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隠れインフルエンザは感染するのか?

佐藤浩明

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テーマ:インフルエンザ

隠れインフルエンザは感染するのか?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘隠れインフルエンザは感染するのか?’というお話です。

 今シーズンはインフルエンザが大流行したこともあり、マスコミでは‘隠れインフルエンザ’なる言葉がもてはやされ、臨床現場に少なからざる混乱を招いています。では、インフルエンザに感染していながら症状のない人が実際に感染性を持つのでしょうか?無症状の人も感染性があるということになれば、症状のある人への隔離や出勤の停止だけでは感染拡大を防げないということになってしまう。このため、感染症がコントロール可能性であるかどうかということを考える上で、潜伏期間内に感染性があるかどうかということは大きなファクターであるとされています。

 無症候感染が起こる場合として想定されているのは感染して症状が出現するまでの時期、すなわち潜伏期間の感染性と無症候感染、つまり感染しても症状のない人が感染性を持つかどうかということです。インフルエンザの場合、季節性インフルエンザも新型インフルエンザもある一定の割合で無症候感染が起こると考えられています。

 前述のように発症前の潜伏期間にウイルス排出が見られることは示されていますが、症状のない感染者からもウイルスが排出されていることもわかっています。しかしここでもウイルスの排出があるということが、必ずしも感染性があるということではありません。実際に潜伏期間に感染が起きていることを示唆するデータは非常に限られています。ウイルス排出は症状の重症度と強く相関するというデータや、無症候感染者ではウイルス排出のレベルが非常に低いとするデータもあり、無症候感染者が感染性を持つとしても症状のある感染者に比べればかなり感染性はそれほど高くないと考えられます。

 通常インフルエンザ感染は飛沫感染・空気感染・接触感染いずれの場合にも感染者が咳・くしゃみなどを通してウイルスを周囲にまき散らすことが他の人へ感染を広げる条件となっています。ウイルス排出があるとしても咳・くしゃみなどの症状を持たない状態で無症候性感染が起こる可能性は低いとする意見もあります。

 結論としては、明らかに高い感染性を持つと考えられるのは発症初期の有症者である。潜伏期間内や症状が軽快した後、あるいは無症候感染者にもウイルス排出が見られる場合もあるがこのような場合での感染性は発症初期の有症者に比べればはるかに低いと考えられます。
*厚労省‘新型インフルエンザ対策に対するエビデンスのまとめ’より抜粋し、一部改変

 以前の新型インフルエンザの大流行以降、インフルエンザに関してはかなり神経質になっている傾向があり、ちょっとでも熱が出る様なら検査を勧められる様な風潮があります。その様な中から今回の様に症状がなくても検査でインフルエンザ陽性となる様ないわゆる‘隠れインフルエンザ’なるものが取りざたされる様になったのだと思います。でも、上述の様に症状がない場合は
他人への感染力も低い様ですから、それ程恐れることはないでしょうし、ましてや抗インフルエンザ薬はあくまでもウイルスの増殖を抑える薬剤であることを考えると薬剤を投与することが必要であるかどうかは今後の検討課題かも?知れません。

18.3.14 夕陽

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佐藤浩明
専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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