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脂質異常治療薬投与で大腸がん関連死を予防?

佐藤浩明

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テーマ:医療界の新発見?

脂質異常治療薬で大腸がん関連死を予防?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「脂質異常治療薬投与で大腸がん関連死を予防?」という報告です。
脂質異常症治療薬であるスタチンのがん発症やがん死亡に対する予防効果については結論が出ていない。今回、山梨大学の研究者らがバイオバンク・ジャパン・プロジェクトのデータから脂質異常症患者4万1,930例を調査したところ、スタチン単独療法が全死亡およびがん死亡に対して影響し、とくに大腸がんによる死亡に予防効果を示す可能性が示唆された。
 本研究では、2003~07年に66病院で登録された脂質異常症患者(40歳以上)を最大12年間観察し、死亡原因を調査した。投与薬剤による死亡率はカプランマイヤー法で比較した。全死亡率はスタチンおよび他の薬剤の投与の有無で比較し、がん全体と大腸がんのがん死亡率はスタチン投与の有無で比較した。
 主な結果は以下のとおり。
・登録された脂質異常症患者は4万1,930例、平均年齢が64~66歳、平均BMIは24~25であった。
・スタチン単独療法の患者と生活習慣の改善のみの患者の生存曲線はほぼ同じであった。
・有意ではないが、スタチン使用が大腸がん関連死亡を予防する可能性が示された。
・同じく脂質異常治療薬である陰イオン交換樹脂(レジン)単剤療法における死亡率が最も低かったが、本療法を受けた患者が軽症に偏っている可能性があるため、注意深く解釈する必要がある。
以前からスタチンは悪玉コレステロールと言われるLDLコレステロールを低下させ、心筋梗塞を含めた心血管疾患の発症予防に寄与する薬剤としてもてはやされてきました。しかし、数年前にLDLコレステロールは高い方が良いかも?というとんでも情報がある学会から出され、一時物議を醸していましたが、今回の報告で大腸がん関連予防の可能性も示唆されたことによりその有用性が再認識されたのではないかと思われます!
       
17.2.27 吾妻小富士
 昨朝の吾妻小富士。この時期になっても山頂付近の雪はまだまだ多そうです。

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佐藤浩明
専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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