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社会との関わりで糖尿病リスク低減?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘社会との関わりで糖尿病リスク低減?’という報告です。
中年期の日本人男女では社会との関わりがあると糖尿病になりにくい可能性のあることが筑波大学の検討で分かった。これまでの研究で、家族や友人、地域社会、職場といった社会との関わりがあると身体や精神の健康面に良い影響をもたらし、心血管病の予防や認知機能の低下が抑えられる可能性が示されている。同研究者らは今回、社会との関わりと糖尿病の発症リスクとの関連に着目。8年間の全国的な縦断調査データを用いてこれらの関連を調べる研究を行った。
同氏らは、厚生労働省が実施する中高年縦断調査に2005~2013年に参加した50~59歳の男女3万1,615人を対象に、社会との関わりと糖尿病の発症リスクとの関連について分析した。また、社会との関わりの有無については、参加者に調査開始時点に社会的活動(地域の活動やボランティアなどへの参加)や友人との付き合い、同居人の有無、働いているかどうかなどについて尋ねて判定した。
調査開始時点に評価した19因子〔年齢や自己評価による健康度、高血圧や脂質異常症の有無、健康的な生活習慣(食生活や体重への配慮、歯磨き、健診受診など)〕で調整した解析の結果、社会との関わりは糖尿病の発症と逆の関連を示し、その効果サイズは生活習慣の是正と同程度かそれを上回ることが分かった。また、19因子のうち「同居人がいること」が最も糖尿病の予防に効果的であり(危険率0.85倍)、「社会的な活動への参加」(同0.89倍)と「毎年の健診受診」(同0.89倍)が続いたほか、「友人との付き合い」(同0.97倍)と「働いていること」(同0.94倍)も有意に糖尿病リスクを低減させることが分かった。
以上の結果を踏まえて、同氏らは「地域社会への参加や友人との付き合い、同居人がいること、働くことは糖尿病の発症リスクの低減と有意に関連し、これらの影響は生活習慣の是正と同程度か上回る可能性があることが分かった。社会との関わりを持つことで社会的な孤立による健康リスクを減らし、糖尿病予防につながる社会的なサポートを受ける機会が増えるといった利点が考えられる」と述べている。
元々、ヒトは社会的な生き物ですから社会との関わりはとても大事ですし、それが引いては糖尿病のリスク低減にも繋がるというは非常に示唆に富む報告だと思います。これからますます進むであろう超高齢化社会に伴い、糖尿病患者さんも高齢化してくるのは間違いありませんから、今後ますます社会との関わりを考えていく必要があるのかも?知れませんね。