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検査キットに振り回されるインフルエンザ診断?

佐藤浩明

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テーマ:医療コラム

検査キットに振り回されるインフルエンザ診断?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「検査キットに振り回されるインフルエンザ診断?」というお話です。
検査キットに振り回されるインフルエンザ診断
*薬師寺泰匡先生(岸和田徳洲会病院)のコラムを一部改編し、抜粋
 最近の外来で発熱患者さんが「昨日から発熱してます。実は数日前息子がインフルエンザと言われまして…」みたいなことをいう季節になりました。かれこれ数週間前の話になりますが、実は薬師寺先生もインフルエンザでまるまる1週間ちかくダウンしました様です。
 今回、薬師寺先生は自分のインフルエンザを診断する際、インフルエンザの検査キットを使用しませんでした。薬師寺先生はもちろん、研修医はじめ、その場にいた医師が満場一致で症状等からインフルエンザという診断を下したそうです。ちょうどお子様も発熱しており、通っている保育園でもインフルエンザが流行っていた状況で急激に上昇する体温と急性発症の筋肉痛・関節痛、上気道症状。例えインフルエンザ迅速キット検査が陰性だったとしても、どうみてもインフルエンザ患者と思えたのだとか。だからあえて薬師寺先生は検査などしなかったというのです。
もちろん、明らかにインフルエンザだろうという患者さんを目の前にしたときも、薬師寺先生は検査はせずに素直に診断すると言います。「あなたインフルエンザだと思いますよ」って。検査キットを使うのは、結果が陰性となったときに自分が納得できるくらい検査前確率が低いと見積もっていて、ちょっと悩ましい時だそうです。発熱から数時間で病院に来た患者さんに検査して陰性で、「ちょっと検査するには早かったかな。また明日来てくださいね」みたいなことをする医師もいると聞いたことがあります。でも、これではしんどい中、2度も通院させられる患者さんがかわいそうだし、周囲を感染させるかもしれないので周囲の患者さんもかわいそうです。明日来させるほどインフルエンザを疑っているなら、素直に診断すればいいのにと先生は思うそうです。
 では、検査キットがない時はどうしていたのでしょう?検査キットが発売されたのが1999年ですから、それ以前は臨床症状から診断していたのです。インフルエンザじゃないと判断したら、「明日またインフルエンザの検査のために来てくださいね」と帰すのではなくて、インフルエンザ以外なら何なんだろうということと真剣に向き合わねばならないのではないかと思います。
 薬師寺先生の意見...至極尤だと思います。実際、私自身も流石に感じさんに対してインフルエンザの検査は行いますが、患者さん自身の全身症状や熱の出方・周りでのインフルエンザ患者さんの有無なども考慮して私自身がインフルエンザと判断した際には検査キットが陰性であろうがきちんと患者さんに説明した上で抗インフルエンザ薬を処方します。先頃、千葉市の救急診療所ではインフルエンザを疑う患者さんに敢えて検査をしないという英断を下したそうですが、医師が色々な状況を鑑みてインフルエンザと診断すればインフルエンザと診断して良いと思います。かれこれ7-8年前になりますが、我が家の娘が冬の時期に通っている高校で37度台と熱発し、帰宅。私が症状等からインフルエンザではないと診断したのですが、彼女は「先生が病院でインフルエンザの検査をして来なさい」と言ったので検査をしないと...と医師である私の判断に楯突いたのです。高校生である彼女にしてみれば医師である私の判断よりも先生の言葉の方が重かったのかも?知れませんが、これでは医療費の無駄遣いも甚だしいと感じてしまいました(笑)。

駅前イルミネーション
 この冬、郡山駅前を彩っていたイルミネーションもつい先日で終了したようです!

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専門家

佐藤浩明(内科医)

さとうクリニック内科・消化器科

患者さんに寄り添う医療体制で、「経鼻内視鏡検査」に取り組み、内科・消化器疾患の徹底した検査と治療を行います。信条の「人と、地域と向き合う医療」という姿勢を守り、より高い専門性をもって地域に貢献します。

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