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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

高病原性鳥インフルエンザ感染拡大の可能性?

2017年11月13日

テーマ:インフルエンザ

コラムカテゴリ:医療・病院

高病原性鳥インフルエンザ感染拡大の可能性?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘高病原性鳥インフルエンザ感染拡大の可能性?’という報告です。
 現在は中国にとどまっているとみられているH7N9鳥インフルエンザの感染が、今後より広い地域へと拡大する可能性があることが、東京大学医科学研究所の研究者らによる研究で示唆された。これまで、H7N9鳥インフルエンザがヒトからヒトに感染するのかどうかは不明だったが、最近見つかった高病原性のH7N9鳥インフルエンザウイルスが、哺乳類から哺乳類へと飛沫感染することが明らかになったという。
 中国でH7N9鳥インフルエンザのヒトへの感染が初めて確認されたのは2013年だった。その後、同国を中心に約1,600人が感染し、このうち約600人が死亡した。これらはヒトに感染すると死亡率は高いが、家禽では感染しても無症状あるいは軽い呼吸器症状や下痢などの症状のみで済むことが多い低病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスの感染例だった。ところが、2016年に家禽にも死亡をもたらす高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスが中国で検出され、2017年には同国でこのウイルスの家禽からヒトへの感染例も確認された。現時点では低病原性と高病原性のいずれのウイルスについてもヒト感染例は家禽からの感染例とみられており、ヒトからヒトへの感染例はないと考えられているが、今後ウイルスが変異してさらに毒性や薬剤耐性、感染性が強まる可能性はあるという。
 同氏らは今回、感染者から分離された高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスの性状を解析し、マウスとフェレットを用いた実験で哺乳類間の感染はあるのか、既存の抗ウイルス薬の効果はあるのかについて調べた。その結果、高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスのウイルス粒子表面にあるタンパク質にヒト型受容体への認識を高める変異があり、哺乳類で効率良く増殖できる能力を有していることが明らかになった。また、同ウイルスをフェレットに感染させたところ、肺や脳で増殖し、死に至っただけでなく、フェレット間で飛沫感染し、感染したフェレットも死ぬことが分かったという。さらにマウスの実験では、高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスは既存の抗インフルエンザ薬への感受性は低いが、現在日本でのみ承認(ただしパンデミック発生時の使用に限定)されている抗インフルエンザ薬を使用すれば増殖を抑制できることが示された。米国感染症学会の別の研究者は重要なポイントとして(1)高病原性H7N9鳥インフルエンザウイルスは公衆衛生に重大なリスクをもたらしうる(2)ウイルスは絶えず進化するため、それによるリスクも変化する可能性がある―という2点を挙げ、「監視を継続することの重要性があらためて強調された」としている。
 一時、話題となり最近はあまり囁かれなくなっていましたが、密かにウイルスが変異し、ヒトヒト間の感染の可能性も干て出来ない状況が起きうるという深刻な状況を迎えつつある様です。

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