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コラム
肺炎の多くは老衰死?
2017年4月26日
肺炎の多くは老衰死?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「肺炎の多くは老衰死?」という報告です。
死亡診断書の死因病名が「肺炎」「誤嚥性肺炎」とされていた症例の約7割は、実際には肺炎が直接の死因ではなく、加齢性変化による衰弱などによって死亡している――。三重県立総合医療センター呼吸器内科の研究者が日本呼吸器学会で発表した。
肺炎は日本人の死因第3位で、今後も増加の一途をたどることが予想されている。だが死因が「肺炎」とされていても、背景には様々な要因がある。直接の死因は肺炎以外にあることも少なくないが、その実態は不明だ。そこで同氏は、肺炎と診断されて入院による治療を行い、入院中に「肺炎死」とされたケースについて、肺炎の重症度や原因菌、基礎疾患などについてカルテから後方視的に分析した上で、実際の死因について検討した。
対象は、2012年1月から2015年12月の4年間に同病院呼吸器内科で肺炎の入院治療を受け、入院中に死亡した症例のうち、死亡診断書の死因(直接死因)が「肺炎」「誤嚥性肺炎」だった74例。死亡した74例のうち91%が75歳以上で、全身状態が低下したケースが54%を占め、対象者の多くが重症であった。死因を分析する際(1)菌血症(2)広範浸潤影による呼吸不全の2つを狭義の「肺炎死」とした。一方で狭義の「肺炎死」以外の死亡として衰弱死、窒息、肺炎治療後の老衰死、心不全の併発などを挙げた。
対象者74例の直接の死因がそれぞれどの分類に当てはまるかを検討した結果、狭義の「肺炎死」に該当した例は31%に過ぎず、70%近くが肺炎以外の理由で死亡していた。衰弱、老衰、窒息など加齢性変化の影響が大きいことが分かった。死因の具体的な内訳は、狭義の「肺炎死」では菌血症が9例、広範浸潤影による呼吸不全が15例だった。「肺炎死」以外の死因としては、衰弱死13例、窒息死8例、肺炎治療後の老衰死10例、心不全の併発3例などだった。「これは急性期病院の現状なので、日本国内全体でみたら、狭義の『肺炎死』以外の原因で亡くなっているケースはもっと多いだろう」と同氏は分析する。
こうした結果から同氏は、「感染症としての肺炎による死亡は実際には少なく、加齢性変化による衰弱などが直接の原因となり死亡しているケースが多いことが改めて示された。肺炎患者への治療は抗菌薬投与による感染症の制御だけでは完結できず、栄養状態の改善など全身状態を見据えた対応が欠かせないだろう」と話している。
つい先日も当クリニックで肺炎を契機に亡くなった患者さんがおられましたが、その方は元々呼吸器疾患もあった方で今回は上記の定義から言えば広範浸潤影による呼吸不全で亡くなったものと考えられます。肺炎を起こすような患者さんは通常は全身状態が悪い方が多いと考えられます。そうすると純粋に肺炎そのものが直接死因となるよりは上記の様なそれに付随した原因で亡くなる方が多くなるのは想像に難くありません。まずは肺炎を起こしにくくするために常日頃の体調管理が大事ということになりますし、予防的に肺炎球菌ワクチン接種を5年程度をめどに行うというのも大事かも?知れませんね。
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