自分への優しさは?

西岡惠美子

西岡惠美子

テーマ:心の保ち方

自分への優しさは?
自分への優しさを置き忘れて頑張っている人を、よく見かけます。
自分へのやさしさ=甘やかし・怠け・逃げ、と言われるからかもしれません。
どちらかと言うと自分に厳しくする人のほうが褒められる。
褒められるのはとても嬉しいことだから、褒められるほう(厳しくする)を選んでしまう。
でも自分への優しさは、絶対に必要です。

1.自分への優しさって何?

子どもや動物、家族、友人への優しさ、と言われれば、誰でも意味が分かります。何をすればいいのかもわかるでしょう。「地球にやさしく」という意味ですら分かります。

けれど「自分への」となると途端に考え込んでしまう。
そもそも優しさは、他人からもらうものだと思っていたりする。

それをそのまま「ひっくり返す」と分かりやすいかもしれません。

「厳しく接する」とは、「あるべき像」と比較して不足している点をチェックし批評すること。
そして出来ていないこと・足らない部分を持つことを見下して突き放すこと。

まずはこれを止めます。
そして「友人に対するように」自分を慰めて受け入れることです。

仕事でミスをして落ち込んでいる同僚がいたら、「頑張ったね、ミスを報告出来て偉かったね、今日はゆっくりして明日からまた頑張ろう」と声をかけるでしょう。
同じことを自分に言うのです。

2.欠点・弱点は「理解する」

自分の欠点や弱点は、どうしても気になります。
思い切って誰かに打ち明けても「そんなことない」「気にするな」なんて言われます。実際他者から見たら気にするほどの欠点でもないのかもしれません。

でも自分が気になるのだから、気になるんです。それが欠点や弱点の厄介なところです。

自分自身の欠点ですから、どうして「欠点」だと思っているか、それによって今まで被ったデメリット、分かっているのに克服できない自分の未熟さ、なども関連して想起してしまうので、欠点そのものよりも遥かに大きく手強く感じてしまいます。

だから責めて、否定して、わざと他者から叱責されて「やっぱりこいつ(欠点)があるからダメなんだ」と再認識して納得したりします。

でもいじめたところで欠点は変わりません。そして自分の一部ですから、切除も出来ません。イライラは増すばかりでしょう。

欠点の取り扱い方は一つ、「理解する」ことです。
欠点を病気のように見るのを止めて、その特徴を知る。欠点そのものへの評価ではなく、欠点が「しでかした」時の対処法を考える。出来れば「使いどころ」を探す。
欠点が気になって辛いのは、欠点によって自分のネガティブ感情が喚起されることです。
ならば、そのネガティブ感情のケアも考えましょう。

3.自分への優しさは「自信」の源

自分に厳しくするのをやめ、友人に対するような言葉をかける。
欠点や弱点を責めずに理解する。

この二つが出来ると、気持ちが落ち着いていき、冷静に事態に対処できる準備が整います。
そして本来の自分のポテンシャルを発揮し、事態を収拾出来れば成功体験を積むことが出来ます。

繰り返すことで自信がついていきます。

逆に「自分に厳しく」してばかりな状態で、どうやって自信がつくのか、私は疑問です。
事実を正確に理解することと「自分を厳しく責める」ことはですよね。

冷静に、第三者的目線で、事実を歪めて逃げようとする自分を赦さず、現実を直視することはとても大事です。
それを「厳しくする」と解釈しているならアリかもしれません。
ただ、「厳しくしてばかり」になることが問題ではないでしょうか。

自信は、厳しくするばかりでは育ってくれません。
挑戦して、成功して、それをほめられることで高まります。

4.自分への優しさで学習効果を高める

例えば「失敗した」「間違えた」という時。
どちらもネガティブな体験です。
それに対して「怖い」「やってしまった」「どうしよう」と、不安や恐怖、動揺が湧き上がります。

ここまではほぼ反射的に起きる流れです。
この次がターニングポイントです。

<自分に優しくする>

「大丈夫だから、まずは落ち着こう」
「頑張ったんだよね、それは分かってるから」

気持ちが落ち着いて、冷静に対処できる

失敗・ミスから「次はこうしよう」という学習する力が湧いてくる

<自分を責める>

「何やってんだ、バカ」
「もうだめだ、またやってしまった」
「だから自分には価値が無いんだ」

目の前の現実から、関心が「自分の中」にうつってしまい、状況に対処できなくなる

対処出来なかった自分への評価が下がる

全部この通りになるわけではありませんが、<自分に優しく>のルートを取れるなら、それに越したことはありませんね。

5.自分への優しさを高める「オキシトシン」

オキシトシンを増やすことで、体から自分に優しくする、という方法もあります。
オキシトシンとはホルモンの一種で、視床下部から分泌されます。
恐怖や不安をやわらげ、血圧を下げ、ストレスを感じると増える「コルチゾール」の分泌を抑えます。

①スージング・タッチ

自分で自分の体を触ることです。
顔、腕、胸、手など、どこでもいいです。「ここに触ると安心する」という場所があると思いますので、色々試してみましょう。
ちなみに私は胸の真ん中に手を当てるとすーっと気持ちが落ち着いていくのを感じます。

②イメージする

周囲に人がいてスージングタッチが出来ない時は、優しく温かく柔らかいもので包まれたり抱きしめられている自分をイメージすることでも効果があります。
家族や恋人に抱きしめられたり、逆に子どもやペットを抱きしめているところを想像してみましょう。

③ジャーナリング

ジャーナリングとは、思ったことをありのままに書きだす作業です。手書きで、時間制限を設けて、思い浮かんだことをそのまま書き連ねます。
最初は自己批判的な言葉から始まるかもしれません。でも途中で辞めないで、無理にポジティブな言葉に変換しようとしないで書き続けると、気づいていない自分の考えが湧き出てきます。そこに、自分が本当に求めていた言葉があるかもしれません。

ジャーナリングのポイントは「誰にも見せない」ことです。誰かに読まれることを意識した途端、思ったことそのままは書けません。自分だけしか読まないことを厳守しましょう。

6.まとめ

  • 自分への優しさとは、「自己批判・自己卑下」を止めて友人にするように優しく接することで、自分の欠点やミスを理解し受け入れること
  • 自分への優しさは、自信と学習効果の源になる
  • オキシトシン分泌を促して、体から「自分への優しさ」を実現する


子どもの頃から「自分に厳しく」することは叩き込まれてきました。
自分に優しくするのは、未知のスキルと体験です。
しかし生きていくうえで必須のスキルです。
大人になったからこそ、「自分への優しさ」を身につけていきましょう。

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西岡惠美子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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