笑いの研究は怒りから?
医師の説明は何故、患者さんに伝わらないのか?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「医師の説明が何故、患者さんに伝わらないのか?」というお話です。
自分ではきちんと説明したつもりが患者さんにはうまく伝わっていなかった…そんな経験はありませんか? 今回は患者と医療者が協働する医療の実現を目指し活動する認定NPO法人の山口育子氏が、医療現場で起こりがちな患者・医療者間コミュニケーションの問題を紹介し、改善のためのポイントを解説します。
インフォームド・コンセントが「説明と同意」と日本医師会生命倫理懇談会によって訳され、発表されてから四半世紀が過ぎました。それにもかかわらず、医師への苦情として「説明不足」を訴える方が後を絶たず、基本的な内容を「説明されていない」と訴える方が多いのです。最近では説明してくれない医師に出会う機会はまずないと言っていいほど、詳しく丁寧に説明する医師が増えました。それだけに、多くの患者が説明不足を訴えることを不思議に思い、相談者には必ず「説明の時間を取ってもらえなかったのですか?」と確認するようにしています。すると、大きな決断を要するような疾患の場合は、ほとんどの方が「説明は1時間ほど受けました」とおっしゃるのです。さらに相談者の話に耳を傾け、分析した結果、説明不足という訴えの原因の1つは、“インフォームド・コンセント”の定着だということがわかりました。
インフォームド・コンセントは日本に上陸して以来、「説明すること」と解釈されて広まりました。そのため、日本の医療現場におけるインフォームド・コンセントは医師が必要だと思った情報の一方通行になっているのです。そのため、医師が説明し、患者も一度は耳を通過させた内容であっても、理解が足りず、結果的に「聞いていない」ことになっているのです。それでは、せっかく長い時間と多大なエネルギーをかけて説明した内容も生かされません。十分な説明を患者が理解し、情報の共有に至るインフォームド・コンセントのあり方を考える必要があると思います。
その具体的な方策として、医師が説明した後に看護師などから「先生から大切な説明があったと思いますが、どのような治療で、どれくらいの治療効果が期待できるとイメージされましたか?」などと患者に確認し、自ら言語化してもらうようにしてはどうでしょうか。そうすれば、もし患者が誤って思い込んでいる内容があれば浮き彫りになり、足りない情報が見えてきます。その後は、チーム医療で情報の補填をする。治療を始める前の早い時期に情報の共有を図ることが大切だと考えています。
確かに医師である我々にとっては日常的な用語であっても患者さんやご家族には聞き慣れない言葉である事も多々あると思われます。折角、時間をかけて説明してもそれ伝わらなければ十分な説明をしたことにはなりませんので十二分に気をつける必要がありそうです。実際、以前に大病院の著名な先生が一般人向けへの講演を行った際に私自身が聞いていても理解が難しい様な医学用語を連発していたことがありましたが、我々が患者さん達にお話しする際には分かりやすい言葉でということを常に心がけるべきなのだろうと思います!
今朝は当クリニックの待合室にも飾ってある絵の作者であるはせがわいさおさんの壁紙です。ホント、春が待ち遠しいこの頃です!