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妊娠中のインフルエンザワクチン接種について
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘妊娠中のインフルエンザワクチン接種について’のお話です。
妊娠中のインフルエンザワクチン接種に関しては時折、どうしたら良いのか?と質問されることがありますが、それに対する答えは是非接種した方が良いというのが私自身のお答えです。その理由に関して下記でご説明したいと思います。
妊娠中は体力が低下しやすく、風邪をはじめとする感染症にかかりやすい状態です。とりわけ、すでにお子さんのいらっしゃる妊婦さんだと、お子さんが学校や幼稚園で病気をもらってくることも多く、インフルエンザもその一つと考えられます。厚生労働省では、流行時期の冬に入る前のインフルエンザワクチン接種を推奨していますし、厚労省のインフルエンザ対策ページにも明記されてはいますが、インフルエンザワクチンの効果は完全とは言えません。当然の如く、ワクチンを接種してもインフルエンザに感染することはありますし、接種したからといって、接種当日からすぐに効果を発揮するものではありません。インフルエンザの抗体が出来るには約2~4週間かかるとされ、予防効果についても個人差によるところが大きいと言われています。
では、何故インフルエンザワクチンを接種した方が良いのでしょうか。それは、インフルエンザにかかると、まれに重症化し脳症などを起こす場合がありますが、ワクチンにはその重症化を予防することは実証済みなので接種が勧められているのです。
それでは妊婦さんがインフルエンザワクチンを接種した方が良い理由とは何なのでしょうか?もし、妊婦の方がインフルエンザにかかってしまった場合、通常はインフルエンザの特効薬とされるタミフルなどを投薬しますが、妊娠中のインフルエンザウイルス薬は、投与症例数も少なく安全性が確認されていないのというのが実情で十分な考慮の上で投与することになっています。妊娠中の投与で有害な事柄は発生しなかったという報告も一部でありますが、安全性、有益性に関する研究データは不足している現状です。
重症化を防ぐためにインフルエンザワクチンを接種した方が良いといっても、妊娠中は赤ちゃんへの影響も懸念されますが、インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであり、毒性はありません。そのため妊娠中に予防接種をしても母体にも胎児にも影響は極めて低いとされ、妊婦さんが希望する場合は予防接種をしても良いことになっていますし、接種時期に関しても妊娠の全期間において可能とされています。ただし、妊娠初期は自然流産の起こりやすい時期でもあることから避けたほうが良いとする意見はあります。接種する場合は接種予定の医師に予め確認をしておきましょう。