35年越しの大型二輪挑戦記 第5回「できると思っていたことが、できなかった日」

このコラムを再開するにあたって
7月28日に発生した熊本地震により、熊本県内では大きな被害が発生しました。
被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
私は地震が発生する約3週間前の7月9日、CB1300をレンタルして阿蘇をツーリングしました。
地震発生後、このような状況の中で、楽しかったツーリングについて書き続けてよいのだろうか――。
そんな思いがあり、しばらくこの連載を控えていました。
しかし時間が経つ中で、私が実際に走って感じた熊本・阿蘇の素晴らしさを伝えることも、自分にできることの一つではないかと考えるようになりました。
復旧・復興が進み、安全に訪れることができる場所から、再び多くのライダーや観光客が熊本・阿蘇を訪れることを願って、このコラムを再開したいと思います。
ライダーなら一度は走ってみたい「大観峰」へ
CB1300スーパーボルドールSPに乗り、阿蘇の雄大な景色の中を走っていると、今回のツーリングで楽しみにしていた場所が近づいてきました。
大観峰です。
阿蘇を代表する展望スポットであり、多くのライダーが訪れる場所でもあります。
大観峰へ向かう道を走っているだけでも気持ちがいい。
目の前には緑が広がり、その上にはどこまでも続く空。
そして、その景色の中をCB1300で走っている自分がいます。
「本当にここまで来たんだな」
ヘルメットの中で、何度もそんなことを考えていました。
30年ぶりのバイク。(60歳でバイク復活しました)
そして65歳で大型二輪へ
私が20代の頃に乗っていたのは400ccのバイクでした。
それから長い年月が過ぎ、もう一度バイクに乗ろうと思ったのは60歳になってからです。
しかも選んだのは、大型二輪免許への挑戦でした。
「この年齢から本当に大丈夫だろうか」
教習所へ通い始めた頃は、そんな不安もありました。
若い頃とは体力も反射神経も違います。
教習では思うようにできず、悔しい思いをしたこともありました。
それでも一つずつ課題を乗り越え、卒業検定に合格。
そして今、自分が取得した大型二輪免許でCB1300を走らせ、大観峰まで来ています。
そう考えると、目の前に広がっている景色は単なる「絶景」ではありませんでした。
私にとっては、挑戦したからこそ見ることのできた景色でした。
CB1300を停めて眺めた阿蘇
大観峰に到着し、CB1300を停めました。
バイクから降りて改めて周囲を見渡します。
広大なカルデラ。
その向こうに連なる阿蘇の山々。
そして頭上には大きな空。
写真や動画では何度も見たことがあります。
しかし、自分自身がバイクでここまで走ってきて見る景色は、まったく違っていました。
風の音。
草の匂い。
遠くに見える山々。
そして、ツーリングを楽しむライダーたち。
「阿蘇がライダーに愛される理由が分かった気がする」
そう感じました。
目的地に着いたことだけがうれしいのではありません。
ここへ来るまでの道そのものが楽しかったのです。
「いつか」ではなく「今」やってみる
大観峰で景色を眺めながら、私は一つのことを考えていました。
もし、
「65歳だから、もうバイクはいいか」
「大型二輪なんて今さら取らなくてもいいか」
そう考えて挑戦しなかったら、私はこの日、この場所にはいなかったでしょう。
年齢を重ねると、何かを始めるときに「いつか」という言葉を使うことが増えてきます。
でも、65歳になった今だからこそ思います。
「いつか」が必ず来るとは限りません。
やってみたいことがある。
行ってみたい場所がある。
挑戦してみたいことがある。
それなら、できる範囲で「今」動いてみる。
大型二輪免許への挑戦は、私にそのことを改めて教えてくれました。
また多くの人が、この景色を見られることを願って
そして、このコラムを書いている現在、熊本は地震からの復旧・復興に向けて歩んでいます。
7月9日に私が見た阿蘇の景色。
CB1300で走りながら感じた風。
大観峰から眺めた雄大な山々。
その素晴らしさは、今でも私の中に鮮明に残っています。
だからこそ願っています。
復旧・復興が進み、安全に訪れることができるようになった場所から、また多くのライダーや観光客が熊本を訪れてほしい。
阿蘇を走ってほしい。
そして、大観峰から広がるあの景色を、自分自身の目で見てほしい。
私自身も、またいつの日か阿蘇を走りたいと思っています。
そのときは今回とは少し違った気持ちで、熊本の道を走ることになるのかもしれません。
「また来ることができた。」
そう言える日を楽しみにしています。
次回予告
次回は、長時間CB1300に乗って初めて分かった、大型バイクの楽しさと難しさについてお話しします。
憧れだけでは分からなかった疲労や体力の問題。
65歳の私が実際に長時間走って感じた「大型バイクとの付き合い方」を、率直にお伝えしたいと思います。
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