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コラム

親子の共同作業によって長期化が招かれる

2021年11月5日

テーマ:解決のための視点

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

コラムキーワード: 引きこもり支援引きこもり 対策不登校支援

不登校、ひきこもりが、どのような過程を経て長期化していくかについて述べてみましょう。
ひきこもり者たちは、毎日をただ昨日と同じように過ごします。
それが安心できる唯一の方法だからです。
何か変化が起こることは、不安でしかありませんので、違った行動を取ることは極力
避けます。
昨日と同じ過ごし方をしていれば、何も起こらないことが分かっているのでそれを繰り
返すのです。

一方で家族は、昨日とは違う新たな動きを期待し、部屋の中のわが子の気配に意識が向かい、
そこへ囚われが生じます。
毎日、毎日、何か動き出すのか、好転しだすのかと、変化を期待し落胆を繰り返します。
そうなっていくと、問題の全体像が見えなくなり、表面的な一部に惑わされ、本質の問題を
見逃していきます。
本当に改善していくべきことが見えないままとなるのです。

責任の肩代わりが、わが子の自立を阻む

ひきこもりは、自分を蔑ろにする「緩慢な自傷行為」と言えます。
自堕落で不衛生な生活をすることで、自己の成長を阻みます。
ネガティブな自己認識ゆえ、今の自分に相応しい生活ぶりとなっているのです。

そんなわが子の行く末を想うと、日ごとに心配を募らせていきます。
すると、自分自身の不安な気持ちを払拭するために、わが子自身が取るべき責任の肩代わり
をし始めたり、わが子がしでかした後の、後片づけ、後始末をしてしまいます。

たとえば、本人が自分で判断し、実行すべきことを代わりにしてやってしまうことがよく
あります。
通信制高校の課題提出を親がしたり、家中で物を投げたり、壊したりといった行為の後、
物が散乱した部屋を何事もなかったの如く、そのことには何も触れず片づけられたり。
多くは、上げ膳据え膳状態でもあります。

この責任の肩代わりは、自律力を育てません。
「自律力」とは、自分で決めた規範に従い、自発的に行動し、わがままを自分で抑える力
です。
自律力なくして、自立などあり得ません。
「自己判断」「自己決定」「自己責任」は、自律力により可能になるもので、自尊心の
下支えともなるものです。

責任をもつことは、後始末、後片づけまでも行うということです。
責任回避や責任転嫁は、常に物事を放置してしまい、事態の改善を遅延させてしまうこと
になります。
自分の人生に責任をもたなければ、やがて人生から責任を取らされる結果になります。
それがまさに「8050問題」なのです。

親子共々思考停止が続けば

家族としては、本人が何かで苦悩していることは感じられることなので、できるだけ譲歩
して思うままに過ごさせようと努めてはいますが、いっこうに改善の気配が見えてきませ
んと、さすがに心穏やかではなくなってきます。

日中だけでなく、深夜におよびゲームに興じたり、家族からの言葉かけに対して無視を
決め込んだり、自分勝手な態度がありますと、怒りもおぼえます。

その感情を抑え、平常を装おうと、「いつか気づくはず」と自分に言い聞かせ、
「家の事を手伝ってくれているし」
「頼まれごともしてくれているし」
「外出するときだってあるし」と、
本当は気づいていることもそれを隠し、本音の自分の気持ちを誤魔化し、現実を否認して
ゆきます。
こうして思考停止が始まるのです。

この思考停止は、わが子もまた同じなのです。
将来を考えてしまうと、思い煩い不安が強まってしまうだけですから、考えることを止め
ていきます。
現実をまともに考えてしまえば恐怖すら感じてしまいます。
「親亡きあとはどうするの?」という問いかけに、「そんときゃ、そん時」と答える
ひき者たちは少なくありません。
これは「考えていない」という意味です。

(主に行政の)相談窓口などに行きますと、「お子さんを信じて見守ってあげましょう」と
いった極めて無責任な助言(?)があります。
思考停止状態のわが子を見守っていては、どうなってしまうかはもうお分かりですね。
こうやって親子の共同作業としてのひきこもり(不登校)長期化が、進められていくのです。

「私は親の資格がない。もう何も言えない」で、改善が止まる

わが子が不登校やひきこもりの状態になると、親が被る最も深刻な傷みは、
「恐らく自分のどこかが間違っていた」
「もう何も言える資格などない」
「まったく信頼されていない」
「自分にはわが子を動かす力がない」
といった自虐的な思いと自責の念でしょう。
真面目なタイプの親ほどそう思いやすく、過度な罪悪感をもってしまいがちです。

こうなりますと、「もう何も言えない。できない」と、実際にそうしてしまいます。
わが子のふるまいをたしなめることも、励ましていくことも出来なくなってしまうのです。
子どもも親の弱点をよく知っていて、そこを特に責めてきます。
そうしてさらに長期化が進んでいくのです。

怒りと、この自責の念に対しては特に、適切な対応をしていかなければ、
長期化をくいとめることはできないのです。

この記事を書いたプロ

中光雅紀

ひきこもる人、その家族を再生へと導くプロ

中光雅紀(NPO法人地球家族エコロジー協会)

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