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コラム
禁煙で大腸がんの予後が変わる?
2017年12月24日
禁煙で大腸がんの予後が変わる?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘禁煙で大腸がんの予後が変わる?’という報告です。
喫煙が大腸がんの発症や死亡に関与することは、さまざまな研究で示されている。一方、大腸がんの診断後に喫煙を続けた場合と禁煙した場合で、予後がどのように異なるのかについては、エビデンスが限られている。ドイツの研究者らは、国際共同疫学研究に参加する14件の研究における大腸がん患者1万2,414例の喫煙行動に関するデータの解析を実施した。
同氏らは、がんの既往がない成人を対象にした14件の前向き研究において、大腸がんを発症した1万2,414例(診断時の年齢中央値は64.3歳)の喫煙行動が予後に及ぼす影響について解析を行った。解析対象となった大腸がん患者の生存状況と死亡原因の情報については、がん診断後の中央値5.1年の追跡期間中に収集。喫煙行動と大腸がん特異的生存率との関連については標準的解析の手法を用いて評価した。
解析の結果、追跡期間中に5,229例が死亡し、うち大腸がんによる死亡は3,194例に認められた。喫煙行動と全生存期間(OS)との関連について、非喫煙群に対する喫煙歴(現在は非喫煙)群、現喫煙群の危険率はそれぞれ1.12倍、1.29倍であった。すなわち、なんらかの喫煙歴がある患者では、喫煙歴がない患者に比べて、死亡リスクが高かった。
また大腸がんの診断後も喫煙していた患者(現喫煙群)と比べて、禁煙した患者(喫煙歴群)では、死亡リスクが22%減少(10年未満危険率0.78倍、10年以上危険率0.78倍)、大腸がん死のリスクも24%減少していた(10年以上危険率0.76倍)。
これらの結果から、同氏らは「喫煙歴がない大腸がん患者に比べて、喫煙歴(過去の喫煙者および現喫煙者)がある患者では、予後不良になる傾向が見られた。また、大腸がん診断後に禁煙した場合には、喫煙を続けている場合に比べて予後が改善されていた」と結論した上で、「今後は、がんの予防の観点だけではなく、大腸がん患者の予後改善の観点からも、特に禁煙が治療効果にもたらす恩恵についてさらに研究していきたい」と展望した。
喫煙そのものが様々ながんの要因になることはいうまでもありませんが、仮に吸っていたとしてもがん罹患後に禁煙することでその予後にも関係するという今回の報告は非常に興味深いものです。現在、2人に一人ががんに罹患すると言われる時代ですから...がんの発症及び予後の点からもやはり、禁煙は大事かも?知れません!
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