がんに匹敵する都民病?
PM2.5やオゾンで甚大な健康被害?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「PM2.5やオゾンで甚大な健康被害?」という報告です。
世界の疾病負荷は、過去25年間で、とくに低~中所得国における人口の高齢化、非感染性疾患割合の変化、大気汚染の進行により、増加し続けている。今回、米国・健康影響研究所が行った最新の調査(GBD 2015)では、PM2.5とオゾンによる環境大気汚染が世界的に進行しており、それに伴う疾病負荷の増大の実態が明らかとなった。研究グループは、1990~2015年の世界、地域別・国別の環境大気汚染による死亡および疾病負荷の空間的、時間的な動向を調査した。
衛星で測定した推定値と化学輸送モデル、地表レベルでの測定値、地理的データを統合し、PM2.5と対流圏オゾンの平均濃度を推算した。PM2.5濃度と5つの死因(虚血性心疾患、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患[COPD]、肺がん、下気道感染症)による死亡の相対リスクの関連を推計した。解析では、5つの死因の相対リスクはいずれも、PM2.5濃度が高くなるに従って増加したが、低濃度のほうが高濃度に比べ変化が大きかった。虚血性心疾患と脳血管疾患は、年齢が高いほど、高PM2.5濃度での相対リスクが低くなった。世界全体のPM2.5の平均濃度は、1990年から2015年には11.2%増加したが、2010~15年に急速に増加していた。人口の多い10ヵ国の解析では、日本は全般に低い値で安定的に推移していた。
世界全体のオゾンの平均濃度は、1990年から2015年には7.2%増加した。人口の多い10ヵ国では、中国、インド、パキスタン、バングラデシュ、ブラジルが14~25%増加し、これに比べると日本の増加は小さく、米国とインドネシアは低下した。環境中のPM2.5は、2015年の死亡リスク因子の第5位(1~4位は、収縮期血圧、喫煙、空腹時血糖、総コレステロール)であり、障害調整生存年数(DALY)のリスク因子の第6位であった。PM2.5への曝露は、2015年に420万人の死亡および1億310万人のDALYの原因であった。環境中のPM2.5による死亡は、1990年の350万人から2015年の420万人(370万~480万)へと増加していた。
2015年の世界のCOPDによる死亡の8.0%に、オゾンへの曝露が寄与しており、中国、インド、米国の死亡率が高かった。1990~2015年に、オゾンによるCOPD死亡率は多くの国で増加した。著者は、「PM2.5濃度が大幅に減少しない限り、多くの汚染国の疾病負荷はわずかしか軽減しないが、曝露量を抑制することで大きな健康ベネフィットが得られる可能性がある」と指摘している。
近年、何かと話題ともなって来たPM2.5やオゾンではありますが、上記での報告のように健康へ及ぼす被害はかなり甚大なようです。二酸化炭素排出に関してすらそれぞれの国々の思惑も絡み、国際同意が得られない状況ですからPM2.5やオゾンとなるとさらに問題は複雑かも知れません。しかし、健康被害を起こしていることは間違いないようですから何らかの方策を早急にとる必要はありそうですね!
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