【仕事はつらいよ】④仕事のストレスと心の病
優しさが過剰になることで自信を持てなくなっている人がいます。
優しい、とは本来長所であるはずなのに、自分に自信が持てないのはどうしてでしょうか。
自信につながる優しさと、自分を苦しめる優しさはどう違うのでしょうか。
1.自信の内容
自信とは読んで字のごとく「自分を信じる」ことですね。
自信がある、を言い換える言葉もたくさんあります。
自己評価が高い、自尊心が高い、自己効力感がある、自己肯定感が高い、自分を好き、など。
- 自分は○○が出来る
- ネガティブなことが起きても復活できると思っている
- 自分の価値を肯定的に評価出来ている
- 前向きで現実的な思い込みを持っている
- 自分と他人を必要以上に比較しない
- 自己開示が出来る
我を張るのでも引っ込むのでもなく、今の自分そのままでその場にいる、ごく自然な人の姿が浮かんできます。
過去から未来まで含めた自分を肯定的に受け入れて「自分はこういう人間だ」と理解できている状態、と言えます。
2.優しすぎる人とは
では「優しすぎる」とはどんな状態でしょうか。
優しさが「過ぎて」しまう状態ですね。
「そこまでやらなくていいのに」と思われるくらい手伝ってしまったり、自分が抱え込んでしまう。
または自分も大変なのに無理をして誰かのために働いたり気をもんだりしてしまう。
必要以上に自分を犠牲にして周囲のために力を尽くしてしまう状態です。
自分を理解し見守ってケアするのは自分の仕事です。自己犠牲とは、そうした責任を放り出して他者の領域に踏み込む可能性も含んでいます。
自分を大事に出来ていないのです。
大事にできない理由はたくさんあると思います。
例えば子どもの頃から親に自分を蔑ろにされてきた人は、自分で自分を大事にするとはどういうことか分かりません。自己犠牲という概念もなく、他人のために力を尽くすことが自分の役目だと思ってしまっています。
他人に力を貸すことは良いことですが、それは自分で自分のことを始末出来ている場合において、良いことになります。自分自身はボロボロな状態で他人をサポートしきれるでしょうか。
3.自信のある人の優しさと優しすぎる人の違い
上述したように、優しさとは本当はとても良い長所です。
それが「自信を持てない」ことの原因になってしまうのは勿体ないことです。
では、優しさを活用して自分に自信を持つにはどうすればいいか。
それは、「適正な優しさを発揮する」方法を知ることです。
優しさが適正な状態だと、他者に対して以下のような反応をします。
- 自分が出来る範囲でのサポートを申し出る
- 相手の領域に踏み込まず、外側から見守る
- 自分の立場から優しさを込めた声かけが出来る
- 相手ファーストになれる
逆に、自分を後回しにして優しくしようとしてしまう場合は、
- 相手が「こうして欲しいだろう」という状態を想像しすぎて相手に尽す
- 相手に同情して先回りして考えてしまう
- 「このやり方でいいのだろうか」と周囲の評価も気にした配慮にとどまる
- 自分が提供した優しさに対する見返りを求めてしまう(言葉、評価、好感など)
例えば会社の同僚がペットを喪って落ち込んでいる、とします。
適正な優しさで接するとしたら、その日は定時で帰宅出来る程度の手伝いを申し出るでしょう。
優しさが過剰になると、同僚の業務を無理に引き受けて休日出勤して疲労を溜め込んだりするでしょう。
どちらも同僚を気遣って現れた優しさですが、後者は守るべき自分の領域まで差し出しています。
長引けば疲労とストレスで体調を崩してしまい、「同僚の手伝いすら出来ない自分」と考えて落ち込むでしょう。次から誰か元気がない人がいてもサポートしようという気は起こらなくなるでしょう。落ち込んだ人とのコミュニケーションを避けることが増え、折角の優しさを発揮できる場を失います。長所が活かされなくなれば当然自信も目減りしていってしまいます。
4.優しさ×自信をもつには?
上述したように、「適正な優しさの発揮方法」を見つけることが必要だと思います。
心の中で「気の毒だな、大丈夫かな、心配だな」と思っておくだけに留めておくのも全然OKだと思います。そうすればいざとなったときに声かけや手伝いも出来ます。
そこから更に一歩踏み込んで自信につなげたいなら、行動する必要があります。
上記の「会社の同僚がペットを喪って落ち込んでいる」という状況を想定します。
「しんどそうだから何かしてあげたい」と思うところまでは同じです。
その次に、まず自分の状況を分析しましょう。「何かをしてあげる」ために自分が何を持っているか?
時間、道具、お金、権限、経験、余裕。
次はその中から同僚のために「無理せず差し出せるもの」を見つけます。
例えば30分ならその人の仕事を手伝える、と計算出来たなら、それを伝えます。
週末の部署の飲み会をキャンセルする提案をしてみるのもいいでしょう。
そして相手が選択可能であることも忘れないようにしましょう。
相手もありがたいと感じていても「No thankyou」と言う自由があります。
それは相手の事情であって、こちらとは関係ない、という区別がついていないと、断られたことで自信を弱らせることに繋がってしまいます。
5.まとめ
自分もやるべきことが出来、無理をすることなく誰かの手助けが出来た、となると、自分を褒めてあげたくなりますよね。
これが自信のタネです。
繰り返すことでタネが育って自信、自己肯定感、自己評価などへつながっていくのです。
所謂「Win-Win」でなければ優しさは自信にはつながらないのです。
自分も相手もハッピーになれる方法で優しさを発揮して、自信へつなげていきましょう。