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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

今シーズンはインフルワクチンが効きにくい?

2017年10月17日

テーマ:インフルエンザ

コラムカテゴリ:医療・病院

今シーズンはインフルワクチンが効きにくい?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘今シーズンはインフルワクチンは効きにくい?’というお話です。
 通常、インフルエンザワクチン株の選定過程は、厚労省が国立感染症研究所長にワクチン製造株の検討を依頼することから始まる。感染研は「ワクチン株選定のための検討会議」の議論を踏まえて製造株を選定し厚労省に回答。これを受け、厚労省が製造株決定の通知を出している。 
 今シーズンの選定では、AH3亜型に対応するワクチン株は当初、「A/埼玉」が選ばれていた。ところが6月になって、この株の増殖効率が想定より著しく悪く、実際の製造過程において約33%程度と大幅に低下していた。生産量を確保できなければ希望してもワクチンが接種できない人が相当数発生すると見込まれ、急きょ、A/香港株に切り替えられた。AH3亜型に対する反応低下の懸念は残ったままだが、AH1pdm09亜型、B型のビクトリア系統と山形系統のそれぞれのウイルスには効果が見込めることから、このような決断に至ったと理解できる。 
 では、医療の現場はどのような対応を考えておかなければならないのだろうか。インフルエンザワクチンの接種を呼び掛ける際や接種時には、AH3亜型が流行した場合にワクチンの効果が十分でない可能性についての説明は必須になるのではないだろうか。加えて、これはなにもAH3亜型の流行に限ったことではないが、ワクチン以外の予防策の徹底を求めることも忘れてはならないだろう。
 その上で、仮にAH3亜型が流行した場合、ワクチン接種者であっても重症化する症例が出てくるという最悪のシナリオを想定し、その対応を考えておくべきだろう。今シーズンの流行株がどうなるかだが、現時点では混合感染の様相を示している。感染研がまとめているインフルエンザウイルス分離・検出報告数(10月6日、速報値)を見ると、検出されたウイルスはAH3亜型が10件、AH1pdm09亜型が20件、B型(山形系統)が8件だった。A型では今のところAH1pdm09亜型が多くなっている。しかし、地域別で見るとAH3亜型のみが検出されている自治体もあり、現段階ではどちらが流行の主流となるかは見通せない状況だ。AH3亜型にはワクチンが効きにくいというハンディを負って迎えた今シーズンは、例年以上に地域の流行株を注視する必要がある。
 マスコミ等での発表とおり、今シーズンは上記の様な状況のため昨シーズンよりも100数十万人分程度ワクチン供給量が少ないとされています。さらに効果が弱い可能性も否定出来ないとの意見もある様ですので...いつのシーズンでもそうでしょうが、まずはインフルエンザに罹らない様な基本的事項の遵守が今シーズンは必要かも?知れませんね!
 
17.10.16 シクラメン

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