福岡の偉人:福岡市 異色作家の夢野久作『ドグラ・マグラ』
中学生の将来の夢について、最新の調査があった。
1位は「好きなことを仕事にする」。
2位は「安定した毎日を送る」。
3位は「趣味を充実させて生きる」。
そして4位が「お金持ちになる」。
……おや?
夢の段階で、すでに生活設計が始まっている。
夢にも、現実が同席する。
「好きなことを仕事にする」が49.0%。
「安定した毎日を送る」が47.5%。
その差、わずか1.5ポイント。
好きなことをしたい。
でも、安定も欲しい。
夢と現実が、仲良く手をつないでいる。
いや、
よく見ると、
現実のほうが少し前を歩いている気もする。
夢を語っているのに、
隣の席では生活費の計算が始まっている。
まだ中学生。
もっとこう、
世界征服とか、
宇宙飛行士とか、
壮大なものが出てくるのかと思った。
……暮らしの安定も大人気。
世界征服より、毎月の安定収入。
……世界征服も、
維持費がかかりそうだけど。
好きなことには、付属品が多い。
好きなことを仕事にする。
いい響き。
好きなことをして、お金がもらえる。
ただし、
仕事にすると、
なぜか好きではない作業も付いてくる。
料理が好きなら、原価計算。
絵を描くのが好きなら、修正依頼。
文章を書くのが好きなら、請求書。
好きなことだけを選んだつもりが、
知らないうちに付属品が増えている。
しかも、付属品のほうが本体より幅を利かせることがある。
好きなことを仕事にしたら、もれなく「それ以外」も付いてきた。
家電なら、購入前に付属品を確認できる。
仕事は、買ってから説明書にない機能が発覚する。
なかなか油断ならない。
趣味まで、業務拡大。
3位は「趣味を充実させて生きる」
趣味も楽しみたい。
ところが、
趣味というものは、
始めると道具が欲しくなる。
道具がそろうと、
もっといいものが欲しくなる。
もっといいものを買うために働く。
働いているうちに、
趣味をする時間が減る。
……あれ?
趣味を楽しむために働いていたはずなのに、
趣味が仕事の発注元になっている。
しかも、追加発注が止まらない。
趣味のために働き、働くために趣味を我慢する。
趣味が福利厚生なのか、追加業務なのか、もうわからない。
好きなことを仕事にしたい。
仕事とは別に、趣味も楽しみたい。
どうやら、好きなことは一つでは足りないらしい。
お金持ちになったら、解決するのか。
4位は「お金持ちになる」。
好きなこともしたい。
安定も欲しい。
趣味も楽しみたい。
そこにお金があれば、たしかに助かる。
ただ、
お金持ちになったら、
今度は豪邸や高級車が欲しくなるかもしれない。
そして、それぞれに維持費が付いてくる。
お金で夢をかなえたら、
夢のほうから請求書が届く。
……夢も、なかなか手がかかる。
夢にも、終わりはあるのか。
好きなことを仕事にする。
安定した毎日を送る。
趣味を楽しむ。
お金持ちになる。
全部かなったら、どうなるのだろう。
もう欲しいものはない。
毎日が楽しい。
お金の心配もない。
……となれば、めでたし、めでたし。
と思ったら。
今度は「退屈しない毎日」が欲しくなるのかもしれない。
夢をかなえるたびに、
次の夢が追加される。
人間の欲望、定休日がない。



