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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

高齢者の血圧は終末期に向かって低下?

2018年1月4日

テーマ:医療界の新発見?

コラムカテゴリ:医療・病院

高齢者の血圧は終末期に向かって低下?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘高齢者の血圧は終末期に向かって低下?’という報告です。
60歳以降に死亡した人々の死亡前20年間の血圧の変化を調べた英Exeter大学の研究者らは死亡の14年以上前に血圧は最高値になり、その後10年以上にわたって直線的に低下し、最後の2年にはそれ以上に大きく低下していたと報告した。

 血圧は小児期から中年期に掛けて上昇するが、高齢になると安定した値を維持するのか、それとも徐々に低下するのかについては、明らかではなかった。高齢者の血圧低下が起こる理由には、いくつかの仮説が考えられる。(1)加齢による自然経過、(2)心不全などの疾患の影響、(3)より強化した降圧薬治療、(4)高血圧の患者が亡くなったため、見かけ上血圧の低い人が長生きしている、など。

血圧の経過を調べる対象の4万6634人では、女性が51.7%、死亡時の平均年齢は82.4歳だった。高血圧患者は、60~69歳群では55.2%、90歳以上群は67.2%で、心不全患者はそれぞれ7.7%と18.6%だった。死亡前20年間の年間平均収縮期血圧(SBP)は、死亡時の年齢が高いグループほど高かった。60~69歳は139.5mmHg、90歳以上は150.0mmHgだった。どの年齢群でも当初はSBPが上昇しており、最大値を記録したのちに、死亡時点に向かって低下していた。SBPのピーク値は、60~69歳群では死亡の14年前で平均は146.3mmHg、90歳以上群では死亡の18年前で150.8mmHgだった。ピーク値から最後の生存年までのSBPの変化は、60~69歳群では-8.5mmHg、90歳以上群では-22.0mmHgだった。

 これらの結果から60歳以降に死亡した人々では、死亡前10年超にわたって、SBPの測定値が低下していた。晩年にかけて始まる血圧の低下は、高齢者の治療に対する反応のモニタリングや、高齢者を対象とする臨床試験の設計などに影響を与える可能性があると結論している。
 
 この報告は非常に興味深いものだと思います。今までの私自身の理解としてはいわゆる下の血圧(拡張期血圧)は65歳以降にはあまり上昇しないものと考えており、上の血圧に関してはどうなるのかはあまり気にしておりませんでした。ただ、私が知る限りにおいてお一人だけ100歳過ぎまでご存命であった方の血圧は診察していた数年あまりの間170-80以上と降圧薬を飲んでいるにも関わらず高い値を維持しておりました。この報告にもある様にご高齢の方の血圧が低下傾向になった際には注意が必要なのかも?知れませんね。

18.1.2 富士山

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