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小川芳夫

ファシリテーションの活用を支援するコンサルタント

小川芳夫(おがわよしお) / ファシリテーター

BTFコンサルティング

コラム

会社の会議:オンライン会議のファシリテーション:会議終了後の確認チェックリストと不具合対策

2020年12月14日 公開 / 2021年4月22日更新

テーマ:会議活性化

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 業務効率化 手法働き方改革チームビルディング

このコラムは、会社で会議のファシリテーションを行っているファシリテーターの方々を対象に書いています。

2020年はオンライン会議が増えました。ファシリテーターの方々はどのように対応しておられますか?
このコラムでは、オンライン会議やワークショップのファシリテーションについて、ファシリテーターとして、オンライン会議やワークショップ開催後に確認するチェックリストと、不具合対策を考えます。
このコラムは次の3つの章で構成されます。
1. 結果を共有する(確認チェックリスト)
2. 手法を磨く(確認チェックリスト)
3. 不具合対策
5分程度で読める内容です。

なお、準備段階のものは、準備段階の確認チェックリスト に書いています。また、開催中のものは、会議開催中の確認チェックリスト に書きました。
なお、このコラムは、2020年12月14日に投稿しました。

米国MURAL社が出している、THE DEFINITIVE GUIDE TO FACILITATING REMOTE WORKSHOPS を参照しながら、私の実体験を基にして考察します。

私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号をBTFコンサルティングといいます。BTFはBusiness Transformation with Facilitationの頭文字です。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのために貢献したい」と考え、この屋号にしました。

ファシリテーション。Facilitationという名詞です。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。ファシリテーションをする人をファシリテーター (facilitator) と言います。


1.  結果を共有する(確認チェックリスト)

結果を共有する目標は、次の3点です。
・会議やワークショップの結果を見える化すること(視認性を上げる)
・アクション・アイテム(To Do項目)が実施されるようにすること
・会議やワークショップの結果がもたらす影響を最大化すること


□要約を参加者に送る
参加者に、会議やワークショップの成果物を、開催後すみやかに送りましょう。
準備段階の確認チェックリスト の3章では、クラウド上のホワイトボードにダッシュボードを作ることを提案しています。このダッシュボードを、開催後に、議論した成果でアップデートすることが大切です。後で見たときに、何故そのような合意に至ったのか、ビジュアルな表現も使いながら、わかりやすく要約することが大切です。会議開催中の確認チェックリスト の3章に書いた「何を議論したのかを文書化する」(いわゆる議事録)と関係します。すみやかに送るためには、開催中に完成してしまうことが大切です。ファシリテーターは、会議やワークショップの終了後に勝手に内容を変える権利は持っていない、このことを強く意識することが重要です。


□再会する
会議やワークショップで作った勢いを保つために、短い会議を開催します。目的は、会議やワークショップで合意した決定事項(To Do項目)の進捗を確認し、必要ならば打ち手を考えることです。人数が多くなればなるほど、スケジューリングは大変になりますし、早めにスケジュールを確保することが大切です。このスケジューリングは会議やワークショップが終了後でないとできない、ということはありません。会議やワークショップ開催前でも構いません。


□結果を統合して報告資料を作成する
会議やワークショップ内容を報告することがありますよね。一例は、プレゼン資料を用意して、会議やワークショップのオーナーに報告することです。プレゼン資料としてパワーポイントを作るのなら、クラウド上のホワイトボードの内容を成果物としてエクスポートしたり、スクリーンショットを撮ったりして、パワーポイントに貼り付けたりします。


□結果を共有する
会議をスケジュールして、報告資料をオーナーはじめステークホルダーに報告します。何をどのように議論して、どのような結論に至ったのか、という議論プロセスも報告してください。1時間でスケジュールしていたにもかかわらず、何らかの事情で20分間での報告を求められるかもしれません。1時間なら△△と□□と◯◯をこの順番で報告する。20分なら◯◯だけを報告する。このような準備をしておいた方が良いでしょう。いざそのような状況になった時に、慌てなくても良くなりますから。


□フィードバックを集める
ステークホルダーへの報告は一方通行ではなく、対話的に行ってください。あなたはファシリテーターですから、報告の場であっても、対話的にアプローチすべきです。何をどのように議論して結論に至ったのか、という議論プロセスについても、ステークホルダーからフィードバックを得てください。会議開催中の確認チェックリスト の3章の「振り返り」で紹介したKPTというフレームワークを活用して、フィードバックされたコメントを見える化することも良いアプローチである、と私は考えます。


□行動計画を管理する
フィードバックされたコメントをKPTでまとめたとすると、T(Try)を次回に活かさなければなりません。もしかすると、会議開催中の確認チェックリスト の3章の「行動計画を作成する」で作成した行動計画を変更する必要が出てくるかもしれません。変更の度合いによるかもしれませんが、会議やワークショップ参加者に連絡して、フィードバックされたコメントを例えばKPTの形で共有し、対応を検討する必要が出てくるかもしれません。


2. 手法を磨く(確認チェックリスト)

手法を磨く目標は、次の3点です。
・オンライン会議やワークショップのスキルを磨くこと
・あなたのチーム(会議やワークショップの参加者)のための一番良いやり方を確立すること
・会議やワークショップで使ったフレームワークやテンプレートや議論プロセスそのものなどの再利用性を最大化すること


□振り返りと変更
ファシリテーターとしてあなたの手法やファシリテーションそのものを振り返り評価します。会議開催中の確認チェックリスト の3章の「振り返り」に書いたことになります。あなた一人で振り返る場合もあるでしょうし、サブ・ファシリテーター(co-facilitator)がいる場合なら一緒に振り返ると良いと思います。目的は次をもっと良くするための打ち手を考えることです。私はKPTというフレークワークをよく使います。おススメです。T(Try)として洗い出されたことを次回に活かすように、あなたの手法やファシリテーションそのものを変更する必要があるかもしれません。
また、会議開催中の確認チェックリスト の3章の「振り返り」に書いた参加者からのコメントは、あなたがファシリテーターとして成長するための宝の山です。是非振り返り次に活かしていただきたいと思います。


□保管する
今回作成したもの(最終成果物だけでなく)のコピーを作成します。目的は次回に参照するためです。


□今回使用した材料を再利用する
今回の会議やワークショップを振り返り、再利用できそうな内容からテンプレートを作成します。こういった再利用できる材料を専用のフォルダーに保管してください。これを繰り返していくと、そのフォルダーは一番良いやり方の材料の山、つまりあなたにとっての宝箱になります。


3. 不具合対策

オンライン会議やワークショップについての不具合を【】で表し、各々についての対策を書きます。


【参加者が退屈している】
・ファシリテーターが話すのではなく、参加者の意見やアイデアを訊きましょう。
・参加者が会議やワークショップに積極的に参加していない。こんな時は、何が積極的参加を妨げているのか、観察して打ち手を考えましょう。参加者に訊いてしまうという手もあります。
・参加者は本来参加すべき人ですか?参加する必要のない人が参加していませんか?そもそも自分事だと思っていないのかもしれません。


【参加者が注意散漫になっている】
・参加者は一度に複数のことをしていませんか?(例:オンライン会議に参加しながら内職している)
・それは、いつものことですか?今回だけのことですか?(例:今回だけ、期限が限られた急ぎのメールを打っている)
・人の話を聞いているだけだと、内職などを始めてしまいがちです。何かのワークを事前に用意するとか、ファシリテーターが質問するなどをして、議論に参加してもらうように努めることが大切です。
・参加者は休憩したいと思っていませんか?(長時間のワークショップの場合は、休憩を計画的に入れるようにしましょう)


【時間管理がうまくいかない】
・いつも時間内に終わらない、ということはありますか?
・計画したワークなどの活動を省略することは可能ですか?もし省略した場合、会議やワークショップ全体に悪影響を与える危険性はありますか?時間内に終わりそうにない場合、問題なければ省略することもオプションの1つです。
・複数のチームに分けて議論してもらうことを計画している場合、チーム数を減らしたり、議論する回数(ワークの回数)を減らすことは可能ですか?
・事前に計画したアジェンダを分けて、複数回の会議やワークショップにすることは可能ですか?


【オンライン・ツールがうまくいかない】
・何人がツール使用で困っているのかを明らかにしましょう。
・あなた以外に問題解決を引き受けてくれる人はいますか?事前に引き受けてくれそうな人とネゴっておくと良いです。
・問題解決に取り組んでいる間、アジェンダの順序を入れ替えることは可能ですか?
・ツール使用の困り方が致命的でない場合、そのまま議論を進めることは可能ですか?
・会議やワークショップが始まる前に、参加者全員がその会議で使う機能を問題なく使えるようになっていることは、大前提です。ここを甘く見ると失敗します。


【ワークなどの活動で混乱している】
・何人が混乱していますか?
・4〜5人のサブ・グループに分割している場合、誰かがその混乱しているグループにワークなどの活動のやり方を指導できますか?
・全員で最初からやり直す必要はありますか?
・完了するために、もっと簡単なワークにすることはできますか?ワークなどの活動を予定する場合、何の問題もない場合をプランA、△△の問題が起きた場合をプランB、XXの問題が起きた場合をプランC、などと事前に打ち手を準備しておけば打ち手を見つけやすいです。複雑なワークは混乱を招くことになりかねません。わかりやすいワークを心がけたいものです。


【参加者が開始時刻に集まらない】
・遅刻は避けることができなかったのでしょうか?
・遅刻した人は、休憩時間に追いつくことは可能でしょうか?
・全員の参加者が集まるまで、開始を遅らせるべきでしょうか?
・(遅刻しがちな人(例:日常的に会議続きのマネージャー)の場合)事前に非同期な形で、会議やワークショップに貢献してもらうことは可能か否かを考えてみてください。例えば、事前に当日の議論プロセスを説明して、意見やアイデアをもらっておくというのも、一つの手です。


【WIFIの繋がりが悪い/インターネットにつながらない】
・何人が影響を受けていますか?
・影響を受けている人たちなしで、会議やワークショップを続けることは可能ですか?
・続けることが無理な場合、日時を再調整することを考えてください。
・例えば4G回線を使うなどして、代替手段で繋がることは可能ですか?
・自然災害による停電などで、繋がらなくなってしまうことはあり得ます。ネットに繋がらない場合、連絡方法に困ってしまうことも考えられますので、事前に連絡手段と連絡網を考え合意し、周知しておくことは大切です。


【音響関連】
・どのような種類の問題が起きているのか、迅速に診断・対応する必要があります。例えば、ハウリングです。
・オンライン会議を設定する際に、参加者のマイクを自動的にミュートにしたり、ファシリテーターが手動で全員をミュートにしたりすることを考えてください。
・全員が入り直すことで問題が解決することがありますので、すぐに解決しない場合は、やってみる価値があります。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いたプロ

小川芳夫

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小川芳夫(BTFコンサルティング)

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