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現象の理解が進まなければ、親が先に崩れ、一生のひきこもりとなる

2021年11月21日

テーマ:解決のための視点

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

コラムキーワード: 引きこもり支援引きこもり 対策不登校支援

わが子の改善の見られぬ状態に対しての怒りへの対処法を述べてみましょう。
これは「恕(じょ)」です。ゆるしです。
常に相手の立場に立ってものを考える優しさと思いやり。理解していくことです。

理解が深まれば、現象の意味が分かり、共感が強まります。
怒りや不安が生じるときというのは、その対象が理解出来ていない場合です。
分からないから腹も立つし、不安にもなっていくのです。

「理会(理解会得)」 何が起こっているのかを理解し、そこに至る道理に納得(合点)する。
これが肝心です。
これが出来れば、ゆるせます。

理解のためには、継続的な学びが必要

理解するという点で、親たちは「理解していく」「理解に基づく行動が出来る自分に変わって
いく」という認識があまりもてません。
「こう言ったら学校に行く」とか「こうやったら働き出す」そういった魔法のようなノウハウ
を期待して来られます。

自分たちが何かを継続してやるのではない別の方法はないものか。
もっと言うと、誰かしてくれないかといった姿勢が目立ちます。
「わが子が変わらないか」と、急な変化を望まれます。
それはわが子の成長ではなく、困った事態の消失をです。
ですから、自身が成長していくことで適切に対処できるようになっていくといった考えが
もてないのでしょう。
インスタントで解決できるようなものではありません。

わが子のありようは、両親の価値観の総和

「いかなる問題も、それをつくりだした同じ意識によって解決することはできない」
これはアインシュタインの言葉ですが、問題解決の要訣を示しています。

わが家のひきこもり問題を招いた同じ意識のまま、現状を解決することは不可能です。
意識の元である価値観の大転換が必要なのです。
これまでの生き方を見直し、価値を置いていなかったものの中から、わが子に必要だった
ものを拾い出すことで解決へ事態が動き出します。

価値観は判断する際の基準、物差しです。
その基準により、他よりも優先させるものを選びます。
それは同時に何事かを後回しにします。
その後回しにした事の中に、わが子にとって優先すべきものがあったのです。
価値観が変わらなければ、いつまでもそれに気づかないままになるでしょう。

親の価値観への抵抗感、疑念

ひきこもりは、人に癒されず生きにくさを抱えた人の孤独な自己治療です。
ですから、ひきこもりそのものをただたしなめることは誤りです。
その生き辛さを、子育ての中でのどのような関わり方から与えてしまったかを知ることこそ
が必要なのです。

もうすでに、これまでわが子から訴えられていませんか?
その声に真摯に向き合うことを怠ってはなりません。
人に怯え、人を遠ざけるようになってしまっているその訳を知る必要があります。
なぜ周囲に助けを求めないのでしょうか?

ありのままの自分を認めてもらえなかった子どもは、自分を裏切り、偽りの自分への不信感
から、決して人から求められないといった歪んだ自己認識をもつようになるのです。

自己贖いが「8050問題」を生み出す

親の過度な自責の念からは、自己贖いが始まってしまいます。
わが子の言いなり(要求をすべて受け入れる)になることで、償おうとするのです。
これは、代償(犠牲)をはらうことが償いといった勘違いから来ています。
果たして、償いに実際なるでしょうか?

世話をやき続ければ、わが子は「もっと、もっと」と、世話を受けることで、「愛されて
いる」という、より強い安心感を貪り続けます。
そうなると、自立どころかますます依存(いや寄生)した生き方を増長させることになります。
そうして「共依存」の呪縛に陥り、抜き差しならぬ関係となり、親は子を、子は親を離さな
くなるのです。

自分の命の尽きるまで世話をしてあげることがせめてもの償いという風に思っている親御
さんもおられるようですが、それはわが子を一生世の中に出さないということです。
それは、本当に償いになるのでしょうか?
(もちろんこれは社会的ひきこもりの場合です。疾患や障がいによるものは当協会では
ひきこもり問題と捉えていません)

自分をゆるし和解する

自責の念への対処法は、ゆるしです。
過去の誤りを改めていくことを自分に許すのです。
過去の結果に対して、今、どう対処していくか。
そこでこそ真価が問われるのです。

間違いは誰にでもあります。
自身の非を認め、改善していく姿勢は、わが子に対して手本となります。
常に自分が成したことの結果に責任をもって適切に対処していけていれば、自分を赦して
あげればいいんです。
これから子育てのやり直しですよ。
「親の資格がない」ではなく、この子の親の資格は、あなたにしかありません。

長期化を防ぐためには、親自身が成長のための学びを継続し、これまで述べた長期化の
プロセスを認識し、変わっていくことです。
何を変えるのか?
生き方や問題に向き合う姿勢と、わが子に向き合う態度を変えていくのです。

わが子を真っ先に動かそうとしている限り、長期化はますます進行していくだけです。
子育てのやり直しを自分に許してあげましょう。

この記事を書いたプロ

中光雅紀

ひきこもる人、その家族を再生へと導くプロ

中光雅紀(NPO法人地球家族エコロジー協会)

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