笑いの研究は怒りから?
糖尿病患者さんの本音?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘糖尿病患者さんの本音?’というお話です。
9月29日は世界心臓連合が定めた心臓血管病予防キャンペーン活動を行う日である。この日に先駆け2017年9月26日、都内で糖尿病のセミナーが開かれた。セミナーでは、心血管疾患既往の2型糖尿病患者さんを対象とした意識調査が紹介され、患者さんの2~3人に1人は、心血管疾患を糖尿病の合併症とは認識していなかったことなどが明らかになった。心血管疾患既往の2型糖尿病患者さん104例を対象としたインターネット調査において、患者さんの2~3人に1人が、心血管疾患発症前には、心・脳血管系疾患を糖尿病の合併症だと認識していなかったことが明らかとなった。また、「2型糖尿病が心血管疾患の死亡リスクを約2倍高める」ことを事前に認識していなかった患者さんの8割が「もし知っていたら何らかの対策を行いたかった」と回答した。
このように、心血管疾患を発症した2型糖尿病患者さんの一部は、糖尿病と心血管疾患の関係について事前に知っていれば、よりよい選択をできたのではないか、と後悔していることが明らかになった。この調査結果について、演者の槇野先生は「医療者側は診断時だけではなく、継続的に心血管疾患発症リスクを説明することが重要だ」と述べた。心血管疾患の発症予防のためには、こうした啓発とともに、患者さんの生活習慣の改善と定期的な受診の推進が求められる。しかし、糖尿病患者さんの指導には難しいことが多い。患者さんの中には、「夏は暑いし、冬は寒いし、外に出て歩くなんて無理です」「仕事が忙しいのに運動する余裕なんてありません」とさまざまな理由をつけて、運動を拒否する方も多い。そのような場合、1日のテレビを見る時間が長いほど心血管疾患発症リスクが上がることなどを例に、特別な運動をせずとも、ごろごろしないで家の中を立って歩くよう心掛けるだけでもよいのだ、と伝えると効果的だという。
また、薬剤選択においては血糖値を下げるだけではなく、心血管疾患の発症予防を重視して薬剤を選ぶことも有用だ。最近ではいくつかの新薬で血糖値を下げるだけに留まらない、心血管疾患発症リスクを抑制する効果も示されてきている。糖尿病治療では、血糖値を下げるだけではなく、心血管疾患の発症予防を見据えて治療に取り組むことが重要である。ワールド・ハート・デーをきっかけに、2型糖尿病患者さんの心血管疾患予防について、あらためて意識してみてはどうだろうか。
*槇野久士先生(国立循環器病研究センター病院医長)のセミナー内容を抜粋し、一部改変
実際に糖尿病は発症しても軽症の段階では殆ど症状がありませんから治療も自己中断する方が多く見られます。糖尿病治療の目的は合併症予防のために行うものですが、実は死因の第一位はがんですし、その次に心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患なのです。ということは糖尿病患者さんんは血糖コントロールを十分行うことは言うまでもありませんが、ガン検診や血圧の管理にも十分気をつける必要があるのです。