感情の風向きって、どういうこと?
駅前を歩いていると、ハトがいる。
人が近づいても、逃げない。
もう少し近づいても、逃げない。
……こちらが避ける。
ずいぶん堂々としている。
ハトは、地面を歩いている。
人間が通ろうが、
足元を横切ろうが、
たいして慌てない。
こちらが歩幅を変える。
ハトは、いつもどおり。
……なんだろう。
この、妙な敗北感。
誰が遠慮しているのか。
人間は、ハトを見つけると避ける。
ハトは、人間を見つけても、たいして避けない。
もしかして。
ハトは、人間を「避けるべき存在」に分類していないのではないか。
こちらは、ぶつからないように気を遣う。
向こうは、歩いている。
……人間側だけが、接遇に力を入れている。
街の主導権
ハトが飛び立つと、ちょっと驚く。
頭上を飛べば、落とし物まで警戒する。
……ずいぶん気を遣っている。
一方のハトは、今日も堂々と歩いている。
人間が勝手に気を遣い、勝手に道を譲る。
ハトにしてみれば、
頼んでもいないのに道が開く。
……ずいぶん便利な街。
今度、駅前でハトを見かけたら、少し観察してみようと思う。
ただし、近づきすぎない程度に。
街の主役がどちらなのか、確認するために。
……いや、、、。
確認するまでもないのじゃないかと思う。
こちらは通行人。
ハトは、通行を許可する側なのかもしれない。



