やる気を出す仕組みとは

西岡惠美子

西岡惠美子

テーマ:スキルアップ/キャリアアップ

やる気を出す仕組みとは
疲れていたり眠かったり、嫌々やっているようなことに「やる気を出そう」としても難しいです。
それでも「やる気」で自分を奮い立たせようとするのは、それがあると効率も結果も全然違うことを自分で知っているから。
ではそもそも「やる気を出す仕組み」って何でしょうか?

1.やる気とは?

「やる気」という言葉は色んな類似語があります。
モチベーション、動機、意欲、気力、元気、活気、熱意……。
何かに対して前向きに能動的に取り組もうとしているような姿が想像できるでしょう。

ここでは「動機づけ」という用語から説明したいと思います。

動機づけとは、行動を始発させ、目標に向かって維持・調整する過程・機能。
動機づけは人間を含めた動物の行動の原因であり、行動の方向性を定める要因と行動の程度を定める要因に分類できる。動物が行動を起こしている場合、その動物には何らかの動機づけが作用していることが考えられる。またその動物の行動の程度が高いかどうかによってその動機づけの強さの違いが考えられる。
(ウィキペディア)


「動機付け」とは、人が目的や目標などある要因によって行動を起こし、それを達成するまで保持・持続させる心理的な過程や機能を意味する心理学用語を指す。 目標に向けた「心のベクトル」と表現することもあり、モチベーションと言い換えることもできる。
(HRプロ)


何か目標や目的があり、そこへ向かって行動を起こすための原動力、ということですね。
そう考えると、「やる気がない」のに「目的へ向かって行動を起こす」のは、ガソリンが入っていない車を手押しや脚漕ぎで動かすようなものです。
動くことは動くかもしれませんが大変な労力です。

2.やる気を出す仕組み

では人にとっての「ガソリン」のような役割を果たしてくれるやる気を出す仕組みとはどうなっているのでしょうか。
色んな理論がありますが、その一例として見ていただけると嬉しいです。



①やる気が出ない…

やらなきゃいけない状況だと分かっていても、どうしても取り組めない、手が動かないことは少なくありません。
例えば月曜日の朝。
会社に行かなければいけないことは百も承知でも、つい「休んじゃおうかな…」と考えてしまいます。
(※休んではいけない、と言いたいわけではありません)

②やる気の必要性

休みたいと思いつつ、決断出来ないのは「会社へ行かなければいけない必要性」も同時に感じているからです。
その二つを天秤にかけて悩んでいる。ただしどちらにも決め手がないことが多いでしょう。
社員として、社会人として、世帯の収入源として、多少のだるさには目をつぶって出社するべきだと分かっている。だからもう一押しが必要です。
それが「やる気」「動機」「モチベーション」です。

③欲動の分析

やりたくなくてもやらなければいけない状況だ、ということは自分で分かっています。
あともう一押しの「やる気」を引き出すにはどうすればいいでしょうか。

「欲動」です。
人には四つの欲動があります。

一つは「獲得」への欲動。
何かを得たいという気持ちは誰でも持っています。お金や物品に限らず、賞賛、承認、知識、経験、地位、権威、権力、成功、成長など様々です。楽しみや愛情、友情、安心安全などもあるでしょう。

二つ目は「絆」への欲動。
家族や仲間、同僚といったごく身近な集団から、地域、国、種族という大きな概念まで、人は他者との繋がりを得たいと考えています。
A.マズローの「欲求階層説」でも、下から3つ目に「所属(愛)の欲求」があります。
4つ目の「承認欲求」も、他者との繋がりを確認するためとも言えます。

三つ目は「理解」への欲動。
自分が理解しきれていない状況や物事は不安や欲求不満の元になります。
「今日自分が会社に行かなかったらどうなるんだろう」と考えると、起きる可能性は別として、あれこれ不測の事態が思い浮かぶでしょう。
それは予定通り自分が行動していれば起きなかった「不測の事態」です。
そしてその場にいれば出来たはずの経験、理解、知識を得る機会を失うかもしれない、という不満がくすぶります。

四つ目は「防御」への欲動。
人の欲求の根本は「命を守るため」です。
自分自身、財産、家族、収入、更には関係者、そして未来。すでに手にあるものや、ほぼ必ず得られるはずのものが損なわれることは生活や命の危機に繋がります。
ネガティブ反応の一種ですが、危機回避のための「やる気」は目的が明確な分即効性があります。

④やる気が出る

今の自分の状況に対して必要な「やる気」を引き起こす「欲動源」が見つかったら、それを徹底的に分析しましょう。

例えば「月曜の朝、やる気が出なくて会社に行きたくない」という状況で、「絆」が欲動源だと分かったとします。
一緒に働く人のことを一人一人思い出しましょう。
隣の席の人、直属の上司、関わりが多い他部署の人、取引先の担当者。
自分が体調不良で休むと連絡すれば、きっとみんな心配してくれる。そして今日自分がやるはずだった仕事を肩代わりしたりスケジュールを調整してくれるかも、と想像します。
気遣いはありがたい反面、そうした労力を掛けさせてしまうことが申し訳なくなるでしょう。
また家族にも心配をかけます。昨日一緒に外出したせいかも、と考えて落ち込むかもしれない。

「そうなるくらいなら行こう。本当にしんどければ午後半休にして帰ってくればいい」

と考え直し、布団から出られます。


この状態が「やる気が出ている」状態、と言っていいでしょう。

3.やる気を出す仕組みは「自分を知る」こと

上記の4つの欲動以外にも、どんなことがきっかけになってやる気が出るか、とは色んな考え方があります。
どれも全部正しいです。
大事なのは「自分に最適なものは何か」を知ることです。
そして自分に合った「やる気を出す仕組みづくり」をして、それを習慣化することです。

何があるとやる気が引き出されるか、は、成長度や環境の変化によっても変わっていきます。いつも同じとは限りません。

自分の状態、周囲の状況に合わせて、無理なくやる気が出せる仕組みを作っていきましょう。

<参考文献>
『【新版】動機づける力―モチベーションの理論と実践』(Harvard Business Review Anthology、ダイヤモンド社

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西岡惠美子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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