもしれない」と述べており、妊娠中の食習慣の変容により、子供の行動的問題を予防できる可能性を示す非常に関心の高い研究成果であるとしている。

今までもコーヒーを含めたカフェインの有用性は色々と取り沙汰されていますが、妊娠中の摂取に関しての議論が分かれるところだった様です。しかし、今回の報告で妊娠中のカフェイン摂取が胎児、ひいては誕生後の子供さんにも好影響があるとの結果でしたのでコーヒー好きには朗報ですね!

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佐藤浩明

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佐藤浩明(さとうクリニック内科・消化器科)

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