英検1級道場-覚悟はあるか? 受講希望者への問い
最近、英検1級道場への英語力診断の申し込みが増えています。
きっかけの一つが、以前掲載した下記の記事です。
英検1級道場-5級から1級までの全受験歴を見ればわかる! 2級→準1級→1級には「巨大な壁」がある
https://mbp-japan.com/chiba/eiken/column/5236696/
診断を希望する人たちには、驚くほど共通した特徴があります。
「準1級に合格した。だから次は1級だと思って勉強を始めた。しかし、まったく歯が立たない」
そして、もう一つ非常に多いのが、下記のケースです。
「2級に合格した。だから次は準1級だと思って挑戦した。しかし、こちらもまったく歯が立たない」
実は、準1級→1級で起きていることと、2級→準1級で起きていることは、基本的にまったく同じです。
前の級に「合格した」という事実だけを見て、「自分はその級を卒業した。次の級に進める実力がある」と判断してしまうのです。
しかし、ぎりぎりで合格した場合、あるいは得意分野で不得意分野をカバーして合格した場合には、次の級に進むための土台が十分にできていないことがあります。
その状態で次の級に挑戦すると、突然、巨大な壁にぶつかります。
「何が悪いのかわからない」
「単語を覚えても点数が上がらない」
「何度受けても合格できない」
そこで、原因と対策を知りたくて英検1級道場に駆け込んでこられるのです。
■英語力診断をすると、ほぼ毎回、同じ結論になります
私は、診断を希望する人の英語力を、実際の英検過去問などを使って詳しく確認します。
単語をどれくらい知っているか。
英文を正確に読めるか。
英文を聞いて理解できるか。
単語の意味を知っているだけでなく、文章全体の意味を瞬時に理解できるか。
すると、ほぼ毎回、同じ結論に達します。
「今挑戦している級の勉強を続ける前に、もっと下の級から勉強し直したほうがいい」
これは1級を目指している人だけの話ではありません。
1級を目指している人なら2級や準2級まで戻る。準1級を目指している人なら準2級や3級まで戻る。
つまり、場合によっては、現在挑戦している級より2つ、3つ下の級まで戻って基礎を固め直す
ことを勧めています。
本人にとっては、かなりショックな指摘でしょう。
「準1級に合格したのに、なぜ2級や準2級をやるのか?」
「2級に合格したのに、なぜ準2級や3級をやるのか?」
当然の疑問です。
しかし、私は「合格した級」ではなく、実際に身についている英語力を見ています。
■英検に合格したことと、その級の実力があることは別問題です
英検は、合格基準を超えれば合格です。
しかし、ぎりぎりで合格した人と、余裕を持って高得点で合格した人とでは、実力に大きな差があります。
さらに、ある技能の弱点を別の技能の得点で補って合格することもあります。
つまり、合格したからといって、その級で必要とされる英語力が十分に定着しているとは限りません。
ところが、多くの人は、2級合格→次は準1級準1級合格→次は1級と、自動的に次へ進みます。
ここに大きな落とし穴があります。
「合格した級」と「実際の英語力」が一致していないことがあるのです。
私は最近の診断を通じて、本人の自己認識と実際の英語力との乖離が、想像以上に大きいケースが多いことを改めて実感しています。
■単語問題を解かせると、本当の実力が見えてきます
先日、2026年度第2回英検1級の単語問題を使い、受講生の語彙力を点検しました。
22問中9問正解でした。
しかし、私が注目したのは9問正解という結果ではありません。
22問には4つずつ選択肢があります。全部で88個の単語・熟語があります。
これらを一つずつ確認すると、大半が十分に身についていない状態でした。
さらに、問題文を音読させ、文章の意味を尋ねると、正確に理解できていないことも判明しました。
単語力が不足しているだけでなく、英文を読む基礎力にも問題があったのです。
このような状態で、1級の難しい単語をひたすら暗記しても、根本的な解決にはなりません。
そして、これは準1級を目指して苦戦している人にも、そのまま当てはまります。
準1級の問題が難しいからといって、準1級の問題だけを繰り返せばよいわけではありません。
2級、準2級レベルの単語や英文を正確に理解できていなければ、まずそこを固める必要があります。
この実例は、下記の記事のケース②で詳しく紹介しています。
英検1級道場-2026-2英検1級単語問題、22/22満点と9/22を徹底比較!「単語力」の決定的な差は何か?
https://mbp-japan.com/chiba/eiken/column/5237941/
■もちろん、例外もありました
最近診断した人の中に、例外が一人だけいました。
その人については、英語の基礎力が十分に身についていると判断できました。
私の診断では、次に1級を受験しても合格圏内に入る可能性が高いという結論でした。
ただし、最近の英検の出題傾向に慣れる必要はあります。
2024年度第1回から英検はリニューアルされ、1級、準1級、2級では英文要約が導入されました。
つまり、この人に必要なのは、下の級に戻ることではなく、現在の英語力を最近の英検1級の試験形式に適応させること/太字]です。
同じ1級受験希望者でも、必要な勉強はまったく違うのです。
だからこそ、最初に正確な英語力診断をすることが重要です。
[太字]■診断料として6000円を頂戴する以上、私は本当のことを言います
英検1級道場の英語力診断は無料ではありません。
6000円を頂戴しています。
ですから、私は診断の途中で、こうお伝えすることがあります。
「私は今日、6000円を頂戴しています。お金をいただく以上、私には責任があります。無料相談なら、耳当たりのいいことを言って済ませることもできるかもしれません。しかし、今日はそうではありません。ですから、本当のことをずばりと言います。本当の自分の実力を素直に見る勇気と覚悟はありますか?」
少し厳しい言い方かもしれません。
しかし、有料で診断を受けに来られた人は、例外なく「お願いします」と受け入れてくださいます。
そして私は、診断結果を率直に伝えます。
「今の状態で1級の勉強を続けるのは効率的ではありません。まず2級まで戻りましょう」
「準1級を目指しておられますが、準2級の単語や英文から固め直したほうが早いです」
本人が予想していた答えとは、まったく違うこともあります。
ショックを受ける人もいます。
しかし、私は、それでいいと思っています。
なぜなら、自分の本当の立ち位置がわかれば、もう道半ばだからです。
どこにいるかわからない人に、目的地までの正しい道順を教えることはできません。
東京にいると思っていたら、実際にはまだ大阪にいた。
それなのに東京から目的地までの道順だけを一生懸命調べても、いつまでたっても目的地には着きません。
英語学習も同じです。
「私は準1級に合格したのだから、今は1級レベルだ」
「私は2級に合格したのだから、準1級の勉強をすればいい」
この自己認識そのものが間違っていたら、どれだけ努力しても効率が悪くなります。
だから私は、まず現在地を正確に確認します。
そして、現在地がわかったら、そこから目的地までの道筋を示します。
現在地を知る。足りないものを知る。何を、どの順番で勉強すればいいのかを知る。
ここまでわかれば、あとは実行するだけです。
だから私は、「自分の立ち位置がわかれば、もう道半ば」だと考えています。
■急がば回れ!昔の人は偉かった
私は、英語学習について、昔からある言葉がぴったり当てはまると思っています。
「急がば回れ」
昔の人は偉かった。その通りです。
1級に合格したいから、1級の問題集だけを勉強する。
準1級に合格したいから、準1級の単語帳だけを暗記する。
一見、合理的に見えます。
しかし、基礎力が不足している人にとっては、これほど非効率な勉強はありません。
家を建てるとき、土台が弱いまま2階、3階を建てようとしてもうまくいきません。
英語も同じです。
準1級→1級でも、2級→準1級でも原理は同じです。
足元が固まっていなければ、一度下に戻る。
2級が不十分なら2級から。
必要なら準2級から。
さらに必要なら3級から。
単語、文法、読解、リスニングを徹底的に鍛え直す。
一見すると遠回りです。
しかし、実際にはこれが一番の近道です。
■「下の級に戻る」は後退ではありません
準1級に合格したのに、1級にはまったく歯が立たない。
2級に合格したのに、準1級にはまったく歯が立たない。
そんなときに一番危険なのは、
「せっかく合格したのだから、今さら下の級には戻れない」
と考えることです。
合格証書を返上するわけではありません。
下の級を勉強することは、後退でもありません。
足りなかった土台を補強しているだけです。
そして、その土台が固まれば、それまで歯が立たなかった英文が読めるようになり、聞き取れなかった英語が聞こえるようになり、覚えられなかった単語も定着しやすくなります。
一度下がることが、結果として一番早く上に行く方法なのです。
■英検1級道場は、耳の痛いこともはっきり伝えます
英検1級道場の英語力診断は、受験希望者を安心させるためのものではありません。
「もう少し頑張れば合格できますよ」
「今の勉強を続ければ大丈夫です」
根拠もなく、そのような励ましをすることはありません。
実力が足りなければ、足りないとはっきり伝えます。
必要なら、2つも3つも下の級からやり直すように勧めます。
しかし、厳しく言うことが目的ではありません。
どこからやり直せば、一番早く目標に到達できるのかを示すことが目的です。
本人が気づいていない弱点を明らかにし、改善方法を具体的に示すことこそ、私の仕事だと考えています。
■「合格したから次へ」で苦しんでいる人へ
準1級に合格したのに、1級にはまったく歯が立たない。
2級に合格したのに、準1級にはまったく歯が立たない。
この二つは別の問題ではありません。
根っこは同じです。
今いる場所を正確に確認しないまま、次の山を登ろうとしているのです。
何年も勉強しているのに伸びない。
何度受験しても合格できない。
何を勉強すればよいのかわからない。
そんな人は、一度、英検1級道場の英語力診断を受けてみてください。
現在の実力と弱点を確認し、これからどの級の、何を勉強すべきなのかを具体的にお伝えします。
場合によっては、
「1級を目指しているのに2級から
「準1級を目指しているのに準2級から」という、予想外に厳しい診断になるかもしれません。
しかし、それは決して後退ではありません。
本当の自分を見る勇気と覚悟がある人には、そこから上に進むための道筋を具体的に示します。
自分の現在地がわかれば、迷う必要がなくなります。
何をやればいいのかが見えてきます。
あとは、一歩ずつ進めばいいのです。
自分の立ち位置がわかれば、もう道半ば。
そして、
急がば回れ!
下の級からしっかりやり直し、結果として、より早く、より確実に上の級を目指しましょう。


