福岡の偉人:福岡県 主君に異を唱え、信念を貫いた栗山大膳
クジャクが羽を広げると、歓声が上がる。
「わあ、きれい!」
「すごい、写真撮ろう!」
スマホを構える人。
角度を変える人。
動画を撮る人。
……大盛況。
本人は、営業中。
クジャクが羽を広げるのは、求愛のため。
つまり、相手に自分の魅力をアピールしている。
ところが、周囲は大喜び。
本人は恋愛活動中なのに、
観客は観光気分。
どうやら、目的がまったく伝わっていない。
しかも、羽を広げれば広げるほど、人が集まる。
サービスすればするほど、客が増える。
……なんだか、気の毒になってきた。
勝手にショーを開催される。
クジャクにしてみれば、
今は人生をかけた大事な場面かもしれない。
それなのに、周囲からすれば、
「本日の見どころ、クジャクの羽!」
入場料も払わず、最前列で鑑賞。
おまけに、撮影した動画まで持ち帰る。
本人の知らないところで、
立派な観光コンテンツに仕立て上げられている。
しかも、
羽を閉じたら閉じたで、
誰も振り向かない。
……厳しい世界。
魅力を見せると、用途を決められる。
こういうことは、クジャクに限らない。
何かを披露すると、
周囲は勝手に楽しみ方を決める。
本人が何のためにやっているかより、
見ている側がどう楽しめるか。
相手の期待が最優先。
せっかくの魅力も、
相手の都合で別の用途に転用される。
クジャクは求愛のために羽を広げた。
観客は美しいものを見て、満足した。
どちらも間違ってはいない。
……ただ、目的は一致していない。
本人は人生をかけているのに、周囲は娯楽。
……サービス精神も、
考えものではないだろうか。
クジャクさん。
次回からは、
羽を広げる前に利用規約を出しておこう。
「撮影は自由。ただし、恋愛目的です」
それでも人が集まるなら。
もう、求愛どころではない。
集客には成功。
恋愛には未着手。
無料で見て拡散した人だけ得をする。
……広報担当だけが大出世。



