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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

糖尿病患者の診察時間に影響する因子とは?

2017年4月1日

テーマ:糖尿病関連の報告

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

糖尿病患者の診察時間に影響する因子とは?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「糖尿病患者の診察時間に影響する因子とは?」という報告です。
医師が糖尿病患者を診察する時間は患者のHbA1c値が高いほど長くなり、また、1型糖尿病患者やインスリン注射、睡眠導入薬、抗不安薬を使用している患者の場合も医師は診察に時間をかける傾向がみられることが、東海大学の研究グループの調査でわかった。医師側の因子としては女性であることと、40歳未満の医師に比べて40~60歳、60歳以上と年齢が高まるにつれて診察時間が長くなる傾向がみられた。
医師と患者が対面する診察時間は糖尿病診療の質に大きな影響を及ぼし、医師と患者間の関係を良好に保つためにも十分な診察時間を設けることが重要とされている。しかし、実際の臨床現場では診察時間をコントロールすることは困難である。そこで研究グループは、糖尿病患者の診察時間に影響を及ぼす患者側および医師側の因子について検討した。
研究グループは、東京都内にある某病院の大規模糖尿病外来において、2014年4~5月に22人の医師が診察した糖尿病患者1,197人を対象に研究を行った。医療記録を用いて患者の臨床的特徴や診察時間を調べ、患者側および医師側の因子と診察時間との関連を調査した。対象患者の平均年齢は66歳、25%が女性で、2型糖尿病患者が9割を占めており、HbA1c平均値は7.6%であった。解析の結果、対象患者全体の診察時間は平均で10.1分であり、診察時間に影響を及ぼす因子として「(インスリン依存型である)1型糖尿病」「インスリン注射を使用」「睡眠導入薬または抗不安薬の使用」が浮かび上がった。また、診察時間には「HbA1c値」との間にも有意な関連がみられ、HbA1cが高値なほど診察時間が長くなることがわかった。HbA1c値が「7.0%未満」の患者に比べて、「7.0%以上8.0%未満」、「8.0%以上9.0%未満」、「9.0%以上」の患者ではHbA1c値が高値なほど診察時間が長くなり、「7.0%未満」に対する比はそれぞれ1.03、1.16、1.17であった。「体格指数(BMI)」との間にも有意な関連がみられ、BMIが「20以上25未満」の患者がもっとも診察時間が短く、それよりもBMIが低い場合も高い場合も診察時間は長くなることがわかった。
さらに、医師側の因子をみると「女性」であることと40歳未満の医師に比べて40~60歳、60歳以上と年齢が高まるにつれて診察時間が長くなる傾向がみられた。研究グループは、この知見を糖尿病患者の診療予約に活かすことで待ち時間を減らして外来の混雑緩和を図れるほか、医師の診察時間を効率的に配分するための対策にも活用できるのではないかと話している。
当クリニックは糖尿病の専門施設ではありませんのでインスリン依存型である1型糖尿病患者さんはおりませんが、やはりインスリンを使用せざるを得ないような比較的重症な患者さんに対する診察時間は多い傾向があると思われますし、血糖のコントロールの指標であるHbA1cが高い方や食事療法の遵守が不十分と考えられる肥満傾向の強い方々への診察に時間をかけていると思います。実際、この様な患者さんに対する十分な配慮によって糖尿病のコントロールが幾らかでも良くなるのでは?という期待があるのも事実です。
       
17.3.31 早咲き桜
 通勤路で見つけた光景。早咲きの桜がこちらでも咲き出しているようです!

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