中年期における認知症のリスクとは?
フィンランドで認知症死亡が多いのは何故?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘フィンランドで認知症死亡が多いのは何故?’という報告です。
フィンランドの認知症死亡率は、世界の中でも最も高く、認知症の隠れた原因を探るうえでも、その環境的特徴を理解することは有益である。米国・ドレクセル大学の研究者は、フィンランドにおける環境要因を報告した。
主な環境要因は以下のとおり。
・非常に寒く、湿気が多い気候のため、神経毒性のマイコトキシンを産生するカビを住宅に宿しやすい。
・フィンランド湾およびフィンランド湖には、認知症および認知症関連障害を引き起こすことが知られている神経毒性のβ-N-メチルアミノ-L-アラニンを産生するシアノバクテリアが存在する。
・上記の毒素は、フィンランド水域にみられる水銀やメチル水銀により増強される可能性がある。
・フィンランドの土壌は、自然界ではセレンが少ない。セレン欠乏により、神経毒性に対して保護的に働くグルタチオンの量や有効性を低下させる可能性がある。
著者らは「認知症死亡率の高さは、これら環境要因が影響している可能性が考えられる。今後、この仮説を支持または否定するための研究が必要である。このような環境毒素が組み合わさる世界中の他の地域においても、アルツハイマー病を促進する可能性がある」としている。
最近は日本でも認知症の増加が取沙汰されることが多くなり、その原因に関しても色々と言われています。しかし、今までこの様な環境要因によって認知症死亡が多くなる可能性があるということは知りませんでしたし、逆にこのような様々な物質と認知症死亡が関連するのであればそれが及ぼす影響を調べることで認知症死亡の原因を解明するキーになりうるかも?知れません。