高齢入院患者は一日900歩以上でADL上昇?
心拍数と寿命は相関する?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「心拍数と寿命は相関する?」というお話です。
心臓と加齢の関係では心拍数と寿命に相関があることは有名ですが、1992年出版され「ゾウの時間ネズミの時間」という本がベストセラーとなったのでご存知の方もいるかと思います。脈の速い動物は短命で、脈の遅い動物は長寿です。例えば、心拍数が30拍/分のゾウは寿命が80~100年です。心拍数が600拍/分のネズミは寿命が2~3年です。ほとんどの生物で総心拍数/寿命は108(1億)~109(10億)の範囲に来ており、生物の総心拍数は約20~25億とされています。
心拍数と死亡率の関係では、ロチェスター大学の研究者もアメリカでの住民台票に基づく複数の研究をレビューした論文で、心拍数が毎分50以上になると徐々に死亡率が高くなることを報告しています。総心拍数が一定の範囲に収まることと方向性が同じ結果となっています。さらに、高血圧・心不全を有する患者で薬物介入時の心拍数と死亡率を見た研究も複数行われています。高血圧患者での試験では、安静時心拍数と心血管事故の発生率間に相関関係があり、心拍数が70拍/分から80拍/分に増えると心血管事故の発生率が31%増加しました。心不全患者で行われた試験では、試験開始時の安静時心拍数が高いほど死亡率が高く、安静時心拍数が10拍/分上昇すると、年間死亡率は約15%上昇しています。
このように心臓機能のライフコースには、他の臓器とは違い心臓の活動総量で規定される因子があるようです。それでは、この心臓独特の活動総量で規定される因子は、どのようなメカニズムでもたらされているのでしょう? 残念ながら今のところ明確な結論は出ていないようです。一般的な遺伝子関係のテロメアやサーチュインが関係する加齢とは違った心臓特異的な加齢の経路が存在するのかもしれません。もしこれが分かれば、心臓のアンチエイジングではないですが、新しい心不全の治療戦略が見えてくるのかもしれません。
*古川哲史さんの「基礎と臨床の架け橋」より一部抜粋・改変
確かにこの正確なメカニズムはまだ、解明されていないというのは本当のところでしょうが、考え様によっては心臓はある意味で全身に血液を送り出すポンプのような物ですからそのポンプ機能に回数の制限があるのは当然かも?知れません。日頃、血圧の高い低いには関心の多い方も黙々と動き続けている自分の心臓の動きに思いをはせてみることも大事かも?知れませんね。
我が家の庭の紫陽花...もう少しで綺麗に咲きそうです!