人は身体を動かし体得する
マグロは、
泳ぎ続けないと死んでしまう。
そんな話を、
子どもの頃から聞いてきた。
だから私は、
マグロを見ると、
「大変だなぁ」
と思っていた。
止まれない。
休めない。
ずっと泳ぐ。
……ブラックな魚。
ところが、そうでもないらしい
調べてみると、
マグロはずっと全力で泳いでいるわけではないらしい。
ゆっくり泳いだり、
海流に乗ったりしながら、
ちゃんと休んでいる。
つまり、
泳いでいるように見えても、
本人としては、
「いや、今そんなに頑張ってませんけど」
なのかもしれない。
……なんだ。
ちょっと安心した。
これ、職場でも見かける
会社にもいる。
ものすごく忙しそうにしている。
パソコンを見ている。
電話をしている。
資料を抱えて歩いている。
席に座っている暇もなさそう。
見るからに、
「私、めちゃくちゃ仕事しています」
という雰囲気。
ところが、
よく見てみると、
メールを開いて閉じる。
資料をめくって戻す。
誰かに話しかけて話が長くなる。
そして、
また忙しそうにパソコンを見る。
……泳いでいる。
ものすごく泳いでいる。
でも、仕事が進んでいるとは限らない。
「忙しい」と「進んでいる」は別だった
これ、マグロを見ていると分かりやすい。
動いている。
だからといって、
ずっと頑張っているわけではない。
仕事も同じ。
動いている。
忙しそうにしている。
予定がいっぱい入っている。
それだけでは、
仕事が前に進んでいるとは限らない。
むしろ、
忙しそうに見せる技術だけ、妙に上達している。
そんなこともある。
新入社員が、
先輩のそんな姿を見たら、
「私も急いで仕事をしなきゃ」
と思うかもしれない。
でも、時々見かける疑問行動。
その泳ぎ方、本当に仕事の泳ぎ方ですか?
マグロだって、
流れに乗って休んでいる。
なのに人間だけ、
「忙しそうにしていないとサボっていると思われる」
みたいな謎のルールを作っている。
……魚より、
不器用かもしれない。
仕事は、
速く動くことが目的じゃない。
ちゃんと進めることが目的。
だから、
新人さんも、
先輩がバタバタしているからといって、
一緒になってバタバタしなくていい。
ただし。
先輩の「忙しいふり」まで見習う必要はない。
それは泳ぎ方ではなく、
「泳いでます」という社内向けアピール。
仕事より、
見た目が先に泳いでいる。



