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コラム

現象の理解のために親の学ぶ姿勢が不可欠なのだが

2021年10月5日

テーマ:解決のための視点

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

コラムキーワード: 引きこもり支援引きこもり 対策不登校支援

ひきこもり者(以下ひき者)たちは、過去の痛みに今を支配されている状態にあります。
過去の痛みとは、未解決の悲しみです。
コラム『トラウマを抱えた引きこもり者たちは、自滅へと衝き動かされる』
で述べましたアタッチメント・トラウマをはじめとする未だ癒せないままにある深い傷です。
それらの影響は、自尊心、自己信頼感を揺るがし、衝動の抑制や忍耐力、人間関係を
結ぶにあたっての共感力や思いやり、自己表現力、などにマイナスとなって強く現れます。
ひき者たちの社会、集団への不適応感は、ここに起因しているのです。
ですから、この過去の痛みをそのままにして「前を向いて頑張れ」と言っても、追いつめて
しまうだけになってしまうのです。

予防としての教育

支援が遅くなってしまえば、治療が必要となってしまう場合がでてきます。
不登校・ひきこもりは、基本、疾患でも障がいでもありません。
ひとつの現象にしか過ぎません。
しかし、長期化していくと、当初は無かった病理的なものが発症してしまうことがあります。
強迫性障害や過敏性大腸炎、統合失調症、躁うつ病、自律神経失調症等々。

そうならないための早い支援は、予防であり、最も早い予防と言えば「教育」です。
不登校やひきこもりにならないためにはかねてからどう接しておけばいいのか。
不登校、ひきこもりといった現象の理解がなければ、適切な関りとしての寄り添いが
出来ず、長期化、深刻化を招きます。

居場所でひきこもる

問題は、そういった学びを深める場所がほとんどないということです。
もっと言うと、学びが必要であるということを学べる場所が皆無なことです。
一般的に行われている当事者の居場所や家族会は、その場にはなり得ていません。
単なる家庭からの逃げ場になってしまっています。

現象が起こっている現場は、「家庭」です。
その家庭の状態をより良くしていくための学びを進め、それを家庭に持ち帰る。
ただグチをこぼしあう場になってしまっては、かえって事態を悪化させてしまいかねません。
当事者たちの居場所も、自由にできる(寝ていても、遊んでいても)レクレーションの場だけ
では、社会へ戻れるスキルも力も身に付きません。
ひきこもっている場所が自室から変わるだけです。
家庭を安心して自分でいられる場所にしていくことが、最良の解決法なのです。

ひきこもり現象の本質的問題を学べる場が必要

この学びが必要なことを学べる場所を創っていく活動が〈OKAGESAMA fellowship〉です。
お知らせをご覧ください。

ひきこもりや不登校の解決が遅れる理由としてあげられるのは、解決のために必要な
ことが全く見えていないことです。
当然何を始めるべきかが分かりません。
始めることが分からなければ、解決は遅れます。
これは当たり前ですが、初めてのことですから分からないのも無理もありません。

では何から始めるべきかと言いますと、何が起こってしまっているかを確認することです。
ともすると、登校しないとか、社会生活を送らないとか、見えるところばかりに意識が行き
やすいですが、大事なことは、わが子に何が起こってしまっているのか、わが家に何が
起こっているのかを把握することです。
出来なくなってしまっている原因もそのままに、「けしからん!」という対応を取っていて
も、事態は悪化するだけです。

背景にある他の問題と多くの問題

何が起こっているかを把握するためには、わが子を取り囲む背景を観察することです。
学校環境やわが家です。

わが家の背景は、夫婦(両親)の関係、解決のために意思統一がはかられていますか?
親子のコミュニケーションが取れていますか?
家族の協力が得られていますか?
もしできていなければ、そこから始めるべきです。
出来ていないその理由が、わが子の今(ひきこもり・不登校)に深く関わっているからです。

労を惜しめば何も改善しない

いったい何から始めていけば分からないのは当然だとしても、問題はその分からないこと、
出来ないことに対しての対処が十分でないということです。

長期化してしまったご相談者に対して、「どうして長くなられましたか?」と尋ねますと、
多く返ってくるのが「どうしていいのか分からなかったものですから」です。
「今までどちらか相談に行かれましたか?」
「いえ」
「インターネットでも情報は色々得られますよ」
「パソコンとか苦手なものですから」
と、だいたいこういったやり取りがなされます。

分からないことや出来ないことが出てきたら、調べる、尋ねる、方法を学ぶといったことを
やっていけばいいのです。
それが出来ていません。
であれば、長期化するのは無理もありません。

パソコンはないにしても、スマホは多くの方が所有しています。
しかし、電話としてしか使用していない方も少なくありません。
わが子のわが家の一大事です。
インターネットを検索、閲覧するやり方くらい学習する姿勢をもてないのでしょうか?

適切な対処をとっとと始めよ

どんなことでも、要は対処です。
問題が起こってしまったとしても、対処が適切になされれば、改善、解決、解消はできる
わけです。
放っておけば、長期化、深刻化していくことは当然の成り行きです。

そういうことからも、解決が遅れる顕著な理由は、行動が遅いということです。
万事にスピード感がありません。
やるべきことが分かっても、それを実行に移すまでにも長い時間を要するのです。
相談窓口や講習会があっても、「近所ではないから」との理由で行動を起こさない方も
おられます。
スピード感をもって取り組んでいくことを意識していくことが重要です。

支援の中で当事者たちにも次のように意識づけしています。
「すぐやれ、今すぐやれ、とっととやれ、結果が出るまでやれ!」と。

この記事を書いたプロ

中光雅紀

ひきこもる人、その家族を再生へと導くプロ

中光雅紀(NPO法人地球家族エコロジー協会)

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