相手の言いなりになる<後編>
ネガティブな感情や思考が生まれること自体は誰でもあるものですが、四六時中否定的な思考や不安、暗い想定に縛られるのは辛いです。
では、長期的な対策として、脱・ネガティブ思考するにはどうすればいいか、を、考えてみましょう。
以下の4つの要素が中心となります。
1.マインドフルネス
当ブログでも何度も登場する「マインドフルネス」ですが、定義としては
『現在において起こっている経験に注意を向ける心理的な過程』(Wikipedia)
です。
人の思考や意識は、気を抜くとすぐに過去や未来など、自分が直接どうにかすることが出来ない時空に飛んでいきます。
何か問題が起きた時に、「あのとき~~しておけば」(過去)や、「この後~~になったらどうしよう」(未来)ということばかりを考えてしまいがちです。
しかし、過去や未来は、今すぐ直接手を加えて思った通りに形を変えることは出来ません。
今自分に出来ることは「今この瞬間」の自分だけです。
マインドフルネスは、瞑想や坐禅などとセットになることが多いですが、要するに「今、この瞬間」に意識的に集中するプロセスです。
今この瞬間の自分の状態だけに集中することで、過去や未来(への不安)から自分を切り離し、役に立たない後悔や不安を遠ざけ、心を安定させます。
安定することで、具体的・実際的な対策を考える準備が整います。
2.セルフコンパッション
セルフコンパッションとは
『自らの欠点、失敗、または人生におけるさまざまな苦しみに直面した時に、自分自身への思いやりを実践すること』(Wikipedia)
と定義されています。
日本人には「慈悲」と言い換えたほうが分かりやすいでしょう。自分自身への慈しみです。
ネガティブな思考に囚われている時は、ほぼ100%自分を責めています。他者に憤りを感じていたとしても、それによって苦しんでいるのは自分です。怒りを感情に苦しめられているのです。
それはそれとして置いておいて、まずは自分を労わる、思いやる、慰める、慈しみましょう、という考えです。
自分に厳しく、というのは自立した人としてとても尊い姿勢ですが、厳しくしてばかりでいいのでしょうか。厳しくすべき場面では必要かもしれませんが、逆に厳しくしてはいけない、安らいで力を抜いてのんびり休息する時間が、大人にこそ必要です。
疲れて傷ついている自分へ慈悲を向けることで、心を癒してエネルギーを取り戻すことで、同じく具体的な対策を立てるための下地が出来上がります。
3.安全基地
安全基地とは、子どもが成長過程において固有の大人(多くは母親、または父親)との間に形成する親密な信頼関係から生まれる「心の拠り所」のことです。
小さな子供が公園で遊んでいる時、ふとした瞬間に離れた場所にいる母親(または父親)を目で探します。そしてそこにいることに安心して、また遊びを続行します。
または知らない人に声をかけられたら、まずは真っ先に母親(または父親)の元へ走っていきます。親が助けてくれると分かっているからです。
この安全基地は、子どもの頃にしか形成出来ないものではありません。大人になってから、親以外の人との関係からも作ることが出来ます。
旅先で綺麗な風景を見た時、ふと「○○さんにも見せてあげたい」と思うとき、その人が安全基地と呼べるでしょう。
そうした存在がいることで、ネガティブな思考に飲み込まれそうになった時に、「○○さんならどうするんだろう」「○○さんに話を聞いてもらおう、アドバイスしてもらおう」と、違う視点を持つことが出来、それが脱ネガティブのきっかけになるでしょう。
4.And思考
人は「択一」が得意です。
「AもしくはB」「AでなければB」のように。AとBが相反していると、当然どちらか一方しか選べないと考えます。
しかし、「AでありB」ではダメなのでしょうか。
「家族が病気になったから、私は遊びに行ってはいけない」
「仕事でミスをした。だから今夜の飲み会には参加してはいけない」
と考えていませんか?
家族が病気だけれど、ちゃんと病院へ行って薬も処方してもらって必要な準備だけすれば、予定通り遊びに行っていいのです。帰ってきてから具合を確認しましょう。
仕事でミスをしたからこそ、そのショックを癒すために、行けるなら飲み会に行きましょう。
どうしても両方取ることが出来ない状況なら別ですが、そうでないなら、思い込みで自分の行動を制限しないほうがいいです。
自分が心から望んでいないほうを、思い込みで選択すると、ほぼ必ず後悔することになるでしょう。
それは次のネガティブ思考の準備をしていることになってしまいます。
5.脱ネガティブは「結果」
以上の4要素が重なり合って、相互に影響し合いながら、ネガティブな思考だけに囚われる状況から抜け出すことが出来ます。
結果として、ネガティブではない思考=ポジティブ(具体的、実際的)な思考に意識が向けられ、「ではどうしようか」という行動化へつながっていきます。
つまり、脱ネガティブとは、「ネガティブから抜け出そう」とするのではなく、今現在の自分に意識を集中し、痛い箇所を労わって治し、気持ちを共有できる相手を見つけて、必要のない思い込みに縛られない選択を続けた結果として訪れる状態のことです。
「ポジティブになろう」「ネガティブをやめよう」と考えても、イマイチどうすればいいのかよく分からない、という方は、是非お試しください。
そしてこの4要素(マインドフルネス、セルフコンパッション、安全基地、And思考)を習慣化出来れば、ネガティブ思考を有効活用し、意識しなくてもポジティブに具体的な行動を取れるようになっているでしょう。
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