驚くべきAIの実用化:私たちの日常に迫る未来の技術
産業カウンセラーの鎌田千穂です。
チホズスタジオは福岡市に拠点を置き、オンラインや訪問をあわせた産業カウンセリングを行っています。
他にも下記のことを実施
- 産業カウンセリング及びコンサルティング。
- 人材育成の仕組みづくりのための自発的行動を促す教育研修。
- 「業務改善・組織変革」の企画提案実施。
- チホズ文字分析による人材分析及び提案。
先日の取材内容、反響が大きかったようでして。
見てくださる方の多さも驚きでした。
離職率は変わらない。でも、辞める経緯と影響が変わった
「最近の若手、なんでこんなに辞めるの?」と企業の人事担当が頭を抱える姿と話題。
そして退職代行を利用している新卒離職者の話題でもてはやされています。
毎年ネタは繰り返される。
新人が入社してすぐに離職することについての話題は、もはや風物詩。
目次
ですが現実はどうかを知らない方も多い。
これまで人材育成をしてきた側として伝えると、3年以内の離職率はこの仕事を始めてから変わっていません。
同じくGW明けの退職についても一定数いて不変。
単に、視聴率稼ぎや広告収入のために、単に面白おかしく取り上げて話題にしているだけ。
真実は簡単に歪められる
これまで5万人を超える人材を育成し、5000人を超える方の産業カウンセリングをしてきた統計上を基に、”数多い観点からの事実”を伝えたとしても伝わらない。
何故なら、メディアやインターネット情報を真に受けて信じ切っている方々には、数回伝えた程度ではさっぱり伝わらない。
中には自分の人生を否定をされているという認知の歪みから生じる。
そして、私情が混じり、被害妄想に溺れてしまい、あたりどころのない怒りで感情的な八つ当たり攻撃に合うことも良くあるのです。
そういったこともあって、認知の縛りや歪みを解いていくために、産業カウンセリングが必要になるのです。
~ちょっと余談~
取材のときにも、今も昔も3年以内や数日で辞めるということは普通にあった。
数の問題で見過ごされてきただけと話しました。
当日の番組わかったことは、その内容を近木記者と取材班が調べてくださっていたようで、番組放送の際に離職状況のグラフを準備して放送してくださっていたことに感激。
最近では、面白おかしく誇張した視聴率稼ぎの番組を作りがちなメディアが増えた中で、失われつつある真のジャーナリスト魂を持つ方々がいることを知れて、TNCテレビ西日本の「記者のチカラ」のファンになりました。(笑)
…とはいえ、新人の離職率が急に上がったわけじゃないけれど、辞める際の意思決定の「背景」が変わったことは意識する必要があります。
昔の離職理由
→「職場が合わない」「待遇が悪い」「上司が怖い」
今の離職理由
→ ”職場が合わない” ”待遇が悪い” ”上司が怖い”と感じたら即座にネット検索。
- SNSで転職成功例ばかり目に入る
- 辞めるのが正解っぽい空気がある
という印象操作に乗せられてしまっている。
そう、令和の新人は、SNSで「辞めたら人生好転した!」という話をたっぷり浴びながら、離職を考えているんです。
ちょっと賢そうなネーミングにすると、これを「情報環境による離職現象」と呼ぶことができますね。
…さて、企業はどう対応すればいいんでしょう?
令和の新人が「辞めます!」と決めるまでの心理的トラップ
1.SNSが「辞めろ辞めろ!」と囁く
新人が「仕事しんどいな…」と検索すると、SNSのアルゴリズムが華麗に「辞めるのが最適解!」という投稿を優先表示。
気づけば、「続ける」という選択肢が視界から消え失せる。
2.エコーチェンバーで離職の決断が加速する
「私も辞めた!」「辞めて人生変わった!」という投稿ばかりが並ぶと…
「辞めないのは負け組?」と錯覚してしまう。
3.「辞める=勇気」「残る=停滞」という偏った価値観
「転職こそ人生のアップグレードだ!」という風潮があるが、冷静になれって話ですよ。
辞めるのも選択肢だけど、「続けて成長する」ってのもアリじゃない?
企業が「辞める決断を未然に防ぐ」ための抜本的な改革
1.情報の透明性を高める:SNSよりもリアルな企業文化を伝え
新人が入社前に企業の本当の姿を理解できるようにすることで、入社後のミスマッチを減らす。
例えば、
「入社前に既存社員と話せる場を設ける」
「仕事のリアルな側面をSNSで発信する」
など、企業が発信する情報の質を変える。
2.キャリアの選択肢を広げる:離職=唯一の選択肢にしない
「会社で働く=ずっと同じ仕事」ではなく、社内異動や役割変更を柔軟に行える環境を作ること。
そして転職に頼らずキャリアを築けるようにすることを見える化。
3.心理的安全性を確保する「辞める前に相談できる」仕組み
新人が「辞めるしかない」となる前に、気軽に悩みを相談できる仕組みを整えること。
そして、問題が大きくなる前に解決できるようにする。
一番のおすすめは何たって産業カウンセラーを活用すること。
そして、負のスイッチが入った状況をリセットし、認知の縛りを解く
あとは、定期的なキャリア相談の導入や、社内で意見を言いやすい仕組みづくりを整える。
4.「成長実感」を持てる仕組みを導入する
新人が「この会社で成長できている」と実感できれば、転職を焦ることは少なくなる。
そのためには、自分の成長を可視化できる制度を導入。
スキルアップの記録やメンタリングを企業が設計することが重要。
求められる「ちょっと待て」と言わずに済む仕組み
令和の新人が離職を決断する背景は、昔と比べて大きく変わっています。
SNSの情報環境が意思決定に影響を与え、「辞めることが成功への近道」という認識が広まりやすい時代になりました。
ですが、企業が目指すべきは「辞めるのを引き止めること」ではなく、そもそも新人が「辞めたい」と思わなくなる環境を整えるだけのことです。
- 透明性のある情報提供で、入社前後のギャップを減らす
- キャリアの選択肢を広げることで「転職=唯一の解決策」にしない
- 心理的安全性を確保し、気軽に相談できる企業文化を構築
- 新人の成長実感を高めることで、「ここで働く意味」を実感できる
離職率は変わらない。
ですが、離職を決断する際のきっかけや引き金になる情報の取得方法が大きく変わった。
その本質を企業は理解し、時代が変わったからこそ根本的な環境づくりに目を向けるだけ。
「辞める!?ちょっと待て!!」と言わなくても、自然と新人が定着する仕組みを作ることこそ、本当の人材戦略ですよ。
これからの企業は、短期的な離職防止ではなく、長期的な定着文化をどう育てるかが問われています。
さて、どのような所から始めますか?