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健康的な食用油への変更で治療薬と同程度の効果?

佐藤浩明

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テーマ:医療界の新発見?

健康的な食用油への変更で治療薬と同程度の効果?

 おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「健康的な食用油への変更で治療薬と同程度の効果?」という報告です。
 肉やバターなどに含まれる飽和脂肪酸の代わりに、コーン油やオリーブ油などの植物油に含まれる多価不飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸を摂ることを勧める米国心臓協会(AHA)の新しい勧告が報告された。これによりコレステロール値や心疾患リスクが低下し、その効果は脂質異常症治療薬であるスタチンにも匹敵するという。多価不飽和脂肪酸はコーン油、ダイズ油、ピーナツ油などに、一価不飽和脂肪酸はオリーブ油、キャノーラ油、ベニバナ油、アボカド油などに含まれる。一方、飽和脂肪酸は肉やバターなど高脂肪乳製品のほか、ココナツ油やパーム油などの熱帯地域の植物由来の食用油に含まれる。最近、飽和脂肪酸の多い食品を制限する勧告に対して疑問を呈する意見が出てきたため、AHAは今回、最新のエビデンスを精査することにした。
 勧告の筆頭著者である米ハーバード大学院の研究者は、「適切に計画された科学研究では、食事中の飽和脂肪酸を制限することで心臓や血管の疾患を防げることが強く支持されている。この点を明確に示したいと考えた。飽和脂肪酸は、動脈のプラークや心血管疾患の主因であるLDLコレステロール(LDL-C)を増加させる」と話す。同氏らがまとめた勧告によると比較試験の結果、飽和脂肪酸の使用を減らして多価不飽和脂肪酸を選ぶようにすると心血管疾患の発症リスクが約30%減少することが報告されている。これはスタチンと同程度のリスク低下であるという。また、大規模な前向き観察研究の結果、飽和脂肪酸の摂取量が少なく多価不飽和脂肪酸および一価不飽和脂肪酸の摂取量が多い人は、心疾患の発症率が低いことも明らかとなっている。
 一方、ココナツオイルは健康によいと喧伝されているが、いくつかの研究によると、ココナツオイルも他の飽和脂肪酸と同様に、LDL-C値を上昇させることが判明した。また、飽和脂肪酸の代わりに精製された炭水化物や糖分を摂った場合は、心血管疾患リスクの低下は認められなかった。
 同氏は「健康的な食生活のためには、飽和脂肪酸などの好ましくない特定の栄養素を制限するだけでなく、多価不飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸を多く含む植物油、さらにはナッツ類や果物、野菜、全粒穀物、魚など、疾患リスク軽減に役立つ栄養素が豊富に含まれる食品にも注目すべきである」と述べている。
 日本において糖尿病などの生活習慣病が増えた最大の要因は食生活の欧米化、特に脂質摂取の増加だと言われていますが、量だけの問題ではなくその質にも大いに関係があるようです。今回の報告のようにいわゆる悪い油を良い油に変えることだけで悪玉のLDLコレステロールが下がるのであれば副作用もなく、薬いらずとなれば一石二鳥の有用な方法だとも思われます!

17.7.1 花々

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専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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